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七年後 前編

 庭の縁側に吊るしてある風鈴が、なんとも涼し気な音を奏でてくれる。

 私は開けっ放しの窓の外へと出向き、縁側へと腰かけた。

 空は夕焼けで紅色に染まり、昼間とは打って変わって涼しい風が私の体を撫でる。


 私は今、半袖のTシャツにハーフパンツ。寒くは無いが、昼間とのギャップのせいか少し涼しすぎる。

 でもこのくらいが丁度いいかもしれない。特に今日のようなイベントの日は。


 鼻をくすぐる芳ばしい香り。恐らくトウモロコシを焼いている匂いだ。醤油の香りがするから。

 

 本日は近所の神社の縁日。

 いわゆる夏祭りという奴だ。高校からの帰り道、既に浴衣を着た人がコンビニに出没していて、それを見ただけでワクワクが止まらない。私は祭りなどのイベントが大好きだ。いつか子供の頃に遊園地に連れて行って貰った事を思い出す。煌びやかなナイトパレードを前に、子供の私は楽しくて仕方なかった。


「杏ちゃん、そろそろ宗吾と美鈴さん来るよ」


「はーい。っていうかお父さん、そろそろ……ちゃん付け止めてくんない? この前友達の前でも言ってたでしょ。私ちょっと笑われたんだから」


 縁側に座りながら父へと異議申し立てをする私。

 父は困った顔でソワソワとしながら、私へと必死の弁明を。


「だ、だって……杏ちゃんは杏ちゃんだし……ごめんよ、お父さんは杏ちゃんがいつかお嫁に行っちゃうと思うと……寂しくて……」


「私まだ十五だよ。高校生になったばかりなんだから……まだ行かないよ」


 父は基本寂しがり屋だ。それは亡くなった母からの手紙にも書いてあった。


 七年前、あの遊園地で思う存分遊んだ私は、一通の手紙を兄から受け取った。

 それは私の母からの手紙。私は母の事を写真でしか知らない。何せ私が一歳になったばかりの時に亡くなってしまったのだから。


 そんな母からの手紙を、当時私は兄に読んでもらったが良くわからなかった事だけは覚えている。

 でも成長と共にその意味が分かってくると、私は父を守らなければ……と思うようになっていた。


 別に父を護衛せよ、と書いてあったわけでは無い。

 要約するとこうだ。寂しがり屋の父に思う存分甘えて、沢山我儘を言って、沢山構ってあげてみたいな事が書いてあった。

 そして最後に……母からの謝罪とお礼の言葉。


 当時私は母の存在すら知らなかった為、何故そんな事を言われなくてはならないのだ、と思っていた。

 しかし中学生に上がり、母からの手紙の意味が重くのしかかってきた。私は中学生で反抗期を迎えたのだ。寂しがり屋の父を守らねばと思う反面……私は無性にイライラして父や兄に当たっていた。


 私の反抗期は酷かった……と思う。

 父の言葉一つ一つが、その行動一つ一つが全て気に食わなくて私は竜巻のように荒ぶっていた。あんなに仲の良かった兄とも大喧嘩をした。兄が結婚すると知った時も、それはもう派手にやらかした。兄専用のマグカップを割ったり、兄専用のシャンプーを全て捨てたり。とにかく兄が結婚する事が嫌で嫌で仕方なかった。


 別に兄が取られると思ったわけじゃない。絶対違う、それは無い。絶対に絶対にだ。私はそこまでブラコンじゃない。相手の美鈴さんにも強く当たり過ぎて泣かしてしまったが、私は別に兄が取られると思ったわけではない。たぶん……。


 そんな兄が結婚したのは二年前。その頃私は反抗期の末期で、嫌々結婚式に行きボロ泣きしてしまった。

 兄が私だけの兄で無くなってしまったから……。


 いや、別に兄が取られると思ったわけじゃない。



 話を戻そう。

 兄は二年前に結婚し、この家から出て行ってしまった。今は隣の県で相手の女性と、その間で出来た子供との三人で生活している。兄一人が出て行ったというだけで、この家は随分広くなったと感じた。そしてようやく私の反抗期も過ぎていった。


