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小説を書く人工知能を作ることはできるか?  作者: 葦沢かもめ
PHASE 3 共創型小説執筆AIについての考察
9/12

第9回 共創型小説執筆AIというアイディア

ここまでのお話から、少し脱線した話をしましょう。




人工知能(AI)に小説は書けるでしょうか。


本当にAIに小説が書けるのか、半信半疑の方もいるでしょう。


AIに意識があるのか、みたいなことを言い出す人もいますが、私の率直な意見を述べさせて頂くならば、なぜAIに小説が書けないと思うのかが不思議でなりません。


人間が脳という器官を使って小説を生み出しているのだから、少なくともそれと同じ過程を踏めば小説は書けるはずなのです。AIに意識があろうがなかろうが、関係ないのです。


小説を書く過程を再現できるならば、例えば紙のカードを使ったアナログの方法で機械的に小説を書くことは可能だと思います。要はアルゴリズム(手順)が合っていればいいのです。


実際、小説執筆AIを作ることを目指して、色々なプロジェクトが進められています。中には、完成度の高い小説を書けるものもあるようです。




しかし私は、そうしたプロジェクトに違和感があるのです。

一体これらのプロジェクトは、小説執筆AIを作ることを通して、何を目指しているのでしょうか。


そもそもそうしたプロジェクトに関する情報があまり見つからないのもあります。

でも、それらのプロジェクトの動機というのは、AIが小説を書けたら面白いじゃないか、というだけのことのように感じるのです。その裏には、AIが書いた小説を売れば儲けられる、みたいな下心も見えます。


もしそれだけが動機なのであれば、私はもったいないなと思います。


典型的な、技術に走る技術屋のようなものを感じます。




では小説執筆AIを何のために開発すべきでしょうか。


私は、小説家のために作るべきだと思います。


小説家の創作活動を助ける「共創」型のAIこそが、潜在的に求められているものでしょう。


それらを可能にするためには、ゼロから小説を完成させるAIは必要ないのです。


人を助けることを前提として、それに必要な機能を開発することを目指すのが重要だと、私は思います。




ここでようやく、本エッセイにて長々とご説明してきた小説評価プログラムの出番です。


冒頭で言った、小説を書くアルゴリズムにそって小説執筆AIの機能を細分化してみたらどうなるでしょうか。


それは恐らく、小説のネタを「発見」し、下書きを「執筆」し、それを「推敲」し、その結果を「評価」する機能となるはずです。


自動的にネタを見つけてくれるなら、新たな着眼点をもった小説が多く生まれることでしょう。


プロットを元に自動的に本文の下書きを書いてくれるなら、小説を書く時間が少なくて不満だった人でも多くの小説を書けるようになるでしょう。


長い文章を推敲してくれるなら、ミスを見落とすことはなくなり、小説自体の面白さもある程度のレベルを維持できるようになるでしょう。どの小説を読んでも面白いなら、小説という娯楽ジャンルの市場規模は増えます。


正確に小説を評価してくれるなら、無駄に推敲を繰り返す必要も無くなります。きっと、そのプログラムは作者にとって最も信頼できる「編集者」になるでしょう。


これらの機能は、「小説は難しくて書けない」という人たちに対して、小説を書くハードルを下げてくれるかもしれません。そうすれば作家を目指す人が増え、多様な作品が生まれることでしょう。


これこそが、共創型小説執筆AIの姿です。


こうした機能を無視して、例えば最初から最後まで一気に小説を出力するプログラムを開発するのは、全くセンスが無いと私は感じるのです。




筆者の主張に同意して頂ける方は、ぜひ共創型小説執筆AIの開発に挑戦してみてください。


筆者が自分で開発してもいいのですが、やはり限界はあるでしょう。


それだったら、よりスキルのある方々が作った方が、早く良いものができると思うのです。


ご自身で開発されたプログラムを売って、金儲けをするのもいいでしょう。


何よりも、良い共創型小説執筆AIができて、小説というジャンルが盛り上がることを、私は期待しています。


それが、このアイディアを私だけのものにせず、あえて公開した理由です。




そこで本PHASEでは、まず第10回で小説執筆AIとは何か、より細かく考察をしていきます。小説執筆AIは「良い小説」の執筆を目指す必要がありますが、果たして「良い小説」とは何でしょうか。


第11回では、小説を書くアルゴリズムについて整理します。「発見」「執筆」「推敲」「評価」のそれぞれの段階で、具体的にすべきことは何でしょうか。


第12回では、「執筆」するプログラムについて、現在の進捗状況をお伝えできればと思います。


それでは。

2018/05/19 初稿

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