第1章~日常~
部屋をでて寮の食堂で朝食を済ませるとさっさと学園へ向かう
「お~い!お前、もう行くのか~」
寮を出ようとした僕に声を掛けてきたのは同級生だった。教室では比較的よく喋るが寮で声を掛けてくるのは珍しい。
「どうした?寮で話しかけてくるなんて珍しいな」
と話しかけてきた奴の質問は無視して質問で返してみた。
「いやな、飯食いに来たらお前が出てくとこだったからな。それと寮であまり喋りかけないのはお前が舞ちゃんとイチャついて舞ちゃんが帰ったらさっさと寝ちまうからタイミングが無いんだよ!」
「イチャついてねぇ!てか飯食ってるときも風呂入ってるときとかも話しかけれるだろ」
「それは時間が合わないだけだ」
などと軽口をたたきあい別れた。
そして寮から徒歩10分で学園へ到着。下駄箱で上履きに履き替えていると
「お~い!相変わらずさえない顔してるね~」
と失礼な台詞とともに現れたのは、黒髪で長髪の美少女?な妹 海崎 舞 (かいざき まい)だった。
美少女?なのは自分が兄で異性として見てないからである。周りから見れば美少女だとのこと。ちなみに舞は女子寮で生活しているが土日はよく僕の部屋に遊びに来る。
「いきなり失礼なやつだな、まあいつもの事か」
とため息をついていると舞は
「だってさえない顔してるでしょ?」
と満面の笑みを浮かべている。
「その話はもういい。で今日は機嫌がいいみたいだけど何かあるのか?」
と話題を変えつつ会話を続けてみる。
「だってさえない顔してるもん。あ~そうそう今日は午後の戦闘訓練に特別講師の人が来るらしくてね、その人の相手を私がやることになったんだよ。」
よっぽどさえない顔を認めさせたいらしい。まあいつもの事なのでスルーしておく。というか、特別講師なんて話は初耳だな。多少は学校行事に興味を持ったほうが良いかな?
「へぇ~舞が特別講師の相手かぁ~緊張しすぎて講師さんに怪我させるなよ。」
舞は学年トップの実力者で攻撃魔法・防御魔法が得意な広範囲アタッカーの部類に入る。その実力はこの学園でトップ10には入るんじゃないかって位だ。1年生なのに立派でなによりだ。
「大丈夫だよ。今日来る講師の人は結構強いらしいから。ところでお兄ちゃん、今度の学園トーナメントのチーム戦はエントリーした?」
前に講師が来たときにも同じことを言ってたがその時はその講師と実践形式で戦ってボコボコにしてるし今回も前と同じになるかもしれないな・・・てかチーム戦?個人戦もやる気ないのにチーム戦にエントリーするとでも?
「チーム戦?してないぞ、出る気ないし。」
そう言うと舞は嬉しそうに
「してないなら一緒に出ようよ。私、出てみたいんだけどチーム作れなくて困ってたの。」
「いや、出る気な・・・」
「じゃあ早速エントリーしに行こ!」
どうやら強制らしい。まあいつもの事だし諦めるか・・・そうしてしばらく先の学園トーナメントに参加することになった。そういえば個人戦は強制参加させられるような気もしたけどとりあえず保留しとこ。
そうしてエントリーを済ませ舞と別れ自分の教室へ向かう
教室に入ると見慣れたメンバーが揃っていた。
今日は、特別講師の話題で盛り上がっているようだ。
「今日の講師の相手はまた海崎くんの妹さんなんだって。」
「また講師の人瞬殺かな?」
「でも今回の講師は結構強いらしいよ」
などと講師のレベルが話題の中心みたいだ。前回はほんとに酷かったからな・・・そんな面々を視界の隅に置きながら自分の席へ向かい鞄を横に掛けて睡眠モードへ。やはり寮の起床時間が早すぎる。今日は話しかけてくる奴もいないしぐっすり寝れた。そして朝のホームルームの始まりのチャイムで目が覚める。そして午前中の授業が始まるのであった。
1限目は数学・・・教師のだす暗号を解けるかどうかで睡魔に勝てるかが決まる。
「ここの問題は・・・」やはりこの授業は楽で何よりだ。
2限目は歴史・・・なんか古代人は特殊な技術を用いて凄い発展を見せたが地獄の魔人と戦争になり滅んだとか陰に身を潜めたとか言われてる。
3限目は国語・・・この授業は相当楽だ。1番の得意科目だったりする。
4限目は物理・・・最近実験ないし面白くないな。
今日はトラブルが無かったな・・・まあ平和で良いんだけど。
そしてすべての学生が待ちに待った昼食の時間が訪れる。授業終了のチャイムが鳴ると同時に殆どの生徒が食堂に向かって走り出す。中には移動系の魔法を使う者もいる。で僕はと言うと
「お兄ちゃ~ん!今日も屋上でたべよっ!」
舞がいつも作って持ってきてくれるから安心である。
そして屋上へ移動
この学園は屋上を開放していて弁当持参組は結構利用する場所だったりする。
昼食中の話題は、やはり特別講師についてでもちきりだった。舞だけでなく屋上に来ている生徒の間でも、結構話題に上がっている。