 兄と結婚したのは美鈴さんという女性。私よりも背が低くて、気が強そうに見えて実は弱い可愛い人だ。

 そんな可愛い美鈴さんは、もう兄にベッタリで許せ……無い事はない。夫婦なんだから当たり前だ。


 そしてそんな熱々夫婦の間に生まれた子供は可愛い男の子。

 今年で二歳になる子で、名前は蒼君。何故か私は好かれており、兄が実家である我が家に帰ってくると、私は蒼君の面倒を見る事になる。美鈴さんは子育てから解放されるから助かると言っていたが、私と蒼君がラブラブ状態過ぎるとヤキモチを焼いてしまう。なんて可愛い。


 そんな可愛い美鈴さんに、私は本日、浴衣を着せてもらう事になっていた。

 高校に入学して、生前の母よりも背が高くなってしまった私に父は新しく浴衣を買ってくれたのだ。なんか妙にお高い奴を。

 しかし困った事に、私も父も浴衣の着付けなど出来はしない。ネットで色々調べて実践してみたが、それはもう不細工になってしまう。

 それを私は美鈴さんに電話越しで相談すると「着付け出来るよ!」という頼もしい返答を頂いた。なんでも美鈴さんは高校時代に着付けの資格を取得していたとか。正直英雄が現れた、と私は心から嬉しくて喜ぶ一方、反抗期時代に美鈴さんを泣かしてしまった事が悔やまれてならなかった。


 機会があったら謝りたいと思っていたが、今日がその機会かもしれない。

 ちゃんと美鈴さんに謝ろう。私はもう高校生で……もう大人なんだから。


「ただいまー」


「おじゃましまーす」


 その時、玄関から兄と美鈴さんの声が。

 私は勢いよく立ち上がり、ラブラブ夫婦を出迎えに行った。





 ※





「あー、駄目だわ。親父、最近そっちの会社どうなんだ? もう俺ん所散々だぞ。毎日残業続きで……」


「いやー、父さんのところもそこそこ大変だよ」


 父と兄は帰ってくるなり居間を陣取り、お互いの会社の愚痴を。

 そして私は蒼君に抱き着かれながら、美鈴さんと共にお茶の用意をしていた。といっても冷蔵庫に入っている麦茶をコップに注ぐだけだが。


「……美鈴さん、最近どうですか?」


 唐突な私の話題の振り方に、美鈴さんは一瞬「ん?」と首を傾げるが「まあまあだよー」と返してくれる。というか背中が重い。蒼君をオンブしながらとは一体なんのキントレか。


「……兄さん、残業続きって言ってますけど……帰り遅いんですか?」

 

 蒼君をおんぶしつつ、麦茶をコップへと注いでいく。その間、美鈴さんはお土産に買ってきてくれた水ようかんをスライスしていた。すげえ美味そう。


「んー、遅いって言っても七時には帰ってくるよ。もうグッタリだけどね」


「兄さんに酷い事されてません? その……会社のストレスで美鈴さんに当たったり……」


 私は密かに、兄の事をダシにして自分の反抗期時代の話を持ち出し謝ろうとしていた。

 って、なんか蒼君が私の口の中に指を……指を入れてくる! 君、ちゃんと外から来て手洗った?!


