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プロローグ

 今まさに世界の命運を賭けた戦いの雌雄が決しようとしていた。


 対峙するのは勇者と魔王。

 戦場は魔王城、玉座の間。


 数刻前から始まった2人の戦いは熾烈を極め、玉座の間は見るも無惨な有様になっていた。玉座は真っ二つに割れ、真紅の絨毯は泥や煤まみれ。天井は崩れ落ち、壁には大きな刀傷がいくつもできていた。


「……どうやら俺の勝ちのようだな」


 勇者が言った。身体は傷だらけで右腕は折れているようだが、そんなことは微塵も感じさせないほどの笑顔を浮かべている。

 それもそのはず、魔王の腹部には聖剣が深々と刺さっており、誰が見ても一目で致命傷と分かる。しかし魔王は勇者に負けないくらいの笑顔を浮かべて言った。


「この程度で勝ったつもりか。おめでたいやつだ」


「負け惜しみか。往生際が悪いぞ、魔王」


「確かに()()()()はお前の勝ちだ。だが()()()()はどうかな?」


「次、だと? 一体何を言っているんだ」


「ククク……我を倒しても、いずれ第二第三の魔王が現れるだろう」 


 魔王はそう言い残すと灰になり崩れ落ちた。大きな風がビュウと吹き、灰は跡形もなく吹き飛ばされてしまった。

 残されたのは勇者と、聖剣。勇者は聖剣を拾いながら呟く。


「第二の魔王が現れても勇者が必ず倒す。……例え何十年、何百年経とうとも」


 聖剣に映る勇者の横顔は、勝利の直後とは思えないほど険しいものだった。


 ーーそして千年の時が流れた。

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