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第1章 偽造食券

共犯者 第1章 偽造食券

 

この物語は今から40年以上前の話である。私がNと知り合ったのは大学1年生の時だった。付属高校の推薦入学でろくに勉強もしないで大学に入った私、一方Nは一年間の浪人生活でこの大学に入ってきた。詳しくは聞いていないが、自分で学費をためていたようなことを言っていたのでかなり苦労をしてきたようである。

 

もともと私の大学はそんなに高いレベルの大学ではない。受験勉強らしいことはしていない。しかも家から近くの大学で通学時間も30分もあれば行けるところにある。勉強が嫌いで親のすねをかじるだけかじっている世間知らずだ。勉強が嫌いなら大学に行く必要はないはずなのだが、周りがみんな大学に行っているというだけで将来のビジョンも持たずにいた。もしその時の私が今の私のこどもなら絶対許さないだろう。今思えば本当に親に申し訳ないことをしたと思っている。そのときは,親にそこまでしてもらっても当然という感覚でいた。それどころか親をけむったく思っていた。


逆にNは地方から出てアルバイトをしながら自力で生活をしている。親には最小限のことしかしてもらっていない。それがたくましさもあり、また一つ年上ということもあって,私にはNが大人びて見えた。この1年の年の差は大きな違いだ。高校卒業するまでは監視下にあるのだが,卒業後の一年は親からの監視下からはなれるので、厳しさもあるが楽しさもある。その1年を経験しているか、していないかは大きな違いだ。


またNは背が高くマスクもまあまあだ。当時はなかった言葉だがいわゆるイケメンだ。そしてちょっと悪ぶったしぐさでタバコを吸うすがたが妙にかっこよかった。私は彼にあこがれていたのかもしれない。これから話す物語はあたまが切れるNが考えだした綿密な計算による犯罪である・・・


一人暮らしをしているNのアパートによくたずねて行っては話しをする。自宅通いのものにとって、自分の部屋を持っている友達というのは貴重な存在だ。吉野家で牛丼の大盛りを2つ買って、たずねていけば夜遅く行っても歓迎してくれる。彼の話は聞いていて面白い。スリルがあり私には知らない世界があった。アルバイトをしてお金を稼ぐ、まっとうに時給500円くらいのバイトよりも、ちょっと危ない夜の雀荘で一日10万円の金が動いたという話の方がまねはできないが楽しい。10万円稼いだということよりも裏の金を稼ぐという。一つ間違えばヤクザになぐられたかもしれないというそんな世界の話を聞くのが楽しかった。


それと若い頃の関心ごとはなんといっても女の子との恋愛ばなしだが、ロマンチックな恋愛話よりも赤裸々なセックス体験の話のほうが興味を沸く。もっとも普通のはなしでは自慢話にしか聞こえず。不快なものだが、Nの話は違う、下着をとった豊満な胸からは刺青がうきでてきた。怖いお兄さんの彼女だったなどという話だからおもしろい。


またNはパチンコもすごい腕前だった。あの時代は大フィーバーなんてなかった時代だから一日に5万も稼ぐなんてことはなかったが。300円の軍資金で2~3千円は簡単に稼ぎ出す。

「くぎをみればたいていわかるよ。でもこんなことに時間を費やしてまでやるものじゃないから30分でやめる。」

 荒稼ぎすることは私が見る限りないが、気がつけば1カートンのセブンスターを持っていた。Nとは週に1回くらいパチンコ屋で会い、月に一度部屋にたずねていく。そんな間柄だった。


さてNとの話はひとまずおいて、私の大学生活の話をする。アルバイトはしているといってもいつも財布の中には1000円札しか入っていない。福沢諭吉いやこの時代は聖徳太子ですね。一万円札が財布に入っているなんてバイトの給料日のほんの一瞬だけ、いつもお金がないと言っているのが普通の大学生だ。


 そんな大学生にとってありがたいのは生協の食堂。とにかく安い値段で、大盛り定食が300円で食べられる。もちろん学校の中にあるから安く早い。ある日私が一人でその定食を食べていると、同じ学科の友人が前に座った、そして

「ちょっと話があるのだけど…」と私にはなしかけてきた。

「生協の定食券がたくさんあまったから、200円でいいから10枚引き取ってくれないかな?今金がなくて困っているんだ。助けてほしい・・・」

と言う。200円が10枚で2000円、2000円なら財布に入っていたので悪い話ではない。何の迷いもなく買った。

「それと悪いけど2000円の金もないなんてみっともない話しだし、生協で買うものを売るなんていいことじゃないし、俺から買ったってだれにも言わないでくれよな。」

と言われた。

「わかった。」

安く食券が手に入ればこっちは助かったわけだし、言うなと言われれば言わない。とそのときはべつだんどうってことないことに思っていた。

 

