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Archives  作者: 彼岸花


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12/13

No.11 殴り書き

(最初は乱れていた文字が、文末に行くほど整っている)

 失敗した。

 何があの作戦でダゴンは全滅する、だ。全滅どころか、ぞろぞろやってきやがったじゃないか。しかも世界中で、一斉にだぞ。そりゃ広範囲にいるかもとは書いてあったが、だからって世界中に現れるか普通? 何もかも間違ってるじゃないか。

 ああ、そうだ。これは失敗だ。

 海沿いの都市どころか、そこから少し離れた内陸の町までダゴン達の津波で壊滅した。秘書からそう聞いた。中国もロシアも日本も、ヨーロッパもみんな流されたらしい。勿論うちもだ。みんな流されて更地になった。

 それと軍隊も全滅だ。

 何処の国もダゴンを止めるため、戦力を海沿いに集めたのが仇となった。仇かこれ? 怪獣が海から来たら誰だって軍隊を海に集めるだろ! 俺じゃなくたってそう命令するに決まってる!

 おまけに空軍はなんか変なビームで撃墜されて全滅状態とか。なんだよそれ。なんで生き物がビームなんて出すんだよ! なんでビームが飛行機を追尾すんだよ! そんなのは映画の話だろ! これは悪い夢か何かか!?

 お陰で内陸の守りはすっかすか。行進するダゴンの奴等を止めるどころか、誘導すら出来ない。元々出来ちゃいないが。

 最初から勝ち目のない戦いだったんだ。軍の奴等の話なんて聞かなきゃよかった!

 もう失敗は取り消せない。

 しかもアイツら、相当賢い。どうやら海沿いに現れた時、かなり長い間その場に留まっていたらしい。軍の攻撃で後退りしていたから、攻撃が通じたと思われていたようだが……なんて事はない。奴等、軍隊が海に集まるよう仕向けていたんだ。大津波で少しでも巻き込めるように。核攻撃に反応して世界中で攻撃を始めたのも、元凶が人間だって分かった上での行動だろう。

 そして今、内陸に入り込んだ奴等の一部は此処ホワイトハウスに向かっている。どうやら此処がこの国の中心だと理解しているようだ。

 この後ヘリで避難する予定だが、果たして意味があるのか。ビームとやらの射程次第だが、ひょっとしたら撃ち落とされるかも知れない。

 奴等の怒りがどのぐらいかは分からない。だが人間は、町を一つ二つ壊されただけで、奴等を絶滅させようとした。そんな生き物を、ここらで勘弁してやろうなんて許すだろうか?

 人間が奴等の立場なら、許さないだろう。自分達がそう思うのに、相手はそうしない、そうすべきでないと考えるのは虫が良過ぎる。

 実際のところ、人間が絶滅する可能性は低いかも知れない。奴等は海の生き物で、陸上活動には制限がある筈だ。地下や山奥に逃げ込めば、見付からない可能性は高い。何ヶ月か生き延びれば、ダゴンの奴等だって諦めて帰る、と思う。

 それでも、大部分の都市は破壊された。たった一夜で文明は失われ、人類の大部分は死滅する。

 我々は過ちの末に、敗北した。

 決断を下したものとして、そして最後の米国大統領として、それを認める。これが私に出来る、唯一の贖罪だろう。

 尤も、この記録を読む者が未来にいるかは分からないが。

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