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1. 奥の部屋

初投稿です。

アリスは図書館に住んでいる。

図書館の奥の小さな部屋に住んでいる。


起きてまず始めにすることは、レントゥッカにおはようということ。

それから、着替えて、いっしょにブラシをかける。

わたしがレントゥッカに、手袋さんがわたしの髪をとかしてくれる。

レントゥッカは今日もふかふか。

手袋さんが持って来てくれたパンを食べながら今日見た夢についておはなしする。

今日の夢は湖のきらきらしたなかで、レントゥッカといっしょに飛んでいた。


アリスはいつも本を読んでいる。

小さな部屋から出て、たくさんある本のなかから気になった色の本を取り出す。

あるときは図鑑、あるときは絵本、あるときは科学書、あるときは神話。

それは、たくさんの人が紡いだ物語。

適当に選んでは本を開き、少しずつゆっくりと、ときにはぬかしたりしながら読んでいく。

うつぶせになって、ときどき足をもてあそびながらページをめくる。

ときどき大きな影ができるけど、気にせずアリスは本に沈んでいく。


3時のお茶はたっぷりミルクの入った紅茶。

今日のおやつはイチゴのジャムがのったクッキー。

ポットがふわふわとカップにお茶をそそぎ、手袋さんがアリスとレントゥッカにクッキーを取り分ける。

白いテーブルクロスで着飾って、テーブル少し誇らしげ。

小さなベットに腰掛けて、さあ、お茶会のはじまりです。


せわしげな影もぱったりと減り、図書館にはアリスだけ。

窓の外をのぞいても、見えるのは小さな畑と杉林、欠けた月。

あとは林の裏の方、のっぽな建物赤い屋根。

ふとうしろを振り返ると、そこにあるのはいつもの部屋。

壁には本棚、チェストの上には布をかぶせたティーセット。

ドアの近くにはだらりと下がった手袋さん。

窓から月明かりがそそぎ、花なき花瓶を照らしてる。

レントゥッカを抱きしめて、アリスはそっと目をつむる。


何冊の本を読んだだろう。

さっき読み終わったのは植物図鑑だ。

その前は薬の調合についての本。

さらにその前は王子様ととらわれのお姫様のラブストーリー。

次の本を探していると、図書館の本棚の、高さは3段目のあたりの蔭から、ひょっこりとうさぎさんが現れた。

身体はビスケットのような茶色で目の色も同じ茶色。

赤いベストを着ていて、まるでいたずらっ子のようにアリスを見つめていた。


まあ、こんにちは、うさぎさん。

わたしはアリス。この子はレントゥッカ。

あなたのお名前は?


顔をほころばせ、アリスは本で読んだおねえさんがするように丁寧に挨拶をした。

しかし、うさぎさんは何も答えず、ふわふわ耳を揺らしてる。


返事もせずに失礼ね。それともおなまえないのかしら。


うさぎさんは、今度は慌てたように上下にぶんぶんと揺れて自己主張した。

それをみたアリスは、どうやら名前がないと思ったらしい。


そうなの。じゃあ、わたしがおなまえつけてあげる。


むくれた顔から一転して、どんな名前にしようかわくわくした顔になっている。

うさぎさんは相変わらず、いや、さっきより激しく上下左右へ揺れて主張したものの、ぶつぶつとつぶやくアリスにそれは伝わらず、あきらめて静かになった。

たくさん読んだ本の知識の中からいい名前を探そうと考え続け、そして、一つの名前に落ち着いたようだ。


そうね、あなたのなまえはヴァリパラ。

気に入ったかしら。よろしくね、ヴァリパラ。


読んでくださり、ありがとうございます。

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