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02:美しき破壊者たち(デストロイヤーズ) ③

2章・最終話です。

アルフレッドパーティVerです。


タイトルにはルビが付けられないので。

正確には…


02:美しき破壊者たち(デストロイヤーズ)


…と読んでくださいませm(_ _)m


「――まあ、ともかく」


 一通り落ち着いたところで、何の悪気もなくアリスがまとめる。

「準備もバッチリすんだし…早速出発ね♡」

 食料も持ち物も、冒険者が集まるこの店である程度はそろう。それに彼女達は年齢に似合わず経験値も高いので、どれくらいの時間がかかるかわからない旅でも気楽な様子である。

「…もちろん金目の物もバッチリぶんどったし♡」

 …むしろアリスからしたら、そちらの慰謝料の方が重要なくらいだ。

 そこら辺もどうやらたっぷり入手できたようで、かなりご機嫌である。

 そんなご機嫌な彼女の後ろで…

「いつもいつもすみません…これで店を修理して下さい」

 …と、店主にぺこぺこ頭を下げながら修理代を渡している勇者様がいる。

「……あんたも苦労するのぉ」

 店主は慣れた様子で受け取ると、苦笑いを浮かべている。


「村へは砂漠越えの方がいいですよ。森は深いですからね。…どうぞお気をつけて」

 エドマンドは彼女達にそう言うと、彼らも旅を続ける準備を終え、店を出ようとしていた。

「えー? おじさん行かないの?」

 クララが少し驚いた顔で振り向く。

 確かに、そこそこ詳しい話をするくらいだ、これからその『鳥笛』を入手しに行くのかと思ったのだ。

「ええ…仕事もありますし」

 …どうやら彼らには別の用事があるようだ。

 つんつん…と、エドマンドのマントの裾が控えめに引っぱられる。

「ドロシー?」

 足元…随分下の方から覗き込むように見上げる娘に、エドマンドが問いかける。

「お父ちゃま…あたし、お兄ちゃんと一緒がいい…」

 控えめな小さな声でドロシーは訴えかける。

「アルフさんが気に入ったんだね」

 そんな娘の様子に目元を緩め、ひょいっと抱き上げる。

「――でも、お仕事だから仕方ないんだよ」

 そう言うと娘を抱き上げたまま、アルフレッド達に顔を向ける。

「――ではお先に。がんばって下さいね」

「ありがとうございます。いろいろ教えていただいて…」

 アルフレッドもエドマンド達と挨拶をかわす。


「――じゃ私達も…私達の幸せのために――」

「うん!」

「出発よ!!」

 元気よく声を張り上げる。


 ………が……


「――なんて勢い込んだはいいけれど…」

「暑ぅーい」

 疲れきったアルフレッドの独り言に、クララも声を上げる。

「日差しがきついよー。日に焼けちゃうよー」

「しょーがないでしょ! 砂漠なんだから!! …あー×イライラするっ!!」


 カッ…と照り付ける暑苦しい日差しの下、ぶづぶつ文句を言いつつ砂漠を歩き続けるアルフレッド達四人組。


 大冒険村は、大冒険大陸の東北側に位置する森の奥深くにあると言われている。

 元々は引退冒険者達が集まって自然に出来た村だと噂されている。

 だからなのか、深い森の中、魔獣(モンスター)もよく出没するという不便で危険な場所なのに、何か問題が起こった等という話は一切聞かない。

 むしろ、隠れ里のように言われており、実際にその村に行ったことがある人間はかなり少ない。

 樹海程ではないが、かなり深い森の中にあるらしいので、森の中からアタックするより、森の西側にある砂漠沿いに移動した方が危険は少ないと言われている。


 …が、砂漠は砂漠で、移動が大変である×

 東側に見える森沿いに歩くので、方向性を見失う事はないが、暑苦しい日差しは別の意味で危険である。


 とりあえず、強い日差しとたまに吹いてくる砂嵐を避けるためにも、マントをかぶりながら歩いているのだが…

「日焼けの心配するぐらいならマントきちんとかけなさいよ!!」

 アリスがクララに苦言を呈する。

 クララは暑い暑いと文句を言いつつも、マントをしっかりかぶってるわけではなく、オフショルダー風に緩くかけているだけである。

「やだもーん。これはおしゃれなんだもーん」

「なら、あんたなんかおしゃれで熱中症になってなさい」

