女を抱く(詩)
女を抱くには普通の人間でいるのが必要だ
いかれた女を抱くなら別の話だが
おれは女を抱いていない
10年以上前の女を抱いた日を思い出す
そこは自由空間で何でもできた
ヤク中の女でさえ抱いた
ぼろ家の桃源郷におれは住んでいた
努力さえすれば女は簡単に手に入った
だが今はどうだろう
皮膚病やみの鬱病患者になっちまった
遠のいたのは自殺願望だけ
毎日を意味なく過ごしている
死ぬしかない道筋をたどっている
自分が埋められる場所は知っている
実家の駅からバスで数十分
母親はガーデニング
父親は鶴太郎の土曜ワイド
それぞれ好きなものはあるが
おれは女だけ
女さえ抱ければ本望