しかし・・・それからしばらくして私のまわりの友達がなぜか私と同じように自動販売機で食券を買っていないことに気づいた。みんな定食券をまとめて持っているのだ。あれ?と不思議におもってたまたま隣に座った友人にそのことをたずねてみた。

「ああ・・これね・・あるやつから安く買ったんだよ。」

あるやつ?彼もおそらく言わないでくれと言われたのでしょう。売ったやつの名前をふせて私に打ち明けた。

「実はおれもそうなんだよ。」

「なんか変な話だな。まとめて買いすぎたのだけど、今お金が足りなくて困っているからという話だったけど・・・」

 実は生協で普通にまとめて買った場合300円券11枚を3000円で購入できる。300円お得なのだ。ちなみにこの時代に消費税はない。300円の特で使用期間の限定はない。いつでも同じ値段なのだからそんなにたくさん買う理由はないはずなのだ。なにやらうさんくさいわけがありそうだがそれ以上はわからないままだった。


そんなある日Nに

「久しぶりに俺の部屋に遊びに来ないか?」

といわれ二つ返事で

「ああ・・・3時間目の授業が終わったらいくよ。」と答えた。バイトの予定がなければ授業などさぼっても平気だ。いつものように差し入れに牛丼を買ってNの部屋に行った。

「おお!いつも悪いな。」

そういってたばこをくわえたまま、まだゆげがたつ牛丼を食べ始めた。

「生協の飯は安いけど毎日じゃあ飽きるし、牛丼が食いたいと思っていたところだったよ。」

「そう、それはよかった。」

そういって私も一緒に食べる。

「そうだ・・・生協の飯といえば最近妙な話があるんだ。」

生協の定食券を200円で買ったこと、買った相手の名前はふせたが。それも同じクラスの仲間何人かが同じように持っていることそんなことを話した。

「どういうことなんだろうね?」

なんでも世の中の仕組みをわかっているようなNは全てがわかっているかのように、ニコニコ笑いながら私の話しを聞く。食べ終わったら牛丼の箸をおき、タバコの煙をはきながら私に質問をした。

「誰から買った?Yか?」

「いや・・」

「じゃあ、Hか?」

「いや・・」

「じゃあ、Sから買ったのか。」

「ああ・・なんだ・・・知っているの?」

「俺が、今言った3人に食券を売ったんだ。」

「どういうこと?」

するとNはタバコのけむりをスーっとはいてニコニコしながら話し始めた。


 40年前の話だからどう考えても時効だからすべてを話してしまおう。大学の構内にある生協、ここの食堂はさっきも紹介したが全ての学生が利用する。この生協の定食の券だが、一日に数多く出回るわりには別になんの変哲もないただの紙切れであることにNは注目した。担当印とか発行日とか一切押されていない。おそらくいちいちハンコウなど押していたら、それだけで一人の人件費がかかってしまうからだろう。


それに目を付けたNは、とんでもないことを思いつく。この定食券の偽造だ。まずNがおこなったのはこの定食券が、いったいどんなルートで販売されどのように使われているのかを、徹底的に調べることからはじまった。


まず、発行は自動販売機か窓口で販売される。自動販売機だから誰が買ったのかわからない。窓口では10枚セットをまとめて買う。バイトでお金が入ったときにまとめて買っておけば、おこづかいがなくなっても食べるのには困らない。つまりはその日の日付が印字されていない食券はいつ買っても有効期限がないので便利だ。そんなこともNにとって幸いすることなのだ。


大学だからお昼休みはみんな授業があったりなかったり早めに終わったりして多少のずれがあってもお昼休みと同時に食堂はかなり混雑をする。食堂にはもちろんテーブルはあるが、晴れた日ならばみんな大学のキャンバスの芝生の上でトレーを持って一緒に固まって食べている。テーブルに座ってたべるより自由にみんなで食べるほうが楽しい。


セルフサービスだからまずは食券を用意して定食配膳の列にならぶ。定食を載せるトレーを受け取る前に、空き缶のような容器にめいめいがその食券を入れる。空き缶の容器はケチャップの缶などが使われる。職員さんは、「大盛ですか?」とききながら我々の要望に答えながら給仕してくれる。だから混雑時などは目の前に空き缶はあっても、ちゃんと入れたかどうかはその人のモラルにまかせるしかない時もある。ご飯をもらったらできあがったおかずをトレーにのせていく。そこまでは普段食堂を利用している私もわかっていることだ。 


Nはその容器にたまった食券のゆくえを観察しはじめた。昼休みがおわり学生が午後の授業に行く。そんなときでもぽつりぽつりと遅いお昼ご飯を食べている学生もいる。職員は少しくつろぎながら、厨房の中を掃除し始める。それがおわると厨房の隅のほうで、さっきの食券の入った容器の缶をテーブルにだしているようだ。普通ならその券の枚数を数えて、今日の売り上げを計算するのかと誰もが思うだろう。ところが・・・中の食券は全くカウントをされずに、なるべくきれいな状態にしてまた再利用しているのだ。一部の見た目汚そうな券を無造作に破ってすてる。その際にも捨てたものをカウントしている様子はない。

