色がない。
______何百年と封印されてきた。
真っ暗だった。暗闇の中で自分の力はどんどん衰退していくのを感じる。
そうだよ、必要がなくなれば忘れてしまわれたら、願いすら何もなくなれば、
どれだけ強い力を持っていても意味はない。消えていくだけだ。
身勝手な人間が大嫌いだった。
願うだけ願ってその力が怖くなったら恐れて捨てる人間の醜さが嫌いだ。
我はもうあとは消えるだけなのか。姿すらままならず今はただいるだけ。
誰もこない。誰も願わない、誰も我に気づくはずがない。
そんな忘れられたような小さな神社にある日から突然そいつは現れた。
「はじめまして。こんにちは。こんなところに神社があるなんて!今日もいい天気ですねえ。ではまた」
なんだ?なにしにきたのだ?
人間は神社にきたら賽銭を入れ願うものであろう。変わった女だ。と最初は思った。
「~~~~です!いつもありがとう神様。またきます」
力が弱まっているせいかあまりそいつの願いは聞こえなかったが
願いというよりもいつも報告のようだった。
我はそこの神社の神ではないがそこのお社にはもう何もいないぞ。と思った。
またしばらくしてからそいつはきた。
__なかなか不定期な奴のようだ。
「神様~なかなかうまくいかないですねえ。特に恋愛。振られて未練タラタラですよ。でも彼が今日も笑っていてくれますように!あ、あと妹!姪っ子も!笑ってくれてたらいいなぁ。じゃあ仕事もどります」
丁寧に礼までしていくそいつの姿をやっと初めて見れた。
人間にはそれぞれオーラがある。高貴な私には当然それが視えるし人間誰しもなんらかの色がある。
だがアイツは
『なぜ何もない』
あるはずの色が何もない。
至って普通の人間のはずなのに何もないことが不自然であった。