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放置ゲー廃課金者、転生する!  作者: さぶいち
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第050話

♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


翌日。昨日よりは遅めの時間に起きると、部屋の有様に改めて溜息をつく。


「タンスが8個、5人揃って寝れる特注ベッドに軽食が作れるキッチンって………。おかしいだろ…」


どの高級宿にも負けない広々とした空間に、5人家族で悠々と暮らせるだろう一室を作った事に、ちょっとだけチカ達を尊敬した。


この部屋は1階の奥に作られており、俺達の生活スペースとなっている。チカ達が別々になるのは嫌だと断固拒否した為、どデカイ部屋となってしまった。


2階は子供達が勉強出来るように教室となっている。まだ、学校というものにするには敷地が足りない為、職員室などは無い。3階は図書室で子供達が絵本を読んだり、大人が勉強出来るように机も準備している。ちなみに利用料金は無料だ。


建物の造りだが、1階はL字に作っており奥側が俺達の部屋。玄関は広く作っており、その隣には昼食を取れるようにキッチンを置いてある。外に出るとコの字で庭となっており、ブランコもどきや鉄棒もどきも作ってある。中々の出来栄えで、昨日の宴会では酒を呑みながら大工のおっさん達が楽しそうに遊具で遊んでいた。


玄関入り口すぐに階段を作っており、そこから2階・3階へと登るようにしている。細かく低めの階段になっており、子供達が無理せず登れるように配慮している。


そして、玄関には呼び鈴とここの看板を立てている。昨日、ガンテツが『名前を決めよう』とおっちゃん達と和気藹々と話しており、最初は『アルス邸』や『アルス第1学校』などと言うふざけた候補が上がっていた。しかし、何処からともなく現れたコンラッドにより、『サガン第1学校』という捻りもない名前となった。


辺境伯にもコンラッドから話が行っており、あまりの早さに引き気味だったらしいが、何も言われなかったみたいだ。コンラッドも3階の本の多さにはかなり驚き、『本当に学校みたいだな…』と当たり前の事をボヤいていた。


