第2回 作業仮説の提案
本稿では、まず作業仮説として計算式を提案し、全体像を俯瞰していきます。
以下では、作品の「総合評価ポイント」を作品の「評価」として議論させて頂きます。
まず作品の評価を簡単に計算式で表してみると、次の①式のようになると予想されます(多分)。
(評価)=(アクセス数)×(被評価率) ―①
アクセス数は作品を読んだ読者数、つまりアクセス解析で分かるユニーク数です。このうち何人かが評価ポイントを付けているはずですから、ここに評価してもらえる確率(被評価率)をかけ算すれば評価は計算できるはずです。
この①式は、今後「評価予測式」と呼ぶことにします。
(アクセス数)=(露出数:リンクが目に触れる数)×(魅力度:リンクが踏まれる確率) ―②
(被評価率)=(読了率)×(評価衝動率) ―③
アクセス数(②式)は、リンクが人の目に触れた数のうち、どれだけそのリンクをクリックしてもらえたかで計算できると考えられます。
被評価率(③式)は、実際にリンクをクリックして訪問した読者が最後まで読んでくれる確率(読了率)で大きく決まるはずです。さらに読了した人のうち評価をする確率(評価衝動率)をかけ算することにしました。
これらのパラメーターの全体像を以下に記します。
*アクセス数
・露出数:リンクが目に触れる数
新着入りの効果(日時依存)
ランキング入り(日時依存、★評価依存)
ブログ・SNS等での発信(閲覧者数・フォロワー数・日時依存)
検索での表示率
ジャンル
キーワード
小説種別(短編、連載、完結済み)
読了時間(◆文字数依存)
★総合評価ポイント
投稿日時
・魅力度:リンクが踏まれる確率
ジャンル
キーワード
タイトル
あらすじ
読了時間(◆文字数依存)
★獲得済み評価・ブクマ数・感想数・レビュー数
作者
★ランキング掲載
*被評価率
・読了率
文章力(◆文字数依存)
ストーリー(◆文字数依存)
・評価衝動率
小説種別(短編、連載、完結済み)
読者層(★ランキングから流入した読者の場合)
ご覧になって分かるかと思いますが、文字数に関係する所には◆を、付けられた評価が評価に影響する場合は★を入れました。
文字数によって評価の傾向が生まれる原因は、このように文字数が複合的に影響しているからだと推測されます。
また評価がつくことによる評価の相乗効果は、★マークのパラメーターが存在することで生み出されていると考えられます。
他にもパラメーターを挙げればキリがありませんが、上述の分だけでも確定すればそこそこ精度の高い計算式になると思われます。
評価予測式が完成すれば、多くのメリットが見込まれます。
まず第一に挙げられるのは、「なろう」作家の皆さんが効率良く質の高い作品を執筆できるということです。良質な作品が増えれば、読者数も増えて相乗効果が期待できます。
もしキーワードの効果も数値化できたら、あるキーワードの組み合わせでグンと評価が高くなる、みたいな現象が見られるかもしれません。今までに無かったキーワードの組み合わせを発掘できたら面白いですよね。
また評価予測式は、他の小説全般に対しても適用できるはずです。「なろう」内で精度の高い計算式が作れたら、パラメーターを少し変えればいいのです。紙の本や電子書籍といった形態の違いや、表紙絵の効果などを上手く数値化する必要はあるかと思いますが。
また一般の小説の統計をとるためにはデータが不可欠です。例えば青空文庫さんなら版権切れの作品のテキスト情報を得られます。古典作品は人気だからこそ残っている訳ですが、あえて評価の情報を得るなら、Amazonさんの電子書籍ランキングが活用できると思われます。
さらに、あまり考えたくはありませんが、この法則からあまりにも外れた作品に対しては、評価の偽造が行われている可能性を指摘することもできるかもしれません。偽造の場合は、被評価率が異様に高くなければ説明できない評価を得ているはずです。
逆に言えば、実際の評価から逆算することで、作品の被評価率、つまり質の高さを知ることができるかもしれません。これはアクセス数が稼げないために低評価だったマイナーな作家さんが発掘されるケースが大いにあるということです。
では次回から、各パラメーターがどんな性質を持ち、どうすれば数値化できるのかを考察していきます。
 




