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源頼朝と北条義時の知られざる関係のまとめ

 正直に言って、これまで延々と述べてきた源頼朝と八重姫との婚姻関係、更に八重姫が最後には北条義時と結婚して北条泰時を産んだという明確な証拠はあるのか、一次資料はないだろうが、と言われると。

 私はそれを素直に認めざるを得ません。

 ですが、坂井孝一氏の論考や更に私なりにネット情報を収集して、又、人間心理まで考えあわせていくとこう考えていくのが、源頼朝と北条義時の義兄弟関係、更に義時と泰時父子関係について余りにも的確に説明できるのでは、という考えに私は至るのです。


(尚、坂井孝一氏の論考は、八重姫と義時は最後には結婚したという結論については、私と同様ですが、その結婚に至るまでの経緯については、私とは全く違う考えですので予め申し上げておきます。

 その詳細について私が下手に引用すると、坂井孝一氏の考えとはズレた引用をしかねないので、詳細を知りたい方は、坂井孝一氏の新書「鎌倉殿と執権北条氏」をお読みください。

 まだ2021年9月に出たばかりですし、値段的にも現在の新刊価格で1023円とそんなにお高くはないですので、詳細を知りたい方が入手するのは容易だと私は考えます)


 それに何故に北条義時の側室(?)の「阿波局」の名を、敢えて北条政子の妹が名乗ったのか、という謎も謎でなくなるという副産物まで、この説にはあるのです。

 普通に考えれば、身分の低い官女で北条義時の正室になれず、父や兄の名前も分からないような女性の名前(呼称)を、何故に北条政子の妹は継ぎ、更に源頼朝の弟の阿野全成と結婚したのでしょうか。

 そんな名前を継がずに、阿野全成と結婚すればいいのではないか、と私は考えざるを得ません。

 

 しかし、「阿波局」が八重姫ならば、その辺りについての説明がつきます。

 実の叔母の官女名だからこそ、北条政子の妹は「阿波局」と名乗ったのです。

 更にその官女名で、阿野全成と結婚したのだと理解できます。


 そして、北条義時の死の状況は極めて怪しいものでした。

 それこそ北条義時の死から数年後に、承久の乱に深く関与していた二位法印尊長がようやく捕縛された際に、

「早く首を切れ。さもなければ義時の妻の伊賀氏が義時に飲ませた薬で早く自分を殺せ」

と叫んだと「明月記」には記されており、実際に北条政子が主導して、伊賀氏は義時の死後に流罪になってもいます。

(もっとも、その一方では北条泰時は、継母になる伊賀氏は冤罪だとも後に述べたそうですが)


 こうした状況を考えあわせると、義時が急死したのは取りあえずは事実としても、泰時が三代目執権になれたのは伯母になる政子の影響が強いことが推認されます。

 そして、政子が何故にそこまで実母の名も分からない泰時に肩入れしたのかを考えると。

 これは泰時の実母が八重姫であり、政子にしてみれば二重の血縁(政子からすれば、泰時は甥にして従弟になることになります)があったという理由からだ、というのはうがちすぎでしょうか。

(更に言えば、年老いた政子にしてみれば、今更と言えば今更ですが、自らも結果的には加担して幸薄い人生を送った叔母になる八重姫の忘れ形見になる泰時に報いることで、少しでも贖罪をしたいと考えたからではないか、という想いが私には浮かんできます)


 ともかく証拠がなく、推論ばかりではないか、幾ら歴史には闇が付き物とはいえど限度があるだろう、と叩かれて仕方のない話だと自分も考えますが。

 坂井孝一氏の著作を拝読して、更に私なりにネット情報を収集して考えてみる程、源頼朝と八重姫、更には北条義時と北条泰時や北条政子との関係の裏には、こういった秘められた事情等があったのではないか、という想いが私には浮かんでならないのです。 

 これで本編は終わりで、次話は余談になる祥寿姫の話になります。


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