「別にそういうのは無いけど……包丁持ってる時に後ろから抱き着くのは止めてほしいわ。マジで危ないもの」


「ラブラブじゃないっすか」


 不味い、話題が逸れようとしている。そして兄はそんなセクハラを妻に対して行っているのか。


「と、ところで美鈴さん、兄に泣かされたりしてませんか」


「……どうしたの、杏ちゃん。宗吾の粗探ししてるの?」


 してません……してませんよ。

 ただ私は美鈴さんから兄に対しての悪行を聞き出し、そういえば私も……と反抗期時代の話題を出して謝りたいだけなんだ。


 しかし兄は美鈴さんの背後から抱き着くなどのセクハラ行為しかしていない。

 いや、いいんだけど。ここで本当に悪行してたら硬い物で殴ってやるけども。


 そのまま私は背に蒼君を背負ったまま、五人分のお茶を乗せたお盆を持つ。そして美鈴さんは水ようかんを持って居間へ。兄と父は……ってー! ビール飲んでる! お前等、折角麦茶持ってきたのに!


「ちょっと、二人とも何で既に飲んでんの。飲むなら言ってよ。折角持ってきたのに……」


「おう、悪い悪い。でも飲むぞ。喉乾いてるから」


「杏ちゃん、ありがとねぇ。ぁ、美鈴さんも……それ何? ようかん? お土産なんて気使わなくても良かったのに」


 美鈴さんはそれぞれに小皿に分けた水ようかんを。

 透明のゼリーの中に……なんだろう、栗らしき物と餡子が入ってる。


「いえいえ、いつもお父さんにはお世話になってますから……。ほら、蒼もそろそろお姉ちゃんから降りなさい。お姉ちゃん困ってるでしょ?」


「やぁ……」


 母親から注意されて駄々をこねる蒼君。そのまま私の首へと抱き着き、チョークスリーパーを仕掛けてくる。


 っく、くるしいッ!


「蒼ちゃーん、ジージの所においでぇーっ。ほらほら、ジージの膝の上で美味しいの食べよー?」


 もはや自身の孫にメロメロの我が父。自身の事を「ジージ」と呼ばせ、もうこれでもかと言うくらい猫可愛がりしている。兄が実家に帰ってくると父は嬉しそうだ。普段は私のような難しい娘と一緒なんだから……そりゃそうか。


