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小説を書く人工知能を作ることはできるか?  作者: 葦沢かもめ
PHASE 1 小説を執筆する前に評価を予測することはできるか?
3/12

第3回 パラメーター考察(1) 露出数(リンクが目に触れる数)

 本稿では、第2回で作業仮説として提案した評価予測式に含まれるであろう各パラメーターについて、深く掘り下げていきます。なるべく客観的に考察するよう努めていますが、あくまでも個人的な見解ですのであしからず。


 あらかじめ言っておきますが、ここからは延々と細かい話が続きます。退屈になるかと思うので、興味のあるところだけ拾い読みしても結構です。


1 アクセス数


 本項目では、「小説家になろう」で提供されているアクセス解析のデータにおけるユニーク数を「アクセス数」と定義します。PV数はページ数に応じて増えるため適切ではないと考えました。


1-(1) 露出数(リンクが目に触れる数)


 本項目では、小説へのリンクがインターネットユーザーの目に触れる数を「露出数」と定義します。


1-(1)-a 新着入りの効果


 皆様御存知のように、「なろう」の小説は、検索から除外する設定にしない限り、TOPページの新着小説欄に掲載されます。したがって、ここに載っている間にTOPページを訪問した人がリンクを見てくれる可能性が高くなります。


 この数は、TOPページの訪問者数に比例すると考えていいでしょう。常識的・感覚的に考えれば、平日は通勤・通学時間、昼休み、帰宅時間、夜の就寝前の時間にピークがあり、休日はそのピークがゆるやかになり、かつ全体的に増えると予想されます。


 このパラメーターを取得するためには、多数のアクセス数を獲得している作品において、時間帯とアクセス数のデータを取るのが適切ではないかと考えられます。ただしジャンルなどの影響は排除できた方が望ましいでしょう。


 また場合によっては、PC版とスマホ版の違いも考慮した方が良いかもしれません。PC版ではページを開いただけで、上から短編、完結済み、連載中の新着小説が表示されますが、スマホ版では各項目をタッチしないと各小説へのリンクは表示されません。


 外出時はスマホからアクセスする割合が増えるでしょうから、例えば平日の昼休み時間などは、新着の短編が読みたい人しかリンクを見てくれないでしょう。


1-(1)-b ランキング入りの効果


 高い評価を得てランキングに掲載された作品は、多くの人の目に触れることになります。特に良作を求める人が、「なろう」のランキングページにアクセスすることになります。新着とは異なり、自分からランキングページにアクセスしなければ閲覧できないため、読みたい意欲のある人(=リンクを踏んでくれる確率が高い人)が見る傾向が強いと言えるでしょう。こちらも新着同様、日時によって数が変動すると予想されます。


 特筆すべきは、付けられた評価に依存するということです。第2回でも触れましたが、本項目が「評価がつく→ランキングに入る→評価がつく」のサイクルを生み出すパラメーターの一つです。


 この自己増殖的性質は、得られる評価の予想を最も難しくしていると考えられます。高ランキングでは、評価の増加に対する露出数の増加がより高くなるからです。したがって仮説を検証する上では、まず高ランキングの作品は除外して、仮説の有効性を確かめるべきだと思われます。


 またランキングでの順位は他作品の評価にも依存します。他作品の投稿数の少ない日時であればランキング入りしやすい、といった傾向があるかもしれません。


1-(1)-c ブログ・SNS等での発信(閲覧者数・フォロワー数・日時依存)


 ブログやSNSで作品のリンクが紹介されることで、露出数の増加が見込めます。筆者はTwitterしか利用していないので、Twitterに限って話をさせて頂きます。


 Twitterにおいて作品のリンクが掲載されるパターンは、自分で投稿した場合、読者が読了報告した場合、botが紹介した場合の三つに大きく分けられます。


 基本的にはどの場合でも、露出数はツイート・リツイートした人のフォロワー数に大きく依存すると思われます。ただし現在のTwitter文化(?)として、リツイートが多い人は一度に大量にリツイートするので、自ら「リツイートはミュートして結構です」とプロフィールに書いている人もいます。その場合、大量のリツイートの中に埋もれるので露出数は少ないと思われます。


 またリンクが目に触れても、リンクを踏んでくれる確率は、普段のツイート内容、Twitterでの他ユーザーとの交流などによって左右されるでしょう。


 それからTwitterの特徴として、タグで検索できることが挙げられます。「なろう」のシステムを介して更新報告・読了報告のツイートする場合は、デフォルトで「#narou」と「#narou(作品コード)」のタグが付きます(投稿者が消すこともできますが)。特に「#narou」タグが付いていれば、そのタグで検索していた人の目に留まる可能性があります。


 特にTwitterでの発信については、投稿日時も大きく関係するでしょう。フォロワーが多くても深夜帯に投稿した場合は誰も見てくれないと予想されます。もし深夜帯に活動しているフォロワーが多いのであれば別ですが。逆に人が多い時間帯だと他の人のツイートに埋もれてしまう可能性もあります。


 真剣にTwitterの影響力を数値化するならば、こうした混沌とした事情を汲むべきかと思われます。


1-(1)-d 検索での表示


 「なろう」の検索で作品が表示される回数は、予想が難しいパラメーターです。なにせ各ユーザーがどんな検索をしているのか、検索からどれだけのユーザーがアクセスしているのかは、検証が難しいですから。


 まず考えるべきは、「並べ替え」でしょうか。ここでは、以下の項目で該当作品を並べ替えて表示してくれます。


 おまかせ順、週間ユニークアクセスが多い順、ブックマーク登録の多い順、レビューの多い順、総合評価の高い順、日間/週間/月間/四半期/年間ポイントの高い順、評価者数の多い順、文字数の多い順、Nコードの新しい順、古い順


 個人的には、古い順とか評価者数の多い順よりは、総合評価の高い順やレビューの多い順で検索している人が多いと思うのですが、推測の域を出ません。ただしここでも自己増殖的な評価の増加が起きていることは確かでしょう。


 「並べ替え」や「作品種別(短編のみ、完結済のみ(短編含む)、連載中小説のみ、すべての連載小説、完結済連載小説のみ」、ジャンルについては、自主的に検索利用者からアンケートをとればなんとか分かるかもしれません(がそこまでして測るべきパラメーターかどうかは疑問が残ります)。


 キーワードの検索頻度については、多種多様なキーワードをどう取り扱うべきかは見当がつきません。


 さらに詳細検索では、読了時間、文字数、(最終更新日時の)範囲検索、挿し絵の有無、ピックアップ作品かどうか、が選択可能です。


 特に利用者の多そうな読了時間での検索は、作品の文字数が直接的に影響してきます。読了時間で多く検索されそうな時間区切りとしては5分、10分、15分、30分、1時間でしょうか。それぞれ文字数に変換すると、2500字、5000字、7500字、15000字、30000字になります。この辺りで区切って場合分けすると、正確なパラメーターが取れそうです。



では次回は「魅力度」について考察します。

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