毎日行われていることですが、ほとんど誰もいなくなった食堂の厨房でのことですから、誰もしらない。ところがその様子を数日間観察していたのがNだ。つまりは定食の作る数と定食券の発行部数はまったく照合されないということをNは確認した。


そして次にNは一日この定食がいくつくらいつくられるのかを調べ、学生の人数から何人に一人の割合で定食を食べるのかを割り出していく。その細かな計算はどのようにしたのかはわからないが、おそらく周りの学生50人くらいに注目してその50人が定食を食べる人数をわりだして全体を計算したのだろう。


そうして偽造券が出回ったとしたときまず気づかれない枚数はどれくらいの枚数かの計算だ。そういたずらにばらまくのでなく完全犯罪でなくてはいけない。その枚数が何枚なのかを私は聞いていないが、これはすべて計算によって計画されたことなのだ。

さて次にどうやってこの定食券を偽造するのだろうか?


まずは生協で働くおばさんの腕章をひとつうまく盗み出した。こんな腕章を盗む奴なんているとは思われていないのでわけないことだったようだ。おそらく腕章が一つなくなったことにも気づいていないかもしれない。ここにはたくさんのパートのおばさんたちが働いているからだ。その腕章をつけて小さな印刷工場に生協の社員を装って食券の印刷を依頼した。そんな簡単に印刷を請け負ってくれるのだろうか?


「私は、S大学生協のKと申しますがこの食券を2万枚作っていただけますか?」

「はい。わかりました。2万枚ですね・・・・」

「ええ、なるべく早くお願いいたします。もう在庫が少なくなっちゃったものですから・・・」

「一週間いただけますか?」

「なんとか5日間でおねがいできませんか?いつも頼むところが1週間かかるっていわれたのでそこでこちらにお願いしているんですよ。」

「わかりました。25日までにしあげます・・・」

「すみません。よろしくお願いいたします。25日の今時分にここにまたきますので・・・」

「連絡先と担当の方のお名前を教えてください。」

「はい・・」


Nはあらかじめ調べてきたこの生協の担当者の名前と大学の連絡先を書く。今のように携帯電話など持っていないから固定電話を書くしかない。

「私は営業でほとんど学校にいないので電話してもおそらくいませんが一応書いておきますね。」そういって学校の電話を書いておく。普段いないと言っておけばまず電話をすることはないそう計算してのことだ。

「期日はだいじょうぶですか?」

もう一度念を押す。

「かならず期日までに仕上げます。」

さてそこで印刷工場で学校に電話をして確認をされたらどうするのだろうか?おそらくそこだけはこの犯罪のネックだったと思う。だから逆に自然のまま本当の大学の番号を教えて本当にいる担当者の名前を書く。万が一ばれた時はこの計画を中止すればいいそれだけのことだ。数は正確に覚えていないが2万くらいだろうか・・・1枚300円の食券をただ同然の値段で2万枚手に入れたのだ。


 ここまでは別にほーと感心はしても、どうってこともないがここから凡人とは違う。彼は実に頭がいい。当然この2万枚の食券一人で食べきれるわけはない。だからそれを売って儲ける、しかしこれをいったいいくらで売る?あまり安く出回ったら当然買うほうが怪しむに決まっている。彼はこのような方法をとった。仲間うちで毎日麻雀に明け暮れている仲間を3人ほど集める。彼らに半額で売る。半額で売ったらそれからの販売は彼らに任せる、売る自信があるやつは3000円を2500円で売れば500円儲かる。2000円で売ったら1000円儲かる、肝心なことは全部売り切らないことだ。彼ら3人はなくなったらまたNに半額で買う。あんまりいっぺんにさばかずに小出しに出していくのだ。


だから末端の私達に次に話が来るのは2か月が過ぎ忘れた頃になる。「食券を買ってくれないか?」ともちかけられる。「お金に困っているから買ってくれ。」と同じ事を言われるがさすがにそれは信じない。だれもがこれは何かあるな?いわくつきだろうと思うのは当然だ。しかしそれは深く追求しない。安く食券が手に入るのはありがたいからだ。2回目の時はNからこのいわくつきの話を聞いていたのだが、なにもいわずに2000円を出した。それどころか「今お金に余裕があるからもう1セット売ってくれないか?」と2セット分要求した。「ああ、いいよ・・・」と言って20枚売ってくれた。