裏側には馬小屋を作ったのだが、ゼロ達がストレスなく走り回れるよう広めに作られている。もちろん、寝床はそこらの馬小屋よりもグレードは高い。


こんな簡単に増築した事に驚いたものだったが、1日寝たら案外慣れるものではあった。


「……ん?お客さんかな?」


昨日の事を振り返っていると呼び鈴の音が聞こえた。チカ達を起こさないようにベッドから降り、玄関へ向かう。


「はーい」


「おはようございます。…すみません、子供を2人預けたいんですが…」


「ああ、大丈夫ですよ。お昼ご飯は持って来てます?」


「いえ…いつも持たせていないので…」


「わかりました。アレルギーとかあったりします?」


「いえ。ウチのにはアレルギーは無いですよ」


「なら、昼はこっちで食べさせますね。お母さんも昼休憩の時にはウチに来て子供と一緒に食べてやってください」


「え?いいんですか?」


「大丈夫ですよ。街で食材なんかは寄付してもらってますから。…まぁ、適当な物しか作れませんけどね」


「助かります。それでは、お昼にお邪魔しますね」


「はーい。お仕事頑張ってください」


子供達を預かり、お母さんを見送る。子供達も昨日の有様を見ていたのか遊びたそうにウズウズしている。


「とりあえず、怪我しないように好きなだけ遊べよー!あと、喧嘩はしちゃダメだからな!お兄さんとの約束だ!」


「「はーーい!!」」


子供達を庭に連れて行くと、丁度他の親子が何人も訪れて来た。先程と同じ応対をして、子供達を庭へ連れていく。


「おーい!アルスの旦那!久し振りだなぁ!」


「おお!おっちゃん、久し振りー!おっちゃんとこも連れて来たのかい?」


「いや、今日はウチで母ちゃんと留守番だ」


「そうなんか。別にここに連れて来てもいいぞ?初日だし、人手が足りなくなるかも知れないからさ」


「そうかい?なら、母ちゃんに言っておくよ。……それにしてもたまげたなぁ!すげー広さじゃないか!」


「俺も最初見た時はビックリしたよ…。でも、孤児院と同じ様に利用して構わないって皆に伝えてるし、気軽に遊びに来てくれよ」


「人気スポットになりそうな気がするなぁ…。あ、そうそう昼食の食材だけどよ、ちょっと少なくてなぁ…」


「別に寄付されてるんだし、気にすんなよ。いつも通りにしてくれるだけでこっちも助かるからさ。んじゃ、今日は食材買いに行くから店の人に言っててくれ!」


「いいのかい?それじゃ、旦那が損するだけじゃあ……」


「俺達もこの家をタダで貰った様なもんだし大丈夫だよ。…あー、一応辺境伯からも金は出るから安心してくれ」


「そうかい!なら気にしないで、いつも通りにしておくよ。…んじゃ、母ちゃんに伝えとくよ!」


「頼むよー!…あ、賃金出ないってのを言い忘れないでくれよ?」


「勿論さ!そんじゃな!」


焼鳥屋のおっちゃんが元気よく離れていくのを見ながら、早急に人手を確保しなければならないなと思った。当分の間は、街の人達にお手伝いを頼む予定だが、やはりちゃんと人を雇った方が良いだろうな。


「アルス様!申し訳ありません!寝すぎてしまいました!」


庭を見ながら考えていると、息を切らしたチカが声をかけてきた。


「おはようチカ。大丈夫だよ、俺1人で回せたしそんな気にすんなよ」


「うぅ……。大事な初日なのに、アルス様だけを働かしてしまって…」


「昨日チカ達が頑張ったから、今日は俺の番だよ。…結構子供達が増えたし、ナナ達を起こして来てくれない?」


「はい!すぐに!」


奥の部屋からチカの声が聞こえ、ドアからナナ達が出てくる。


「おはよう皆。早速で悪いけど、子供達を見ててくれないか?ちょっとギルドに依頼を出しに行きたいんだ」


「わかった。…マスター、応対はどのようにした?」


「とりあえず、子供達にアレルギーが無いかを確認してくれ。それとご飯を持ってきてるかどうかだな。後で、食材を買い出しに行くから人数も把握しといてくれ」


「了解」


「んじゃ、行ってくる!」


チカ達に後の事を任せ、急いでギルドに向かう。受付にいたレニーさんに声をかけ依頼を張り出す。思い付きで行動したので、雇用人数は3人にしておいて給金はレニーさんに相場を聞き決めた。レニーさんも後から見に来たいと言っていたので、気軽においでよと伝えておいた。


それから、少し早い時間だが先生の所に向かった。王都でも募集をかけようかなぁと思っていたが、行き来に無駄な出費が出そうで辞めておいた。


先生の自宅に着き、ドアを叩くと先生が慌てて出てきた。準備は万端であり、来るのを待ち遠しくしていたらしい。粗方は収納袋に詰めたらしいが、家財などをどうするか悩んでいたらしい。ボックスに余裕はあるので持ち運べない物は全て入れ、先生と共に転移でサガンに戻る。


学校に着いたのだが、初転移を体験した先生は案の定乗り物酔いみたくなっていた。気分が良くなるまで、キッチンで横になっててもらい、それからナナを連れ食材を買いに出かけた。店に行くと、おっちゃんから話が伝わっていたのかウチの分を確保してくれていた。


「ナナ、今で総勢何人ぐらいだった?」


「ボク達合わせて50前後。でも、お昼には母親達も来ると言っていたから、倍ぐらいは必要」


「100人分か…。単価が安いのが救いかな?」


とりあえず、肉中心に購入する。サガンでは魔物の肉が流通していて、肉などの単価は安い。しかし、野菜や海産物などはべらぼうに高い。けれども、新築にして初日だし少しぐらいは大盤振る舞いとしようかな?


