和解
「お前ユニークボスモンスター1人で倒したって
まじか?」
威圧のある2人からの質問に少し怯える俺。でも、
俺は怯えてばかりじゃ居られない。なぜなら
アイシャが俺の横で俺の服の袖をちょこんっと
掴んでブルブル震えてるからだ。俺は好きな女の子の前だけ格好つける男の子のように無理やり
強がって答える。
「1人ではないが、このアイシャと一緒に2人で
今回のユニークボスモンスターのうちの一体を
討伐した。それが君たちになにか関係あるのか?」
俺の体もアイシャと同じく震えていただろう。
それでも言えた。明らかに俺よりも格上の
プレーヤーに対して正直に臆せず言うことが出来た
俺の返答に少し驚いた様子で兄の方が口を開けた。
「あー、悪い。別に難癖つけようとかそういう
ことじゃないんだ。ただこいつがイベントの
ランキングで負けたことに不服だったから、
本当にずるをした訳じゃなくて、こいつのことを
越したプレーヤーがちゃんとした実力のある
プレーヤーなのかどうかを確認したかっただけ
なんだ。なっ、お前も謝れ。」
そう言って、弟の頭を持って頭を下げさせる。
「ちょっ、おい、やめろよ兄貴!わかった。
わかった。すまんすまん。悪かったよ。正直
あんたの姿を見た時からその武器であんたが
強いことはわかってたよ。だから、ちょっとだけ
負けた腹いせしようかなー?って思っただけ
なんだ。だから、そんなに怒らないでくれよ。
本当に悪かった特に横の嬢ちゃん。悪かったな
驚かせてしまって。」
素直に頭を下げるゴ・ガイン。どうやら相手の
ことを勘違いしてしまっていたようだ。どうやら
彼らは自分が悪かったら素直に謝ることのできる
純粋なプレーヤーのようだ。
「こちらこそすいません。少しあなたたちのこと
勘違いしていたようです。申し訳ない。正直
なにか難癖をつけられるのかとばかり思って
ました。」
「私は大丈夫です。すいません。あなた方のこと
勘違いして勝手に怖がってしまって。」
俺とアイシャは頭を下げる。それを見て2人は
いやいやと首を振りジ・ガインが話す。
「本当に申し訳ない。こちらの姿勢が悪かった。
おふたりが謝る必要は何もないですよ。でも
それじゃー、おふたりなっとくしないでしょ?
なのでこれでおあいこってことにしましょう。
すいません生意気なことを言ってしまって。」
「いやいや、その提案乗りましょう。誤解が
とけたようで何よりと言うことで。」
「ありがとうございます。」
俺はジ・ガインと握手を交わした。そこに
ゴ・ガインが割り込んだ。
「悪かったな。今度なにかあったら俺たちに
連絡してくれ。お詫びとしてあんたらの力に
なるよ。だからこれ貰ってくれ。」
そう言ってフレンド申請が俺のウィンドウに来た。
「えっ。悪いですよ。そんな。」
「いいから。いいから。受け取ってくれよ。俺の
腹が収まらねぇー。」
「そんないいんですか。」
「弟もこういっているのでぜひ受け取ってやって
ください。もちろん私も手助けさせて頂きます。」
「そこまで言うんだったら有難く受け取らせて
頂きます。」
俺はガイン兄弟とフレンド申請を交換した。
「あっもちろん君もね?」
「えっ?私もいいんですか。」
「あー、驚かさてしまったからね。」
「そんな!すいません。それじゃー、交換
しましょう。ありがとうございます。」
「うっ!あっ、いや、いいよ。こちらこそ本当に
悪かったな。それじゃー、これで。」
どうやら無事にアイシャもガイン兄弟とフレンドに
慣れたみたいだ。でもなぜだろう。なんだか、
誰かが恋に落ちかけた音がしたが、気のせいだろう
「本当に悪かったな。じゃっ、何時でも呼べよ。」
ガイン兄弟は俺たちに頭を下げて帰っていくの
だった。




