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ぼっこびより

作者: カムクラ
掲載日:2014/08/02

おいで、ナツ。

あにうえー!


名前を呼ぶ兄上の声にボクは元気に返事をして、今日も兄上の胸に飛び込むのです。




【ぼっこびより】




ボクの名前はナツ。今年で五歳になります。生まれてすぐにこの家にやってきました。兄上の名前はケイジ。今年で高校三年生です。ボクと兄上は実は本当の兄弟ではありませんが、兄上が自分の事を兄ちゃんと呼ぶので、兄上はボクの兄上で間違いないのです。


よーしよーし。ナツは可愛いな。

あにうえは今日もかっこいいです。


兄上は背がボクよりもずっと高くて、ボクよりもずっと手が大きくて、足も大きくて、兄上はいつもボクの身体をすっぽりと覆ってしまいます。


あーふわふわだなーお前ー。

あにうえーくすぐったいー。


兄上はボクにぐりぐりするのが大好きみたいで、いつもボクの事をわしゃわしゃぐりぐりします。くすぐったいけど、兄上の匂いがするのでボクは好きです。


気持ちいい朝は兄上がご飯を食べている横で僕もご飯を食べます。食べ終わると兄上は学校に行ってしまうので、大抵ボクは窓の側でお昼寝をするのです。


兄上が帰ってくると、ボクは真っ先に玄関に向かいます。部活とやらを引退したらしい兄上は、前よりも少し帰ってくるのが早くなりました。


おーナツー。出迎えご苦労。

あにうえお帰りなさい。


兄上はボクの頭をわしゃわしゃすると、荷物を置きに自分の部屋へ行ってしまいました。キッチンからいい匂いがしてきたので、きっともう直ぐ夕ご飯なのです。ボクは一足先にダイニングへ行きました。


兄上が来ると、母上がご飯を並べ始め、兄上はそれを手伝います。ボクも何かしたくて母上や兄上の周りをうろちょろするけれど、危ないからとキッチンから出されてしまいます。ボクがしょんぼりしていると兄上は苦笑いをして僕の頭をわしゃわしゃします。すると、しょんぼりした気分は一気に嬉しい気持ちに変わるのです。兄上はきっと魔法使いで、わしゃわしゃには何か魔法の力が込められているに違いありません。


朝ご飯と同じように、夕ご飯もボクは兄上の隣で食べます。今日のご飯もとっても美味しい。

ところで、明日は兄上は学校がお休みなので、ボクと遊んでくれないかなぁ。



お休みの日は、普段と違って兄上は少し遅く起きます。待ちきれなくなってボクはいつも兄上のお布団に潜り込むのですが、寝ぼけても兄上はボクをわしゃわしゃします。


あにうえー、朝ですよー。

んー、あとごふんー。


ごふんがどれくらいなのかは、ボクはちょっと分からないけど、兄上のお布団の中はあったかいので暫くはボクも一緒に寝ようと思います。


さてさて、ごふんがどれくらいかよく分からないとは言ったけれど、絶対にごふんを過ぎたくらい経った頃、とうとう母上が兄上を起こしにきました。


ちょっとケイジ、そろそろ起きなさい。あら、ナツったらこんな所にいたのね。

あとごふん…。

あにうえそれさっきも言ってたー。

充分寝たでしょ!ほら、お布団干すから起きなさい!


こうして母上にお布団から追い出された兄上は、おっきな欠伸をしてからボクを抱っこして部屋を出ました。おっきな兄上にかかればボクなんて軽いものなのです。兄上はすごいです。


いい天気だなぁ。


少し遅めの朝ご飯を食べながら、兄上は窓の外を見てそう呟きました。

そう、今日はとってもいい天気なのです。兄上が起きる前から、母上が洗濯物が乾くわねーとご機嫌でした。ボクもいい天気の日は大好きです。


お昼ご飯を食べた後、部屋でお勉強をしていた兄上はリビングに来ると、おっきな窓の、よく日が当たる所でごろんと寝転がりました。


おおい、ナツ。ぼっこしようぜ。

ぼっこ!


ぼっこっていうのは、兄上とボクが良くする、お日様がよくあたる暖かい場所でお昼寝をすることです。母上はひなたぼっこって言うけど、兄上は縮めていつもぼっこって言います。だからボクもぼっこって言います。


寝転がる兄上の隣にボクも寝そべって、朝の時の兄上みたいにおっきな欠伸をします。すると兄上がボクをわしゃわしゃして、もっと気持ち良くなってもっと眠くなります。お日様もあったかいけど、兄上もあったかいなぁ。


お休み、ナツ。

お休みなさい、兄上。


あったかいお日様とあったかい兄上に挟まれて、ボクは今日もしあわせを感じるのです。





「お休み、ナツ」

「にゃあ」


ちっちゃな弟とおっきな兄上の、ほのぼのとした日常のお話、いかがだったでしょうか。


最後の会話で分かるかと思いますが、ちっちゃな弟のナツは実は猫です。そりゃ小さいわ。

ナツは捨て猫で、兄上のケイジがナツを含め数匹の子猫達の里親探しをしたのが始まり、という設定があります。子猫の飼い主は無事に決まり、最後に残った一匹がナツだった……と。

ちなみにナツという名前の由来は「夏」ではなく、ナツの好物がツナ缶だったので、簡単に逆さまにしてナツになりました。よかったねナツ。


最後に、ここまで読んでいただきありがとうございました。皆様の存在が駒次の糧となります。もぐもぐ

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