埴輪と旅する女①【会津若松編】第011回
『Mikiko's Room(https://mikikosroom.com/)』で連載した、会津若松への旅行記(原題は「単独旅行記Ⅶ」)です。
み「わかった。
まだ、団体旅行が復活してないからだ」
ハ「そう云えば、団体客らしい集団はおらんかったな」
み「団体旅行に組み入れられるようになったら……。
旅行会社が、ごっそりと席を押さえてしまうんじゃろ」
ハ「とすると、コロナのこの時期こそが……。
イベント列車に乗車する絶好のチャンスということやな」
み「だな。
あ、まだ時間あるから、あそこの窓のところで、1枚写真を撮ってやる。
パチリ」
み「うーむ。
これじゃ、死体だな。
あ、ここなら起きて撮れる。
パチリ」
み「さてと。
そろそろ乗るかな」
ハ「こら!
わしを忘れるな」
み「冗談じゃ」
ハ「お主の場合、冗談に聞こえんわ」
み「駅弁屋、繁盛してるでないの」
ハ「やっぱり子供が多いな。
買わんのか?」
み「駅弁は、あんまり好みではない」
ハ「なんでや?」
み「おかずの味付けが、ことごとく甘いではないか」
ハ「知らんのか?
砂糖には、抗菌効果があるんや」
み「聞いたことないぞ」
ハ「昔の民間療法では……。
傷の治療や回復に効果がある“薬”としても使われとったんや」
み「マジ?」
ハ「駅弁は、買ってすぐに食べるとは限らんやろ。
実際、今買ってる人も、食べるのはお昼やろ。
これから3時間も、車中に置いておくわけや。
今は冷房があるから、まだマシやろうが……。
昔やったら、夏場とか、食べるまでに悪くなってしまいかねん。
なので、砂糖、酢、醤油なんかを使って、濃いぃ味をつけてるわけや」
み「なるほど。
勉強になり申した」
ハ「えへん」
み「しかし、何でそんな知識があるんじゃ?」
ハ「さっき気がついたが……。
どうやらわしは、ネットに繋がるらしい。
記事を検索してたら出てきおった」
み「おまえは、Wifiか!」
ハ「我が輩や」
み「ご都合主義の極致だな」
ハ「おまえがな」
ようやく、乗りこみました。
み「取りあえず、最後尾の展望車両を見てみよう。
あ……。
やっぱり」
み「すでに“鉄”らしき2人に乗っ取られてる。
しかも、真ん中の椅子に荷物まで置いてる」
ハ「どかしてもらえばいいやろ」
み「発車前から座ってもしょうがないわ」
ハ「あいつらは座ってるではないか」
み「席取りしてるんだろ。
発車してからも、ずっと座り続けるつもりだと思うぞ。
後方展望の動画でも撮るんじゃないの。
そういう輩とは、関わりたくない。
後で、動いてるときにちょっとだけ覗けばいいや。
席に行くぞ」
1列シートは、進行方向右側です。
み「発車前に1枚撮ってやる。
パチリ」
ハ「挟まっとるぞ!」
み「そうしないと立たせておけないんだから仕方なかろう。
おー、あの照明、レトロでいい味出してるじゃないの」
ハ「なんか、動物がおるな」
み「猫か?」
ハ「猫やないやろ」
み「調べてみい。
ネットに繋がるんじゃろ?」
ハ「えーっと。
どこにも載っとらんぞ」
み「乗車レポート、いっぱいあるだろ」
ハ「どれも、レトロな装飾としか書いてないな」
み「観察が甘い!」
ハ「わしに言うな」
●ご都合主義
2人の会話体で話を進める場合、ネットからの情報を載せるには……。
会話体を止めて、地の文で書かなければなりません。
それもいいと思うのですが……。
会話でやった方が面白い場合もあると思います。
そういうとき、「ハ」さんや「み」さんが、あまりにも詳しいことを知ってるのは不自然です。
ということで、ハーさんがネットに繋がるという設定にしてしまいました。
まさしくこれは、わたしのご都合主義です。
団体旅行の件。
団体客らしい集団は、ほんとに1組も見かけませんでした。
実は、コロナ前がどういう状況だったか知りません。
乗るのは、このときが初めてでしたから。
ひょっとしたら、コロナ前にも、団体客はいなかったのかも?
なので、コロナ後、座席が旅行会社にごっそり押さえられるというのも……。
わたしの想像に過ぎません。
ていうか今は、運行自体が再開されるかどうかもわからない状況ですし。
展望車両に座る2人の件。
たまたま座ってみたという感じじゃなかったのは明らかでした。
2人からは、オタク風オーラが起ちあがってるように感じました。
思い過ごしかも知れませんが。
でも、もし声をかけて、友好的じゃない応対をされた場合……。
旅行中、ずっと嫌な棘が心に刺さったままになると思います。
君子じゃないけど、危うきには近寄らずです。
あ、そうそう。
この展望車両ですが……。
会津若松から新津に帰る便では、機関車のすぐ後ろに付くそうです。
つまり、グリーン車が一番前になるんですね。
なんで、そういう具合になってるのかは、わかりませんが。
なので、展望車の正面に見えるのは、機関車の真後ろになります。
『ばんえつ物語』のサイトに、そのときの写真が載ってました(https://www.jreast.co.jp/railway/joyful/c57.html)。
後方で線路ばかりが見えるより、こっちの方が面白そうな気がします。