「ナナ、今日は何を作る予定だ?」


「……人数が多いから庭で焼肉でもしようかと。調理も楽だし豪勢に見えるから」


「焼肉か…。なら俺は焼きそばでも作ろうかな?」


「…鉄板が無い。焼きそばには鉄板が必要」


「…アイテムに鉄屑があったよな。それを加工すればできるんじゃないか?」


「なら鉄板は買わなくていい。マスターが作るのなら」


「作れるかどうか分からないけどな。なら、焼肉と焼きそばにするか。すいませーん、こっからここまで全部ください!」


大量に食材を購入し学校へと戻る。庭ではレインが楽しそうにお友達と走り回って遊んでいる。


「さぁーて、飯の準備に取り掛かるかな」


ジョブを変え、ボックスから鉄屑を取り出し加工する。全く要らないアイテムだったが無事に鉄板へと加工することができた。


「…ふぅー。ほんとジョブって素晴らしいな」


ナナに鉄板が出来たと報告しようとした時、連絡が来た。


《アルス、今すぐギルドへ来てくれ》


《今から飯の準備に取り掛かろうと思ってたんだけど…》


《チカにでも任せてすぐにギルドへ来い!魔物の群れが出現した!》


《…わかった!すぐ向かう!》


ナナにコンラッドから呼び出された事を伝え、キッチンから出る。庭にいたチカに飯の手伝いを頼みギルドへと向かう。


「敵の数は!?」


ギルドの中には多数の冒険者がおり、コンラッドが指示を出していた。


「裏門に少なくとも100以上の魔物が出現している!至急裏門へ向かってくれ!」


「裏門だな!先に行くぞ!--『転移』」


裏門に転移すると、兵士達がパーティを組んで魔物と戦っていた。さっと見渡す限り、重傷者はいなさそうだ。


「加勢に来たぞ!道を開けろ!!」


俺の声が聞こえたのか、兵士達は戦いながら通り道を開けた。すぐさまそこを通り、狼の群れへと一撃を食らわせる。


「邪魔だ!」


今回は手加減無しでフル装備だ。スキルを使わなくても薙ぎ払うだけで殲滅出来る。


「……おいおい、100以上とか言ってたけどもっといるだろ……」


俺の周囲には狼の死体が転がっているが、前を向くと黒々とした魔物の波が押し寄せて来ているのが分かった。


「…こりゃぁ飲み込まれたら兵士達は無事では済まないだろうな…」


そう考えた俺は魔物の群れへとスキルを使う。


「--『真空斬』!」


このスキルは横一列に対し斬属性のダメージを与える技だ。武器に属性が付いているとこの技に属性が付与され大ダメージを与える事が出来る。


放った技が魔物の群れに届き、進行が少し鈍る。その隙に群れへと近寄りトドメの一撃を放とうと思った。しかし……。


「…うげぇ、これって『ゾンビ』なのか…?」


近寄ってみると、先程殺したと思っていた狼達が起き上がっていた。しかし、その姿は首が無いものや内臓が出ている状態であった。


「…流石に不死属性では無いと思うけど…一応属性魔法使うか」


少し距離を取り、広範囲の炎魔法をぶち込む。一瞬にして狼達は炭と化すが、後ろの方はまだ倒しきれていなかった。


「えぇ…?ゲームでは全体魔法なんだけどなぁ…」


この世界の理なのかは分からないが、届かなかったのは仕方ない。今度は単発では無く連続で魔法を飛ばす。全体に当たるように放ったお陰か、周囲には肉が焼ける臭いが立ち込めていた。


「っし!これで終わりだな。…次はもっと上の魔法を放つようにしよう」


まさか範囲魔法に制限があるなんて、リアリティあるよなぁ…。これは実験してみなきゃ分かんねーな。


全滅しているのを確認しサガンへ戻ろうとした時、何かが俺に向かって飛んできた。


「--うぉっ!?」


回避出来ず、ソレは着弾する。炎魔法だったようで目の前が真っ赤に染まる。


「ケケケケケ。ソノママ地獄ノ炎ニ灼カレルガヨイ」


着弾した炎はまるでスライムのように俺の身体に纏わりつき燃やし尽くそうとする。しかし、悲しい事に驚きはしたがダメージなんぞは一切入っていない。熱は少しだけ感じるがホッカイロみたいな暖かさだ。


