双子ちゃん 依存性人格障害
「最近、街で同じ服装をした子をよく見かけますね」
北斗が誠史郎に話しかける。
「ああ双子ちゃんコーデとかいうやつですか」
コーヒーを片手に誠史郎が答える。
「理想的な相手と同一化することは、現実の自分に対する不安や否定を取り払い、
安心感や自信を生み出しますからね」
「よくアイドルのスタイルが真似されたり流行したりするのと似ているでしょう?
それが今は仲の良い友人同士でやるようになったのでしょう。同じ服装や持ち物で安心感を得たい」
「まあ、没個性な感じもしますがね」
コーヒーから口を離さず誠史郎は呟く。
「桜井先生。仲がいいと同じモノを持ったり、使ったりする時って
女の子はあるんですよ。いいすぎですよ?」
北斗がクスリと微笑む。
カラカラ・・・
「失礼します」
2人の女生徒が入ってきた。
「体育で打ったところの湿布交換してほしいんですけど」
1人の少女が包帯で巻かれた左ひじを差し出す。
「あら、わかったわ。ちょっとまっててね」
見ると一緒に来た女生徒も包帯を巻いている。
「あなたもかしら?」
「わたしは打っていないので大丈夫です」
思わず手の止まる北斗。
「北斗先生彼女の手当してあげてください」
「なぜ君は怪我をしてをしていないのに同じところに包帯をしているのかな?」
誠史郎がもう一人の女生徒に話しかける。
「あやの、あやの痛みが半分こっちに来るように。早く治るように」
「そうか、それは友達思いだね」
ニッコリと誠史郎が微笑む。
湿布の交換が終わると2人は頭を下げて保健室を後にした。
「ずいぶん仲の良い2人ですねえ?」
北斗は2人を見送る。
「仲良くありませんよ。彼女には依存性人格障害の恐れが十分にありますね。」
「えっ?」
「いずれ、あやさんの生活に侵食していくでしょう」
「どうしてですか?」
「あやさんがいずれ拒んでも、いままであんなに仲良かったのに何で?と自分を処理しきれなくなります」
「親友をやめろといっているのではないのですがね」
「ただ、彼女とあやさんは確立された個人でいくら同じもので取り繕ってもあなたと同じものではないということを
時間をかけて理解させていく事が必要になります」
「さぁ、また家庭訪問ですかねえ」誠史郎は首をコキッと鳴らす。
「最近多いですね?ちゃこちゃん?」
少し不満げに誠史郎がつぶやく。
「それが桜井先生のお仕事ですからしっかりしてください!」




