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12の旅『傲慢でも根性あった星』

‥‥‥ダァーンっと銃弾が鳴り響き、辺り一帯に続けて銃声が飛び交っていく。


 下の方を見れば、何やらどこかの国の兵士たちらしき人たちが懸命に銃で攻撃をしているようだが、その対象となっている巨大な人工物‥‥‥巨大な戦車のようなものに全く歯が立っていない。


「ぐわぁぁぁ!!」

「おのれぇぇぇぇ!!」


 悲鳴が聞こえてきても、その攻撃はまったく効果はなく、反撃の砲撃を受けてしまっている。


『‥‥‥なんだこれ?機械VS人間みたいな構図だな』


 上空でいったん停車しながらも、見えているその光景に私は思わずそうつぶやいた。







 新しい世界のとある星に来たので、着陸のための良い場所探しをしていたのだが…‥‥何やら今、ココが戦場になっているらしい。


 何がどうしてこうなったのかは不明だが、とりあえず他者が手を出していいような感じもしないので、ブレーキを外し、兵士たちの後方へ向けて走り出す。


‥‥‥正直言って、こういう人命が失われるような場所は居たくない。助けたくも思うが、事情も知らなくては意味もないだろう。


 なので、なぜこのような争いごとが起きているのかを早急に知るために、私は兵士たちが守っているであろう国へ向かって駆け抜けるのであった。








「暴走機械国との戦争?」

「おやまぁ、旅人さん、その話を知らなかったのかなぇ?」


 兵士たちのいた国と思われる所へ到着し、人込みに交じって情報を集めると、なぜあのような戦場があるのかという話を聞くことができた。


「あそこはねぇ、元々は偉大な宗主様が作りなさった楽園だったのさ」

「宗主ねぇ‥‥‥」





 話によれば、はるか昔。


 あの戦車がやってきた方の国‥‥‥いや、正確にはこの国の母体とも言うべき国がそこに存在しており、巨万の富を築き上げ、物凄く繁栄していたそうだ。


 というのも、かつては途轍もない技術力を持っており、全てをほぼ万能にこなせていたそうである。


 とはいえ、その技術力があっても、所詮使うのは人であり、その人次第によっては繁栄にも滅亡にもつながりかねない。


 そのため、どうしたものかと創立者である宗主とやらが考え込んだ結果、人ならざる存在に統治などを任せて見ようかと思いついたそうなのだ。


 その人ならざる存在には絶対公平かつ、人々を永遠の平和と楽園で過ごせるようにという目的を持たせて安全にしようと考えたこみ、技術を結集させた一つの知性体を生み出したそうである。


 それが、技術の結晶‥‥‥宙に浮かぶ宝石のような姿でありながらも、人々のために働き続ける脳みそのようなものとして名付けられた『マザーブレイン』。


 マザーブレインは非常に優秀なAIを搭載した機械のようなものではあるが、その判断は人間的なところがありつつ、間違いを犯さないとして人々に信頼され、全ての統治を任せたそうだ。



 そしてそのブレインが着任して1000年。国は非常に発展し、人々は楽園と化した国で非常に満足度の高い生活を送ることができていた。






‥‥‥だがしかし、残念ながら永遠の平和は無かった。


 人は欲に限りがない生き物であったというべきか、便利になればなるほど次第に傲慢さを増していき、各地で微細な争いが起こり始めた。


 人々のために働き、平和をもたらすためにマザーブレインは必死になって働いたそうだが‥‥‥ある時、とある判断をしてしまった。


 

「人がいるからこそ、争いは起きて平和にならない。であれば…‥‥どうすると思う?」

「普通は起こさないように努力するけど…‥‥手っ取り早いのは、全滅か?」

「その通りだ」


 間違いではないだろう。誰一人としていなくなれば、まさに永遠の平和。


 しかも、人間は生きている間も何かと苦しみもあり、老いとか病気とかも完全に防げていなかったので、その治療や寿命に関して嘆き悲しむ人もおり、いっその事消え失せればすべてが解決するだろうと、マザーブレインは判断してしまった。






 そこからマザーブレインは行動が早かった。


 すぐに人々を駆逐するために、長年の稼働で失われているに等しかった兵器の数々を復活させつつ、次々にそれらを使用して駆逐し始めたのだ。


 それに対して、人々もそう馬鹿ではなく、直ぐに対抗するために動き…‥‥こうして今、国を別の場所に作って、そこからマザーブレインがいる国と戦争を行い始めたのだ。


 

 とはいえ、技術力だけで見れば雲泥の差があり過ぎて、普通であれば10日も持たずに全人類の全滅は免れなかったらしい。


 けれども、どこの世界にも根性があるというか、ずる賢い者たちはいる者で‥‥‥自分達で抵抗できそうな武器を作れないのであれば、相手から奪えば良いという精神で見事に武器の一部を奪い、ものにしたのだ。


 その上、奪うだけではいつかできなくなって尽きると考えていた人たちもおり、兵器の開発や改良などを行い始め現在まで戦闘が続いているそうなのであった。



「…‥‥今でもまぁ、人同士での争いはある。けれども、全人類全滅を企まれたら組むしかなく、くしくもある意味平和になっているのさ」


 昨日の敵は今日の友。共通の敵は組んで倒した方が良いという事で、今人々は一丸となって妥当マザーブレインを掲げているらしい。


 というのも、人っ子一人元の国にはおらず、あの兵器を動かしているのは全てマザーブレインだけなので、それさえ破壊できれば収まるそうな。



 まぁ、ブレインまでたどり着くのもそもそも難しいのだが…‥‥それでも、やられようが人々はあきらめることなく前を向いて突き進む。


 傲慢さを育てて愚かになった自分達を悔やみつつ、その傲慢さを活かしてむしろブレインを絶対に倒せると豪語しまくり、諦めることはしない。


 その図太い根性に、思わず私は感嘆を覚えるのであった…‥‥‥







‥‥‥そして数年後、人々の根性は報われ、ブレインは破壊されたらしい。


 そして機械は全て人の元に下り、なんとか収まったそうだ。


 その暴走の教訓も得て、今後同じようなことが起こらないように努力するそうだが、果たしてそれはいつまで続くのかと疑問にも思うのであった…‥‥

かつては英華を誇っていた星。

けれども、自身に育っていた傲慢さゆえに裏切られ、それでも再び立ち上がった。

そして手に入れた勝利ではあったが、いつかまた、同じような事を引き起こすかもしれないのだ‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥個人的にはもっと内容を濃くしたかったかも。

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