案外、近くにあるもの
「仕事、よく頑張ったね、お疲れさん・・」
僕はご機嫌の君とグラスを合わせる
カーン、と心地よく響く音は
やがて君への無限の笑顔へと変わる
僕がハッと顔を上げてみると
目の前にいるのは残念ながら、キミではなく
等身大の僕だった
どうやら夢の中の君と僕だったらしい・・
鏡に映る僕は
キミに向けた言葉の多くは語らずに
ただただ、キミの頑張りに褒めることを忘れない
今日ぐらいは思いっきり飲み明かしたいね・・
夢の中の君に伝えることをつい、忘れてしまったから
僕はもう一度、眠りについて
君との続きを語らないと・・・
どうしても会えないときは仕方がないね
でも、そういうときに限って
僕たちの距離は案外、近くに感じるものなんだ
キミはもう眠りについている頃かな・・
それとも一人ビールで疲れを癒しているのかな・・
僕はもう一度、グラスを合わせたときの
あの「カーン」という音が聞きたくなった・・