3
「薬をありがとう。結婚式楽しみにしているわ」
ステラニ、と書かれていた。
第四王女からの手紙だった。
「王女様お元気になられたんですね」
そうイルエルが良かったですねと言う言葉に頷き、私も薬が効いて良かったと安堵した。
それからもうすぐ私の結婚式だと思うと、もうあれから半月も経ったんだと、心の中で驚く。
あのあと淡々と結婚の話が両家で進み、私がこの家を出るのもあともう少しとなった。
あれから何度か会った婚約者になった彼は公爵家を改装した。
屋敷の庭は大きなガラスで覆われた。
彼が学んだ日光を遮断する魔法は外ではなく、あくまで室内限定の魔法だった。
だから庭を全てガラスで覆い、屋敷とつながらせることによって私は庭も屋敷もリボンを付けずに太陽を浴びれるらしい。
私はもう自分の家をリボンを付けずに歩けている。
窓から差し込む光をどれだけ浴びても肌が痛まない。
彼の魔法で屋敷に魔法をかけてくれた。
彼と婚約してからたくさんのことが変わった。
何時間でもいられる明るく暖かい空間に私は最近はカーテンを全開に日を浴びながらお茶をするのがとても気に入っている。
そしてナードとは業務以外は会っていない。
昔のようにドレス選びに立ち会わせるなんてこともしなくなった。
もう彼の補助がなくても私は屋敷を歩き回れる。
そして私が結婚して公爵家に行ったらもう彼は私の専属騎士ではなくなる。
そしてあっという間に私が結婚する日になった。
「お父様、また、あとで」
リボンを付けて私は先に式場の公爵家へ向かう。
父は後ほど別に来てくれる。
私は公爵家の迎えにきてくれた騎士たちと共に馬車に乗り込む。
「なんだかあまり実感が湧かないな」
もう今日の結婚が終われば私はリファ.カーリクスからリファ.ノロウェイになるのか。
「....結婚か」
そう呟いた時だった。
「なに?結婚したくないの?」
隣から聞き覚えのない声がした。
驚いて振り返る。
「...だれ」
そう呟くと、男はニコリと笑い、続ける。
「花嫁にしてはあんま幸せそうじゃないね?やっぱり政略結婚ってやつ?」
1人で言葉を発しては1人で頷いて、こちらの話はまるで聞いていない。
「だれなんですか!?」
私は叫ぶとやっと男はこっちを見て首を傾げる。
「俺が誰だかわかったところで何になるの?....君はどうせ死ぬのに」
そう首を傾げた男が言った言葉に私は固まる。
そして私は初めて異変に気づいた。
馬車が止まっており、騎士たちの声がしない。
「....外の方たちは?」
体が震えながら聞く。
「殺してないよ。眠らせただーけ」
そう返事をした男はもう時間がないからと私に手を伸ばす。
そして私のリボンが解かれた。
「うっ...」
暗かった景色に光が入り、眩しくて目を細める。
そして向かいの男を見た。
まだ少年だった。
「....ふーん。」
リボンを外した少年は私の顔をまじまじ見た後、私の手を取った。
そして腕に注射を打たれた。
「....おやすみ」
そう呟かれ、私の視界はまた暗くなった。




