【余話】「ドミニク迷言集」
やぁ、みんな。ドミニクだよ。
ボーナストラックとして、僕の迷言を集めてみたんだ。
こんなこと言ってたなぁ、と思ってもらえると嬉しいな。
出典も書き添えておくから、どういう脈絡で飛び出した発言かわからなかったら、該当する話を読んで確かめてね。
それじゃあ、はじめるよ。
◆『オレンジシティー物語』より
「お利口さんだな、テオは。でも、そんなチキンハートじゃ、父親を超えることなんて出来ないぜ? まっ。一生、大きな影に怯えて暮らしたいなら、それでもいいけどさ。――ハッハーン。さては、高いところが怖いんだろう。弱虫やーい」
――007「狼煙を上げる」
「ゴマすりだって、処世術のうちさ。おだてて乗せて、気分をよくしたところで、こちらの要求を通してもらうんだ。ウィンウィンだろう?」
――009「煙に巻く」
「おっ、何だ何だ? そこはかとなく、色こいロマンスの香りがしてきたぞ」
――010「再会と名前」
「無茶苦茶な論理だね。別に、出そうと思って出すんじゃないんだ。隠そうとするのをやめると、自然と出るものなんだよ?」
――015「そのころ庭では」
「おっ、いいね。怨霊、モノノケ、悪鬼退散! うりゃー!」
――016「罪と罰と清掃作業」
「ここ数日、体罰上等の理不尽なしごきに耐えてきたじゃないか。そろそろ、ここらでガス抜きしようぜ?」
――018「無責任な変わり者」
「気落ちしそうな地味な制服より、こっちのほうがワクワクするだろう? 冒険には装備がつきものである」
――020「おにごっこ」
「腕っぷしが強そうな相手に因縁つけられて、逃げないほうがオカシイよ。三十六計、逃げるは恥だが、負け知らずさ」
――022「切れない縁」
「エー。食べ頃のメロンちゃんなのに、もったいない」
――025「上か下か」
「手も動かしてるさ。口も八丁、手も八丁」
――027「家庭用、市民用、教団用」
「雪が融けて春が来たのさ。わからないのかい、鈍感ボーイ」
――029「最後に何を言いかけた」
「おぉ、怖い。それじゃあ、アレだな。そろそろ、理性が保てないんだろう? イヤン。僕たちは、清く正しい仲でいたいのに」
――031「東の島国から」
「あぁ、そっか。……あ~あ。青天白日で絶好の祭日和だっていうのに、なんで巡回警備なんかしなきゃいけないんだよ。おかげで、青春が灰色だよ。気分がブルーのグレースプリングだ!」
――033「お仕着せ」
「気になってるくせに、強情だな。チャンスの女神は、前髪だけのモヒカン族なんだぞ? 迷う前にハッシと掴まなきゃ」
――035「パトロール中に」
「あぁ。で、どうしようか? さっき貰ったオレンジでも投げつけてみる? ちょうど二つあるんだ。髭に当たったらストライクってことで」
――037「二人の奇兵」
「待てと言われて、待つ馬鹿はいないよーだ」
――038「かなしい邂逅」
「そうだな、テオ。これは、ものものしい雰囲気が漂ってる感じだぞ。バタ臭さマキシマムだ」
――040「幸運を掴み損ねる」
「自分で歩いてくれれば楽なのに。おい、テオ。もしも狸寝入りだったら、僕だって許さないからな。化けて出て来たら、容赦なく除霊してやるから、覚悟しやがれ!」
――042「時は一刻を争う」
「はてさて。どこにトラブルメーカーがいるのやら? 彼かな? それとも、彼女かな?」
――048「切っても切れない縁」
「年上ならウェルカムよ。倍の歳まで許容範囲」
――【余話】「ティータイム」
◇『オレンジシティー物語Ⅱ~ドミニクの憂鬱~』より
「イタズラ好きの妖精さんだよ。あいにく、お菓子をあげなかったから」
――052「なんということでしょう」
「大丈夫だって。水気が多くて、なかなか燃え切らなかったって言えば良いさ。――ヤマモモ、ゲット!」
――053「行きがけの駄賃」
「誰がリスモドキだ。勝手にリス扱いするな」
――055「ごまかし」
『用心深いんだな。同じギャグを二度かますほど、僕も馬鹿じゃないよ。お色気サービスは、一度だけさ』
――056「オブラート」
「そんなことを言って強がってるけど、ホントは暗がりが怖いだけじゃないのか? ヘイヘイ、ボーイ。正直に吐いて、楽になっちまえよ~」
――057「レンブラントの名画もどき」
「なんか、こう、もっと刺激が欲しいよ。嗚呼、スリルとサスペンスとサプライズよ、来い!」
――062「オレンジシティー一区」
「分かってるって。同じ失敗を二度繰り返すほど、ドミニクさまは馬鹿ではないのである」
――063「プルーストの真似」
「誰が読むんだよ、こんなカビの生えた論文を!」
――066「象牙の巨塔」
「あぁ。あやうく、辞世の句を詠むところだった」
――069「ラプラスの悪魔のように」
「あっ、そうか! 体育の先生の飲み水を消毒液にすり替えるよう、保健の先生にお願いするんだね?」
――071「泳げないわけじゃないけど」
「イザってときに使えないなんて、あんまりだよ。なんのためのヨウゴ教員なんだ!」
――072「斜め上の発想」
◆『オレンジシティー物語Ⅲ~いままでのマリー、クロエのこれから~』
「お任せあれ! 何かあっても、必ず解決してみせますよ。テオが」
――078「特別で面倒な依頼」
「ネズミじゃなくて、シマリスだ!」
――082「親の心子知らず」
「了解。あの山羊小僧め。見つけたら、丸焼きにして、グレイビーソースで平らげてやる!」
――085「相手が七歳児なら」
「五分くらいかかるんだとさ。何か、体温が下がりそうなお寒いジョークでも言ってやろうか?」
――092「そして冬へと続き」
「はい、僕です! って、そういうことじゃなくてさ。ピンチもピンチ、大ピンチ。生まれてはじめて、超ピンチなんだよ」
――094「ほとぼりを冷ます」
「イテテテ。そんなに無理に引っ張らないでくれ。僕の耳は、餅じゃないから伸びないって」
――106「好奇心と安心感」
「フッフッフ。残念だったな、ヴェロニク。僕とテオは、ともに風呂に入り、ともに一枚の布団で寝た仲だ」
――【番外編】「波瀾万丈、の続き」
どうだったかな?
エマとテオの恋愛譚に始まった長い物語を、これで少しは思い出せたんじゃないかい?
さて。最後は、読者のみんなに御礼をして、おわかれしよう。
昨年の九月にシリーズ一作目が連載開始してから、かれこれ半年以上。
正直、ここまで長い話になるとは、作者は思ってなかったんだって。
ひょっとしたら、シリーズ外伝を書いたり、ここで登場したキャラクターの誰かが別の作品にお邪魔するかもしれないけど、ひとまず、この三作目でオレンジシティー物語は、おしまいにするつもりなんだ。
それでは、また逢う日まで。
最後まで読んでくれて、本当にありがとう!




