彷徨える首なし騎士
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ある雪の日、シルフィード・アムドゥスキアスとエマ・アイリスが、林並木を歩いていると、頭部がなく、その代わりと言うわけではないけれども、首を持ち歩いた騎士を見つけた。
騎士は、シルフィードとエマを見るなり、よろよろと近づいて来て、その場で膝魔づき、懇願するように、騎士の首が言う。
「お、お、俺を助けてくれ」
「エマ、これは、モンスターか?」
「いや、違うな。どうやら、人間の成れの果てのようだ。とりあえず、話を聞いてみよう。お前、どうしたのだ?」
「ああ、突然すまなかったな――」
騎士は、自らの経緯をシルフィードとエマに話した。
どうやら、今現在シルフィードとエマが近くにいるシャーロット王国とはかなり距離がある、エスタニア王国で罪人の解釈人をしていたと言う。
騎士は、毎日上官の命令で、多くの人の首を切っていたと言う。
騎士は、そんな仕事を嫌っていたが、渋々上官の命令に従っていたと言う。
結局、騎士が処刑した罪人の数は、軽く百人を超えたと言う。
ある日、騎士が眼を覚ますと、騎士の首は、その騎士が今まで処刑した罪人のように首が取れていたと言う。
騎士は、異端審問にかけられて、騎士は処刑されたが、火であぶられようが串刺しにされようが、決して死ぬことはなかったと言う。
それから、国を追放された騎士は、百年間、国外を彷徨ったと言う。
エマは、それを聞いて、頷く。
「で、あなたは、どうしたいの?」
「人間に戻りたい。なんで、俺がこんな目にあったのか、理解が出来ないんだ」
「それは、簡単だ。お前は、人を殺し過ぎた。その呪いだろうな」
「殺したのは、俺じゃない。全て、上官の命令なんだ」
「だとしてもだよ。お前は、人を殺し過ぎた。お前、そこにある木を思い切り蹴ってみなよ」
「どうしてだ?」
「とりあえず、いいから」
「……分った……」
騎士は、よろよろと木に近づくと、思い切りその木を蹴り上げた。
すると、木の枝に積もっていた雪が、騎士のあたまに降りかかって来た。
エマは、騎士に言う。
「私は、お前に罪人の処刑を命じた上官だ。私は、木を蹴るようにお前に命令したが、雪は降りかかっていないだろう」
「しかし、そ、そんな」
「いい加減に、自らの罪を認めた方が、吉だぞ」
「う、嘘だ! 俺は、そんなの絶対に認めないぞ!」
騎士は、そう言うと、あたまを抱えて一目散にどこかに逃げて行った。
エマは、その姿を憐れみの眼で見つめていた。
シルフィードは、エマに問う。
「彼は、いつになったら人間に戻れるのだい?」
「それは、かれが自らの罪を認めて、償ったら、だろうね。それが、一年後か十年後か、それとも百年後かになるかは分からないけれども」
『彷徨える首なし騎士』を読んでくださった方、本当にありがとうございます。
この小説は、うp主の空手道、また人生の師匠である方から聞いた、一休さんの話を元に作った話です。
現代社会では、死刑制度の有無が議論の話題として挙げられますけれども、その罪人が、どれほどまでの罪人であっても、うp主は死刑と言う解決策を取るべきではないと思います。
それは、その罪人を許すとか、刑期を終えたならば、社会に野放しにしてもよいと言う意味ではないですけれども、死刑にしたところで、なにの解決もしないからです。
それどころか、罪人を死刑にする為には、それが、法律的にはなにの罪には問われないとしても、実際的には、首つり台の床を落とすレバーが三つあってもなかったとしても、その罪人を殺すことを助けたことには変わりがないので、さらなる罪の連鎖となります。
と言うと、中にはうp主に、「罪人に殺された人の遺族の気持ちはどうなるのだ?」と言う人がいるかもしれませんけれども、それは、あくまでも罪人に殺された人の遺族の気持ちであって、赤の他人が口を挟む問題ではありませんし、仮に罪人に殺された人の遺族が、「罪人を死刑にしろ」と言うのであれば、こんな言い方は不謹慎かもしれませんけれども、解釈人が罪人を死刑に処するのではなくて、罪人に殺された人の遺族が、罪人を死刑に処するのが、合理的でしょう。むろん、それでも、罪の連鎖になってしまうのはかわりませんけれども。
持論をべらべらと書いてしましましたが、これはあくまでも個人の意見ですので、気にしないでくださいね。
さて、気持ちを切り替えて、これからも小説をじゃんじゃんうpしていくつもりなので、応援お願いします。
よろしければ、感想もしくは評価を添えていただければ、嬉しいです。