第五斬目! 真実
なんかもう不調気味なんですが…
いやいや!これから巻き返しますよ!
「ですから、私は嘘をつきません。ここは、
夢の中の架空の世界ではなくガルデンと言う実在する世界です」
そう何のためらいも無く言い放つ姫様に対し俺は驚きを隠す事が出来なかった。
「さすがにそれだけは簡単に理解できません!だって俺は
元々いた世界で寝ている時に、夢としてここに来るんですよ!?」
当然俺は食って掛かる。
そんなラノベみたいな展開が簡単にあってたまるかよ。
「ええ。確かに今まで竜一君が見ていたのは夢で間違いないです。
でも今ここにいる、この時間は夢じゃないのです」
イマイチピンとこない言い方をする姫様。本当に訳がわからない。
「つまりどういう事なんですか?」
姫様の回りくどい言い方が気になり聞き返す。
「説明すると少々長くなりますがいいですか?
一緒に竜一君をこの世界に閉じ込めた理由も話しますが」
と、さらに真剣な顔つきになる姫様を見て俺はごくりと生唾を飲み込み、
「はい。お願いします」とだけ返事をする。
「さっきも言ったようにここはガルデンと言う世界です。
この世界は、緑が豊富でとても平和でしたが近頃、
長年の日照りで緑が崩壊し、食物が育たなくなってしまったのです。
しかし、我々ヴァルガントの国民は、
そんな食糧危機にも負けずに協力し合い必死で生きてきたのですが、
食糧危機が絶望的な隣国のアラバスがヴァルガントに
攻め込んできた事によって多くの人が殺され、たくさんの食物は奪われました。
さらにアラバスがヴァルガントに攻め込んできたのが火種となり、
世界中の国が戦争を始めてしまい、もう平和だった頃の
ガルデンの面影は無くなくなってしまいました。
ヴァルガントはガルデンの中でも最も規模が小さく弱小の国。
このままずっと攻め続けられたら今度こそこの国は文字通り崩壊してしまいます。
それを防ぐべく、私は禁断の魔法を
使って竜一君をここに呼び寄せたのです。貴方ならこの
国を救ってくれると信じて」
「禁断の……魔法?」
「はい。禁断の魔法は一度しか使えないので、
国民はさすがにいきなり呼びだすのは危なすぎると反論していましたが、
その反論を押さえるために、竜一君には私の魔法で夢をみさせ実力を測りました。
その結果、竜一君の身のこなし、足の速さ、跳躍力は
軍の兵士の基準を大きく超えている事がわかりました。
それだけではありません。これは私のただの直感ですが、
あなたは、他の人とは違う何かを持っている。
だから私はあなたを呼び寄せた」
姫様は話をし終え、ふぅと一息をつくが、
俺はどう反応したらいいのか分からずしばらく立ち尽くしてしまう。
信じられない……。今はそれだけしか言えない。
話の筋はなんとなく読めてきたけど、これって俺が戦う事を前提で話を
進めてるよな……?争い事は好きじゃないし、確認しておかなければ。
「あの、質問なんですけど。俺って戦わないといけないんですか……?」
「そのつもりでしたが……。駄目……ですか?やっぱり迷惑ですよね。
本人の了承も得ずに勝手に話を進めちゃって……。本当にすいません」
「いやいやいや!!い、いいんですよ別に!全然平気ですから!」
そんな悲しい顔されたら断われるわけねぇだろ……!
「そ、そうですか。ありがとうございます。
私、竜一君には大変期待しているんです。この世界で唯一の男として」
「……へ?」
突如として、姫様の衝撃の一言が脳内を駆け巡る。
「す、すいません。最後の言葉、もう一度言ってください」
一応、もう一度確認を取る。
「この世界で唯一の男として、と言いましたが……」
どうやら聞き間違いではなさそうだ。
「あの、姫様はこの世界には俺しか男がいないって言ってるんですよね?
それはさすがに無いでしょう。それは信じませんよ」
俺は苦笑いを浮かべながら姫様の間違いを指摘する。
すると姫様は俺の二倍程の苦笑いを浮かべながら
「一応軍隊も女だけで構成されてるんですけど…」と呟いた。
「マジすか?」
そう言えば髪が短くて男っぽく見えたけど胸が出ていた様な気がしないでもない。
ありがとうございました^^