「えーん。アリスちんのいじわるぅ」

「お…落ち着けよ。よけい暑くなるぞ」

 二人の暑苦しい言い合いを止めようと、アルフレッドは声をかける。

「でも、もう4日目よ! 村はまだなの?」

 暑さでイラつくアリスは、攻撃対象をアルフレッドに変える。

「も…もう少しだよ…多分…」

 …と小さい声で返すアルフレッドの言葉には、根拠など皆無である。


「あれぇ?」


 突然、ぶつくさ文句を言っていたクララが足を止め声を上げる。


「あれ――…何?」

「え!?」


 クララが指差す方向は、森の反対側…砂漠の中心方向だ。


 そこには…熱気で揺らぐ空気の中、古い建物のような物が微かに浮かんで見える。

「神殿――…か? …こんな所に?」

 遠すぎて良く見えないが、形から古代神殿のような雰囲気がうかがえる。

「蜃気楼じゃないの?」

「違うよー。ちゃんと見えてるよ」

 アリスがしかめっ面で遠くを見ながらつぶやくが、クララにはしっかり見えているようだ。

 ハーフとはいえエルフの血が流れているからか、目や耳は人間よりもいいようだ。


 …が、そこに…

「あっ…あれ!!」

「え?」

 建物が何なのか、遠くを必死で見ていたアルフレッドが突然大きな声を上げる。

 見ると…建物の方から徐々に近づく動く黒い人影が見える。

「バロンさんじゃないか!?」

「ええっ!?」

「本当!?」

 全員で目を凝らすと…だんだん近づいてくる人影は、数日前に城下町で会ったエドマンドの姿であった。

 エドマンドは、砂に足を取られながらまろび出るかのように必死でこちらに向かって走ってくる。

 その様子に、アルフレッド達もエドマンドの方に向かっていく。

「どーしたんです? バロンさん! こんな所に一人で…」

「あ…。アルフさん!?」

 倒れそうになりながらも必死に足を動かしていたエドマンドは、アルフレッド達の姿を見て最後の力を振り絞るように彼らに近づいてくる。

 ぐいっ…と倒れかけながら、アルフレッドのマントをつかむと

「たっ…助けて下さい!!」

 と、縋り付く。

 何を…とアルフレッド達が聞く前に、エドマンドは切羽詰まった様子で声を上げる。


「娘が――ドロシーが誘拐されて……あの神殿へ――!!」

「!!?」


 遠く…微かに見える建物が、砂漠の熱気で揺れて見える――

挿絵(By みてみん)


2章・最終の更新です。

…3回目、ちょっと短くなっってしまいましたorz

相変わらず、バランスよく分けるってコトができない奴です。スミマセン。

次回から新章にはいりますので、次もぜひご覧くださいm(_ _)m


前も書きましたが、8月には夏コミに参加することになっております。

現在、漫画の方の原稿作業も佳境に入ってます。

そろそろ〆切近くなってヤバいですorz

慌ててるとうっかり途中で更新忘れちゃったりすることもあるかもしれません。その時はどうかご容赦くださいませm(_ _)m


夏コミでは、ウマ娘ジャンルで参加してますが、大冒険の同人誌も持参してます!

もしかしたら新刊も出せるかもw

…なので、参加される方いらっしゃいましたらぜひ見に来てやってくださいませ♪


夏コミ106

8/16(土・1日目)「茶々組」「初心の会」西2ホール・き16ab

8/17(日・2日目)「DAMe project」東7ホール・L32a


…で参加します。こちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

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原作マンガ、電子等で読めますw
「熱血!大冒険大陸」
DMM版kindle版、他、お好きなプラットホームでぜひ♪
とりあえず、どんなのか見るだけでも…という方は、 帰ってきたマンガ図書館Zで見れますw
あと、続編的なというかスピンオフ的なというかそんな同人誌も出してます。
同人イベントか、電子で良かったら見てやってくださいませm(_ _)m
…詳細情報はHPよりもTwitter(X)の方が早いのでw、ぜひそちらものぞきに来てくださいませ♪
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