それから私はNと学校で食事をする機会があった。食事といっても行くのは校内の生協だ。私は自分が今もっている安く手に入った食券を、今日はなぜかなにか後ろめたさを隠しきれずに使う。そして食券を缶に入れた。ところが一緒に来たNだが・・・私は目を疑った。なんとこともあろうに、ちゃんと自動販売機で正規の食券を普通のお金を入れて購入していた。私はなにか不思議な光景を見るようだった。「なぜ偽造食券を使わないのか?」とは聞かない。ただ普通に買って普通に食事している彼が怖くなった。かれは何事も無いようにおいしそうに食事をする。その日彼と何を話ししたのかは忘れた。彼の行動に恐れおののき話半分で聞いていたのかもしれない。


それから何日か過ぎてまたパチンコ屋で彼と会った。授業がたまたまなかったのでNに

「これから君の家に行ってもいいか?」と聞いた。その食券についていろいろ聞きたかったからだ。「いいよ・・・」食券のことを学校ではなすのははばかられるので彼の部屋を久しぶりに訪ねた。部屋に着くと早速食券の事を聞いた。

「なあ・・・例の生協の食券あったら、おれに売ってくれない?」

「食券?ああ・・悪い・・おれ手元には1枚も持っていないんだ。」

「そうなの?」

実は私は単純に直接Nから買ったほうが安く買えると思ったのだが、あてははずれてしまった。まあ今日は食券が欲しくて彼の部屋に訪れたわけではない。少し間を開けて

「ちょっと疑問に思ったのだけどなんで偽造食券を売るのに中にやつらを入れるの?」

するとNはこっちを見てニコッと笑った。

「ばれた時にあいつらに罪をなすりつけるためだよ・・・」

「えっ??」私は彼をまじまじと見た。するとまたニコッと笑って

「うそだよ・・・みんなでやったほうがばれないんだよ。」

「そうなの?携わる人が多ければだれからか話がもれるかもしれないだろ?ひとりでやったほうが秘密は漏れないし儲けだって多いわけだよね。」

「そうじゃないんだなあ・・・作業は分担したほうがいい。つまりね、これが食券じゃなくて麻薬だとしたらどうなる?麻薬を作っているのがおれで、運び屋があの3人、そして麻薬を所持しているのが君達ということになる。」

「なるほど・・・」

「麻薬を作ったやつが運び屋をやると足が出る。ジャの道は蛇、あいつら3人はああ見えても顔は広いし頭もいいんだよ。ただ中に入ってぼろもうけしているだけじゃない。ちゃんと仕事をしている。」

「なるほど・・・でも信用できるの?」

「利害関係で結ばれているから心配ない。」

「それと気がついているだろうけど、君とおれとだって信頼関係の前に利害関係で結ばれているだろ?」

「どういうと?」

「君はこの偽造の全てを知っているのだから告発することができる。君がおれを裏切ったりしないことは知っているが、その前にすでに、偽造とわかっている食券を使用した君がぼくを裏切れるわけがない。」

「わかるかい?君も共犯者なんだよ。」

「共犯者・・・」


そういわれた瞬間世間知らずの私は小刻みに手が震えて青ざめた。目の前にいるNが恐ろしい悪人に感じた。そう彼は偽造しただけで、実際に自動販売機で正規に食券を購入している。不正なことを生協に直接しているのは私なのだ。

 そうさっきの麻薬の話のたとえにもどると足がつくのも所持している人間からだ。実際に麻薬を今持っているのは私で・・・Nは麻薬を所持していない。さっきも売ってくれと言ったら持ってないといった。おそらく本当に持っていないのだろう。実は本物の食券と偽食券よく見比べてみると微妙に色の濃さが違う。これはふたつを同時によく見つめてみないとわからない。ひょっとしたらその微妙な違いに生協の職員が気づくかもしれない。

もし誰かが気づいたら・・・


「この食券偽造ですよ?」と使っているものから足がつく。

「これ麻薬なんですか?小麦粉かと思いました?」

なんて言い訳は通じないと同じで、

「この食券どこで手に入れました。」と言われれば

「これが偽造だなんて知りませんでした。」というが

入手経緯を聞かれれば知らないは通じない。

そこから運び屋である3人が浮上してくる。Nまでに手が伸びるまでは時間がかかる。なんといってもNは偽造食券を使っていないのだ。だから3人は足がつかないように一度に食券をさばかずに少しずつ小出しに2年くらいかけてコントロールしていく。完全犯罪が出来上がってくる。


「心配することはない。これが世の中の縮図なんだよ。世の中と言うのはこういうふうにして成り立っている。政治家だってうらで何をやっているかわからない。」Nがニコッと笑った。しかし政治家が何をやっていよう偽造食券の共犯者である私を正当化することはできない。


それから私はNの部屋を出て家に帰って財布の中にある食券をすべて破ってすてた。すべて捨てたら私にとっては逆に偽造食券の方が高くついたことになる。しかし罪の意識は消えなかった。


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