魔王と勇者と姫様とー2
遅くなってすみません!これからはちゃんと決めた日付に投稿できるよう頑張ります!
2話
「てか、ここどこよ?なんでこうなった?うーむ」
「ち、ちょっとそこどきなさいよ!」
「ん?あぁ、悪い」
ほんとにここどこなんだろう?俺は庭で作業してて……
「と言うよりこの状況を見てしまったあなたにも死んでもらう必要が出てきちゃったじゃない!」
「ちょっとまて。今何をしようとしてるんだ?」
周りを見ると俺に魔法を放ってきた身なりのいい金髪碧眼の美少女。
それとーー服はボロボロ。身体中土に汚れ、泣きじゃくる、こちらは少し幼い金髪碧眼の美少女。
うむ、こりゃ見過ごせないわな。
「貴方は関わらなくていいの!というか誰よ!いつから見てたの!?」
パニックに陥ってるのか魔法を防いだことに関しては気づかないようだ。
「まぁいいわ。貴方にもここで死んでもらうわけだから知る必要はないのよ」
いや、殺されるのかよ。
冷静に繕ってるのに少し予定から外れると焦ってて可愛いと思ったのに。
「あっ、あのっ、貴方は?」
よっぽど怖い目にあったのか可愛い顔を涙でぐちゃぐちゃにして聞いてくる。
「んーまぁ詳しい話はあとかな。ここにいたら一緒に殺されちゃうみたいだしね」
理由はわからないけど黙って殺されるの見てろと言われましてもね。
「とりあえず逃げようか。こっちからも聞きたいことがあるしね」
おれは美少女をお姫様抱っこして適当な方向へと飛び出した。
♢
さてとこれからどうしたものか。
逃げるにしてもここがどこだか分からないし、情報収集のために街でも探すとするかね。
「あのっ!たすげてくれてありがとうございますっ」
「うん、とりあえずは味方だから安心してね。ところでこの周辺に街はない?」
「街でしたらっ向かう途中だったルズベールという街がありますが……そこには姉が…」
「さっきの子かい?」
「はい…それと、私も大雑把に分かるだけでどちらにあるかはわからないです」
「そっか、ありがとね」
話しているうちに落ち着いてきたのか言葉が詰まるようなこともなくなってきけど、一つ言えば顔が若干さっきより赤いような気がするけど気のせいか。
♢
少し進んだところに小さな村を発見したのでそこに立ち寄ってみることにした。
そこまでこの子の姉と距離は離れてないからすぐに移動しないとダメそうだけどね。
この村は『小さな村』と言われると想像するものを体現しているんじゃないかと思うほど在りきたりな村だ。
「すまないが、魔物に襲われてしまって。妹の服がボロボロだから替えの服をもらえないか?」
ザ・村人とでも言うべきかこちも在り来りな村人に話しかけてみた。
「よそ者なんて珍しいな!ともあれ魔物に襲われたとなっちゃ大変だ怪我はないかい?」
「すまない、怪我は大丈夫だ。だけど用事があってすぐに移動しなくちゃなんないんだ」
「わかった。すぐに用意するよ」
優しい人に出会えてよかった。
しかし、この村は魔物に襲われないのだろうか?
魔物に襲われたということが伝わったってことは周辺に魔物が出るということなんだろうけど。
「娘のお古ぐらいしかなかったんだがいいかね?」
「いえいえ、ありがとうございます。恵んでくださるだけで助かります。とりあえずそのままじゃ街も歩けないだろうし、着替えてきなよ」
「わ、わかりました」
♢
美少女が着替えてるあいだに村人に魔物についてや場所がどこなのかを聞いてみたところ
「あれ?知らないのかい?この周辺の魔物は基本的に冒険者たちが狩ってくれるんだ。それに私達だって少しは戦えるわけだからわざわざ魔物だって自分から狩られに行くようなことはしないさ」
よく良く考えればそんなもんだろう。
おれがいた所がおかしかっただけか。
少し詳しく聞いてみると、冒険者というのは各都市、村等々にある冒険者ギルドというものに属しており、ギルドで常中依頼として周辺の魔物狩りが出されているそうだ。
それと村の住人には元冒険者や元騎士もいるそうなのでもしもの時でもなんとかなるらしい。
それにしても冒険者ギルドかぁ。
いくあてもないしお世話になるのも悪くないかな?
やっぱりファンタジー世界と言ったら冒険者ギルドは必須事項だよね。
ちょっとテンション上がってきた。
そしてここはルモ村というそうだ。
王都から馬車で8日ほどの位置にあり、さっき言っていたルズベールという大きな街からも二日ほど離れた位置にあるらしい。
あとは、この村の特産や領主の話を聞いたが特筆するようなことは無かったので省略する。
「それにしてもどこから来たんだい?裕福そうな格好してるし、この周辺のことも知らないことだし他の国から来たのかい?」
「少し家の方で事情があって遠くへ行かないと行けなくなってしまった身でして」
ちょっと無理があると思うけどこうすれば深くは聞かれないだろう。
「そうかい。苦労してるね」
「お、お兄様、着替え終わりました」
おっと、兄妹という設定でそう呼ばせてるの忘れてた。
決して趣味とかじゃぁない。
まだ名前も知らないしね、見た目の年齢も兄妹で押し通せそうだったのでそうなっただけだ。
髪の毛の色は違うけど貴族の異母兄弟なんてよくある事だと思うし。
「よし、それじゃあ出発するか。着替え、ありがとうございました」
これはお礼ですと付け加え一握りの宝石を村人に渡した。
「そういえば君たちの名前は?」
村人は驚いてはいたがすぐに正気を取り戻しそう聞いてきた。
「私はミリアって言います」
「私はーースティルと言います」
♢
街の方角は聞いてきたので、そちらに向かって歩くーーのはめんどくさいから、また抱っこして飛んで向かうことにした。
飛んでって言っても文字どうり飛ぶんじゃなくて、木々のあいだを跳んで行っているだけだけどね。
そういえばこの子はミリアっていうのか。
自己紹介なんてする暇なかったからね。
聞いた方向へと進んでいくと開けた街道に出た。
きちんと道が整備されている訳ではなく、ただ木を切って道を作っただけだ。
でもいいよね。
馬車で通ったらガタガタしてお尻痛くなるってやつができそうだね。
街へ行くつもりなんだけど
ここから約二日、馬車でね?
このまま跳んでいってもいいけど、疲れるんだよな〜。
都合よく馬車がーーって自分で探せばいいか。
このまま抱っこしたままだと辛いだろうしね。
「馬車を探そうと思うんだ。このままの体制だと辛いでしょ?」
「い、いえ!そんなことないです!」
そんな強く言わなくても大丈夫だって。
早く馬車を探して上げるから。
ーーと、思うことにしよう。
そんなことを考えていると都合よく1台の馬車を見つけたので乗せてもらうことにしよう。