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4. アリスの決断


そして6日目の夜、待ちきれなくなったわたしはある決断をした。


窓から入る朝日で目が覚める。

今日も夢を見なかった。

レントゥッカにしっかりとブラシをかける。

今日のパンは飲み込みにくい。

靴ひももしっかりしめた。

だらだらちっとも読み進まない本は、今日はお休み。

レントゥッカをしっかり抱きしめ、ドアの取っ手に手をかける。

そう、今日は外に出るのだ。

胸がきゅっとするほどこわくて、でもわくわくする気持ちが止まらない。

ドアを開けるとたくさんの本棚。

色とりどりの背表紙と、誰かが床に置いて忘れていったたままの本。

いつもと同じ本棚のはずなのに、まるでじっと見下ろされてるみたい。

下を向いていつもより早く通り抜け、もう一つのドアを開けると、廊下に出る。

きいきいと音を立てる廊下の床板。


あ、黒いのがいる。

足、胴体、頭まで全部斜めに長い黒いやつ。

黒いのは手すりの近くにとどまったまま動かない。

黒いのをさけるように反対側の壁伝いに移動すると、別の黒いのがわたしの前にぬっと現れた。

何もしてこないとわかっていても、黒いのの上は通りたくない。

でも、長い黒いのはもっと気持ちが悪い。

にっちもさっちもいかず、ただ目の前の黒いのが通り過ぎるのをまつしかなかった。

その黒いのはわたしのことを気にせず、ひとりでに開いたドアに入っていった。


わたしのいた一番奥の部屋から階段に近くなるほど、黒いのが増えていく。

わたしは黒いのを遠回りしたり、立ち止まって通り過ぎるのを待ったり、時には戻ったりしながら廊下を進み、ギシギシという階段を降りて、一階にたどり着いた。

ここまではわたしも何回もきたことがある。

黒いのがいなくなる夜に階段の前の部屋にあるシャワーのためにきたの。

トイレだってお風呂のある部屋の隣にしかないの。


でも、ここから先は知らない場所。

立ち止まり、そのまま動けなくなってしまった。

足もとから冷たいものが這い上がってくる。

黒いのがガバッと大きな口をあけてわたしを飲み込もうとしている、そんな気もした。


ふと、元の部屋に戻りたくなった。

ううん、戻らなきゃいけない気がする。

悪いことをしているわけじゃないのに、ここにいてはいけない気がする。

なんだかわたしがここにいること自体が悪いことのように思えてくる。

あの部屋から出てはいけないと、わたしに言ったのは誰だっけ。

お父さん?お母さん?おじいちゃん?

あぁ、お母さんに会ってぎゅってしたい。

お父さんやおじいちゃんのおひげジョリジョリも我慢するから。


読んでくださりありがとうございます。

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