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私のSS  作者:


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2


呆然と立ち尽くしていた。ナードに声をかけられハッとする。


「リファ様、国王と王妃、姫たちが来られました。ご挨拶にそろそろ...」


さっきの話を彼も聞いていただろう。聞いていてもなお、彼の声色は変わらず。そのことに少し落胆したが、それを顔に出さずに手を差し伸べる。


「そうね、連れて行って」

そう言うとナードは私の手を引いて、王族達の元へ連れて行ってくれた。


「おぉ、リファ嬢」

そう私に気づいて声をかけてくれた国王に私はお辞儀をした。

ナードの足も止まり、手を離したことからそこに立ち止まりまっすぐ見る。


「本日はご招待いただきましてありがとうございます。陛下のご体調の方は如何でしょうか?」

最近陛下は風邪をひいて寝込んでいたと聞く。


「あぁ、もうすっかり。ご令嬢がくれた茶葉のおかげかな、次の日にはすっかりよくなったんだ。助かったよ、ははは」

笑いながら私が渡したお見舞い品は喉にいいとされる生姜の茶を送ったのだ。


「お役に立てたのでしたら光栄です。」

そう言ってお辞儀をして、挨拶も終わったことだしこの場を去ろうと思ったがその前に陛下に止められる。


「だが...あの茶葉の出所を探したのだが、見つからなくてね。よかったら教えてもらえないか?私の娘に贈りたくてね」

そう言う陛下に私は告げる。


「あれは私が煎じたものです」

そう告げると陛下は驚いたように告げる。


「そうなのか、驚いた。いつもより治りが早かったから君が送ってきてくれたお茶のおかげだと思ったんだが、ふむ。たまたまかな?」

そう言った陛下に私はあのお茶について告げた。


「あれは私が風邪をひいた日にも飲むと次の日にはすっかり良くなりますよ」

そういう時陛下はなるほどと呟いた後に再度私にあの茶葉を作って欲しいと告げた。


「第四王女の体が弱くてね、風邪を引くと一月寝込んでしまう。今日も体の調子が悪くてパーティーに来られなくて残念そうにしていた。よかったら君の茶葉をまたもらえないだろうか?」

そう言う国王に私が告げる言葉はイエスしかない。


「光栄です。また作りましたら王城に送らせていただきます」

そう伝えると国王はあぁ。よろしく頼むと言われたのでお辞儀をしてその場を離れた。


王族の第四王女。

私もまだ見たことはない。体が弱く、殆ど王城に籠りきりで、まだ11歳だったか。でも可愛らしい子だと噂されていた。


「うーん、送れるのが早くても1週間はかかるわね...早く送れるといいんだけど...」

今も体調を崩している王女のことを考えると早く作ってあげたいと思い、私はパーティーを抜け出した。


そして伯爵家に帰ってきた私は動きやすい服装に着替え、キッチンで茶葉作りに没頭する。

それから暫くして父が帰ってきた。


「リファ驚いたよ、君が先に帰ったって知って」

帰ってきて早々娘に一番に会いにきた。

私は父を見る。まだ着替えておらず、今日パーティーにきていた服装だった。


「まあ!お父様今日は深緑の正装でしたのね!とっても素敵だわ!」

そう言って駆け寄ると嬉しそうにありがとうと言った。


「私もリファのリボンがないドレス姿を見たかったよ」

そう残念そうに言われて、私は苦笑いをして謝った。

「ごめんさい、国王からお茶を煎じて欲しいって言われたの。第四王女が風邪をひいてるらしいから急いで贈りたくて」

そう伝えると父は頷き

「あの茶はよく効くからな」

となぜか鼻高々に言う。


「お父様、それより聞きたいことがありますの」

そう父と向き合うと、父もわかっていたのか真剣な顔をして頷いた。


「....お父様は、ハリー様と私の結婚を望んでいられるのですか?」


そう聞くと、父は少しためてから、ゆっくりと頷いた。


「彼が隣国で学んでいた魔法は、お前がどこへ行くのにもリボンをつけずに好きなだけ居られるようにするために、彼は隣国へ行っていたんだ。

彼はもうずっと前から私に連絡をくれててね、勿論最初は断っていたが、彼がお前を思う気持ちが私にも痛いくらい伝わってきた。

そして彼はお前がリボンをつけずに外を歩けるようにする魔法をやっと見つけたらしくて戻ってきたんだ。」

そんな彼を見ていたらお前をきっと幸せにしてくれるとも思った。

父はそう私に言った。


私は幼少期からずっと父に助けられてきた。

父がこの人なら私を幸せにできるだろうと認めた、あの人を選べば父は喜んでくれて、祝ってくれる。

私の気持ちなんて、二の次だ。

貴族の世界なんてそんなものだ。

自分が想っている人と結ばれる貴族令嬢はどれくらいいるのだろうか。殆どは政略結婚で家同士の繋がりを大事にしている。

だから平民との結婚なんてそれこそあり得ないのだ。

祝ってもらえるはずもなければ、認めてもらえるわけがない。

だから私がナードに寄せている気持ちなんて、誰も気づきもしない。

身近に貴族令息がたくさんいて、なのに平民に想いを寄せる貴族令嬢がいるなんて、考えたこともないだろう。

きっと私のこの気持ちを言ったら二度とナードには会えなくなるのだろう。


「....お父様、私、ハリー様と結婚するわ」


私もリボンを外した外の景色を見てみたい。

そして先日会った彼は優しかったからきっと彼と歩んでいけると思った。

この気持ちはどうしたって実ることもなければ実ってはいけない気持ちだから。



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