 蒼君はジージに呼ばれると、やっと私の背から降りてジージの元へ。

 その膝にチョコンと座り、ようかんを「あーん」してもらっている。


「おい、親父。あんまり甘やかすなよ。蒼には強い男に育ってもらわねばならぬのだ」


 兄の言葉に、少し肩を落とすジージ。

 いや、別にいいじゃないか。まだ二歳なんだし、ジージの楽しみでもあるんだ。


「兄さん、二歳の子に何言ってんの? ジージの愛を与えるのも教育なり」


「うっ……杏に言われると……」


 途端に萎縮してしまう兄。反抗期時代に一方的な言葉の暴力を浴びせたせいか、兄は私の言葉に弱い。

 そして父は嬉しそうに引き続き蒼君を撫でまわす。私もこんなんだったんだろうか。私が生まれた時も……父はこうして可愛がってくれたんだろうな……。


「ところで杏ちゃん、浴衣ってそれ?」


 美鈴さんは壁にかけて用意してある私の浴衣を見る。

 私は頷きながら「そうッス」と答えると、美鈴さんは嬉しそうに浴衣の前へと。


「可愛いわねーっ、杏ちゃんに似合いそうーっ、早く着せたいな……ねえ、もう着ちゃう?」


「ぁ、はい。じゃあ……」


 そろそろ本格的に日が落ちて花火も打ち上げられる。

 もう着替えておいた方がいいだろう。クライマックスに間に合わなくなる。


 私はようかんを頬張りつつ麦茶を一気飲み。そのまま美鈴さんと共に隣の部屋へと行き襖を閉める。

 すると途端に蒼君が襖を開け、顔を覗かせてくる。まるで子リスのようだ。


「ほら蒼、男子禁制よ。ジージとお父さんの相手してなさい」


「ぅー」


 蒼君はとても不満げだ。しかし美鈴さんは容赦なく蒼君のオデコを指で押しつつ、ピシャっと襖を閉める。


「じゃあ始めようか。それにしても……良い生地ね。これ高かったんじゃない?」


「ぁ、はい……父は値段教えてくれないんですけど……たぶん結構……」


 そのまま私は下着姿になりつつ、美鈴さんに着付けしてもらう。

 今日は髪も弄って貰える事になっていた。というか私の髪長いな。下手すると腰まである。


「そろそろ……髪切ろうかな……バッサリ……」


「切ってあげようか。私も昔は自分で切ってたし……でも杏ちゃんの髪綺麗だから、羨ましいな」


 生前の母の写真も髪が長い。

 酔った父は良く私にこう言っていた。杏ちゃんの髪はお母さんにそっくりだと。

 母を思い出させてしまうから切ろうと思った事もあったが、なんだか切ると父が寂しそうにするのが容易に想像できる。


「それにしても杏ちゃん、背伸びたねぇ、今いくつあるの?」


「168cmくらいです……もう父と同じくらいだから、あんまり伸ばしたくないんですけど……」


「あはは、そうだよねぇ。中学生の時は私と同じくらいだったのにねぇ」


 はっ! ここだ! ここしかない!


「あ、あの……中学の時と言えば……私結構荒れてましたよね。美鈴さんの事泣かしちゃったり……」


 浴衣を着つけてもらいながら、私はようやくその話題を出した。

 美鈴さんは苦笑いしつつ、手際よく作業を進める。


「あはは、有ったね、そんな事。でも全然私は気にしてないよ。私もあったし、反抗期くらい」


「そ、そうなんですね……」


 って、終わっちゃった?!

 不味い、不味いですよ奥さん。


「そういえば、杏ちゃん、友達と縁日行かないの? こんな可愛いの着ていくのに」


「え? い、いや……友達皆……彼氏と行くとかで……」


 私の周りはリア充ばかりだ。全く嫌になる。

 

「あぁ、そうなんだ。じゃあ杏ちゃんも……今日いい子と出会ったり……」


「シクシクシク……シクハック……」


 その時、隣の部屋から不気味なすすり泣く声が。

 父だ、父が泣いている。どうやら私達の話を盗み聞きしていたようだ。


「おい、親父泣くなよ。泣くくらいなら母さんの言う通り再婚しときゃ良かったのに……杏がいつまで経っても嫁に行けなくなるぞ」


「うぅ……そんな事言ったってぇ……」


 駄目だ、向こうの会話は無視しよう。

 そのまま私の着付けは最終局面を迎える。姿見を見ながら帯を調節。淡い赤色をベースに、白い花が咲いている浴衣だ。何の花かは分からないが。


「美鈴さん……この花ってなんですか? アサガオ?」


「ん? あはは、宗吾と一緒の事言うねえ。私と初めて会った時もこの花柄だったんだけど、宗吾はアサガオアサガオって……。これは牡丹だよ」


 ぼ、ぼたん? そうか、これが牡丹か……。


「はい、浴衣は出来上がり。次は髪ね」


「け、結構締めるんですね……」


「おしゃれは我慢よ。食べ過ぎるとお腹痛くなっちゃうから気を付けてね」


 その時、隣から鼻で笑う兄の声が。

 姿見越しに美鈴さんの顔が豹変する。まるで鬼の形相だ。そのまま舌打ち。そして途端に隣の部屋は静かになる。


「はいはい、髪やるよ。座って座って」


「お、押忍……」


 私は丸椅子に座り、美鈴さんは私の髪を梳かし始める。

 今まで何度かやってもらっていたが……美鈴さんに梳かされるとマジで眠くなるんだよな……。


「どうする? お団子にする?」


「お任せします……私そういうのサッパリなんで……」


「あー、男二人に囲まれて育つとそうなるよね……って、ぁ……ご、ごめんね?」


 ……? 何が?