「でね!今日の数学も簡単すぎてあくびが出るくらい。」
「あの授業であくびが出るのは仕方ないな。」
そんなたわいもない会話をしながら昼食を終え昼休みの時間が残ってることを確認し僕は昼寝タイムに突入する。舞はもうすぐ講師との戦闘訓練があるためか多少緊張しているようだ。緊張をほぐすために何かしてやろうかと考えたが周りの目がある以上下手なことは出来ないので保留しておこう。
そして昼休み終了10分まえのチャイムが鳴り演習場へ向かうことにした。屋上にいたほかの生徒たちもいっせいに動き出した。
そして演習場のそばの廊下の分かれ道
舞は講師の相手という重大な役目があるから事前にある程度の打ち合わせがあるらしくここで一旦別れる事になった。
そして別れ際に
「がんばれ」
「うん。」
という一言だけを交わして別れた。
そして少しの時間がたち講師の自己紹介が終わり舞との訓練が始まろうとしていた。そこで講師の人から思わぬ提案がでる。
「今回の訓練は、1VS1で行いませんか?そのほうが面白いじゃないですか」
ここで司会をしていた学園の教官は困った顔をして
「ですが、今日の訓練を体験する生徒は1人ですし・・・それに今日は講師があなた1人で2VS2にはならないでしょう?」
と返答に困っている様子。
そしてしばしの話し合いの時間が設けられた。
数分後
理事長からの提案で実戦指導の教官と講師のペアと舞と学園1位の者がペアになる。
という物に変更されたらしい。まてよ・・・学園1位って誰だっけ・・・そして僕は思わず立ち上がり
「なんで僕が参加する事になってるの!!!」
おもわず叫んでしまった。うぅ~恥ずかしい・・・
でそのルールが発表されたときの舞はうれしそうな表情をしていたきがする。
そしてなんだかんだで参加させられることになりステージに上げられ講師と直接話す。
「なんで突然ルールを変更したいなんて言い出したんですかね?」
「とくに理由はないよ。しいて言うならこれは訓練という名のパフォーマンスだからかな?と思ったからかな」
「それなら1VS多数の方が良いんじゃないですか?まあどっちでも良いですけど」
などと自分の意見をぶつけ会話を終了し舞の横に立つ。舞は表情が安らいでいる。僕が参加することで舞の気が楽になるならそれはそれでいいかなと考えつつ開始の合図をまつ。
そして開始の合図と共に僕は自分の刀に手を掛けながら走り出し教官に鞘の一撃を入れる。ここまでの時間たった2秒。そして崩れ落ちる教官を視界の隅に置きながら講師の方を見ると舞の放った魔法攻撃が当たる寸前で防御魔法を展開するが防御魔法ごと吹っ飛ばされていた。
そして立ち上がろうとしている講師に刀を突きつけ試合終了。
開始から5秒弱での決着であった。
そして説得力の欠片もない講師の話が終わり下校の時間を告げるチャイムがなる。
下校時の生徒の話題は
・講師があっけなく敗北したこと
・講師の言ってることは間違いないのだろうがあの負け方した後じゃあな
・教官は何しに出てきたのか
・やっぱり亮さんは学園1位にふさわしい実力者だよ
など午後の講師との訓練のことで持ちきりだった。僕は、教官を倒しただけで実質講師VS舞だった。最後のは、講師が吹っ切れて余計なことをするのを防ぐためだ。舞は距離あったし、しかたない。
でもそんなことなどお構いなしに僕と舞は帰路を歩む。舞が僕の部屋によって行くというので目的地は同じである。
そして僕の部屋
僕はこの部屋を寝るための部屋として使っているのでTVやゲームは一切なく、あるのは服をしまうタンスと暇つぶしのための本が置いてある本棚と布団と宿題等をやるための机とその周りに座布団が3枚置いてあるだけだった。一応トイレと洗面所はあるが風呂は寮生共同の大浴場だったりする。
「う~ん、相変わらずだね。」
と舞がつぶやく
「寝るだけの部屋としてはましなほうだろ」
と適当に返事をし座布団にすわる。
しばらく適当な会話を楽しみ舞を寮まで送り帰宅。それから夕飯を食べて部屋に戻る。
そして着替えを持ち風呂に向かおうと部屋を出ると
「よう!今から風呂だろ?一緒に行こうぜ。」
どう返答するか困ったが
「俺は男に興味ないんだが・・・」
と冗談口調で返し適当な雑談をしながら風呂に入り部屋に戻ってきた。
別れ際に
「じゃあ、また明日な。おやすみ」
「ああ。おやすみ」
と別れに恒例の挨拶をし部屋に入る。部屋に入ると布団を敷きそこにもぐりこんで
「明日も早いしな」
そういって目を閉じ睡魔に飲まれて行く。
こうゆう平和な日常がずっと続くと思ってたんだけどな・・・
ここまで読んでくださってありがとうございます。次回から話が少しずつ動いていきます。お楽しみに