「……これどうやったら消えるんだろ?」


とりあえず自分に向けて水魔法を使用すると、頭上に大きな水玉が1つ浮かび落ちてくる。そのまま炎は鎮火し、鎧の下の服がグッショリと濡れたのが分かった。


「バッ、バカナ!我ガ魔法ガ効カヌダト!?」


目の前がクリアになったので、声のする方へ目を向ける。そこには、魔法使いのようなボロボロのローブを着たスケルトンが立っていた。


「……ん?『スケルトン・メイジ』か?…いや、そこまで強い魔法じゃ無かったし、もっと下の魔物かも知れないな」


「……クククク。何ヲ言ッテイルノカ分カラナイガ、ドウヤラオ前ハソコラ辺ノ雑魚トハ違ウヨウダナ」


「…何言ってんだお前?ってか、お前喋れんのか?」


「我ヲソコラノ魔物ト一緒ニシナイデ欲シイナ。我ハリッチ様ニ仕エル『エルダーリッチ』。貴様ハ何者ダ?」


「俺?俺はアルス。ただの冒険者だよ」


「アルスカ…。我ガ魔法ニ耐エル人間ハ実ニ興味深イ。貴様ヲ連レテ帰レバ、リッチ様モ御喜ビニナルダロウ。…デハ大人シク捕マレ!!!」


会話が終わると同時に火炎が飛んできた。しかし、今回は不意打ちなどでは無かったので、余裕で弾き返す事が出来た。


「クククク、流石ニコノ魔法は効カヌカ。ナラバ、コレナラドウダ?」


エルダーリッチが杖を大きく動かすと、沢山の火球が俺目掛けて飛んでくる。大小バラバラであるが、早いスピードで向かってくる。


「--『カウンター・ソード』!」


スキルを発動し、向かってきた火球を全て弾き返す。俺が避けると思っていたのか、エルダーリッチが慌てているのが分かった。


「--ック!!『ディレイ・マジック』!!」


跳ね返った火球に向けエルダーリッチが魔法を放つと、火球の速度がガクンと落ち、その隙にエルダーリッチは場所を変えた。


「……ククク。中々ヤルデハナイカ。…ナラバ本気ヲ出ソウカ」


本気という言葉に瞬時に身構える。何が来るのか分からない為、警戒は必要だ。


「--刮目セヨ!!ソシテ、アノ世デ後悔スルガイイ!--ー『業火』」


エルダーリッチから赤黒く、そして巨大な火の玉が放たれる。


「我ガ誇ル最強ノ魔法!ソノママ魂マデ焼キ尽クサレロ!」


チリチリと空気を焦がす音を出しながら、業火が迫る。--そして、轟音と共に俺を呑み込む。


「……シマッタ。我トシタ事ガツイ本気ヲ出シテシマッタ…。惜シイ人間デアッタガ、炭ト化シテシマッタナ…」


「…おいおい、誰が炭になったんだって?」


業火の中から声が聞こえ、エルダーリッチは動きを止める。エルダーリッチ、彼の中で最も最強の魔法を喰らって無傷でいるはずがない。しかし、業火の中から確かに戦っていた人間の声が聞こえたのだ。


「バ…バカナ。直撃シタハズ…!」


「まぁ、直撃はしたよ?でも残念。もーちょっと上の魔法だったらダメージ受けてただろうね」


アドバイス的なものが聞こえると、業火が一瞬にして消える。信じられない光景を2度も見た為、エルダーリッチは言葉を失っていた。


「結構防御を固めてたんだけど、無駄だったみたいだな。業火って魔法がどのくらい強いのか今度王都で調べるか」


平然とした顔でアルスが立っていた。焼け焦げた後も、衣類が燃えた様な痕跡は全く無い。


「キ、貴様ハ一体…?」


「さぁーて、次は俺の番だな。せっかくだから、神聖なスキルを使ってやるよ」


アルスが剣を腰に収め前傾姿勢を取ると剣から眩しくも聖なる光が溢れ出す。


「…魔王軍か何だか知らねーが、攻撃してきたのが間違いだったな。……えーっと?あの世で俺と出会った事を後悔するんだな!」


腰に収まる剣がより一層眩しく光る。


「喰らえっ!!--『聖なる


「-----『ホーリーレイ』!!」

「--『ジャッジメントアロー』!!」

「--『聖者の雷』!!」


俺がスキルを発動しようとした時、後ろからエグい量の魔法とスキルが飛んでくる。それはそのままエルダーリッチを巻き込み、その場には土煙が立ち昇る。


「アルス様!手伝います!」

「スケルトン如きがマスターと戦うなど生意気」

「もういっちょ!『聖者の雷』!!!」


怒涛の連打に、確実にあのエルダーリッチは跡形も無くなっているだろう。ローリィがオマケまで付けたもんだから、まるで爆発が起きたかの様に砂塵が舞い上がる。


「………ちょっとおおおおおお!!今スキルぶっ放そうと思ったのにいいいいい!!!」

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