 何で謝ってんの、この人。


 不味い、美鈴さんが何で謝ってるのかが分からない。

 そのまま沈黙してしまう私。すると隣から、兄は私に


「杏、美鈴は母さんの事言ってるの」


 お母さん?

 あぁ、そういう事か。母親が早くに亡くなってしまった事を彷彿とさせたと、美鈴さんは謝っているのか。


「いや、そんなの全然……私お母さんの事覚えてないし……」


「う、うん……ごめんね?」


 不味い、また謝られた。

 謝りたいのは私の方なのに……反抗期の荒ぶっていた頃の事を謝りたいのに……。


 ええい、もうここで謝ってしまおう。

 

「あの、美鈴さん……私もごめんなさい……」


「……ん? 何が?」


 私と同じような反応をする美鈴さん。

 そのまま私は続ける。


「私、中学の頃……美鈴さんに酷い事言って……。アバズレとか性悪女とか……」


「あ、あぁ、別にいいよそんなの。私にもあったもん、反抗期」


 そりゃ……誰にでもあるって事は知ってる。

 だから許せない。反抗期だからと許される範囲を、私は越えてる気がする。


 すると兄は再び隣で鼻で笑ってきた。

 

「そういえば俺も親父と殴り合いの喧嘩したな。高校の試験受ける前日に」


「あぁ……あったねぇ。杏ちゃんは眠ってたから知らないよねぇ」


 えっ、なにそれ。殴り合い?!


「親父が俺に……早く寝ろ、いつまでも勉強して寝不足のまま試験受ける気かって叱ってきて……」


「そうそう。宗吾は真面目さんだったから……絶対受からなきゃって思ってたんだねぇ……」


「まあ、第一志望はそれで落としたんだけどな。悪かったな、親父。あの高校受かってたら、もっといい大学にも行って授業料も安くすんだのに」


「いやぁ、それで良かったんじゃない? 違う大学行ってたら人生変わってたかもしれないよ。美鈴さんとも出会わなかったり……」


 ちょ、ちょっと待て!

 なんで兄さんが爽やかに謝ってんの?!

 私! 今私のターンなの!

 私の……


「ちょっと、男共お黙りなさい」


 その時、美鈴さんが男共を黙らせた。

 そのまま私の頬を後ろから包み込んで……ムニムニしてくる。


「ほら……折角の縁日なんだから。笑わないと」


 耳元でそう囁いてくる美鈴さん。

 私はいつの間にか泣いていた。意味が分からない。何故泣くんだ。

 

「ごめんね、私は本当に気にしてないし、杏ちゃんは可愛い妹なんだから……」


「…………」


 ……なんだか一枚、ガラスが割れた。

 そんな音がした。リアルでじゃない。私の心の中でだ。


 私は今まで美鈴さんの事を姉と呼んだ事は無い。

 理由は簡単だ。反抗期時代に荒ぶっていた事が枷になっていたから。

 

 美鈴さんに申し訳ない事をした、だから私は美鈴さんを姉と呼ぶ資格が無いと思っていた。


 でも、呼んでもいんだろうか。

 いや、呼びたい。美鈴さんを姉と……呼びたい。


「お、お姉ちゃん……」


「……今、なんと?」


「え? いや、なんでもないっす……」


「もっかい! もっかい言って! 言いなさい!」


 何この人!

 いきなり荒ぶりだした! 私のほっぺを揉みこんで、フェイスマッサージしてくる!


「お、おねえひゃん……」


 観念してそう言い放つ私に、美鈴さんは後ろから抱き着いてくる。

 そのまま私の頭を撫でまわしてくる。


「可愛いなぁ……我が妹……」


「ど、どうも……」


 そして気が付くと、既に外は真っ暗になっていた。

 縁日の賑わいも耳に届いてくる。


「ぁっ、急がないと! お団子! お団子にするね!」


「ぁっ、はい……!」



 今年もこの季節がやってきた。

 楽しい楽しい……夏祭りの季節が。




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夏祭りと君企画
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