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02:美しき破壊者たち(デストロイヤーズ) ②

2章・第2話です。

アルフレッドパーティVerです。


前回も書きましたが…タイトルにはルビがつけられないので(^_^;)

正確には…


02:美しき破壊者たち(デストロイヤーズ)


…と読んでやってくださいませw

「望みが叶う――ってことなんじゃないですか?」


「――……え?」


…エドマンドの言葉に、アルフレッド達が固まる。



「の…望みが…」

 驚きの表情でつぶやくアリスの頭の中には…


 ――ほーっほっほっほっ♡

 ――現金風呂よぉーん♡


 …と、まるで何かの広告のような大きな浴槽にたっぷり敷き詰められたお金と宝石と高価な数々の物に埋もれ、幸せに緩みまくった己の顔が浮かぶ。


「叶う!?」

 思わず笑顔があふれるクララの頭の中には…


 ――きゃっほー♡

 ――ハーレムよぉ♡♡


 …と、周囲に自分好みのお姉様達がたくさん集まり、頭をなでなでされたり体中をマッサージされたりめいっぱい密着されたりして、幸せの絶頂な表情の己の顔が浮かぶ。


「行こう!!」

 バン!!…とアリスはテーブルを叩く。


「大冒険大陸に住む我々が謎の伝説を暴かずしてどーする!!」

「そーだぁ♡ アリスちんの言うとーり!!」

 …まさに一致団結!!といった感でいきなり話がまとまる。


「ねー♡ バーバラも行くでしょ?」

「もちろんよねぇ♡」

「――ん?」

 黙ってその様子を見ているだけのバーバラに、アリスとクララは声をかける。…が、よくわかっていないのか、バーバラの反応は鈍い。

 その様子にアリスは、バーバラの耳元にそっと口を寄せる。


「何でも望みが叶うって事は…あなたの好きな殺しもやりほーだいよ」


 その言葉に葡萄色の瞳が大きく見開かれたバーバラの頭の中には…


 ――すげぇぜ 阿鼻叫喚の世界♡

 ――ははははは♡


 …と、何故か血飛沫舞い散る阿鼻叫喚の殺戮現場の中、最高にいい笑顔…というかイッちゃった笑顔で高笑いする己の顔が浮かぶ。


「行く!」

 ガタ!!っと椅子を蹴倒す勢いで立ち上がったバーバラが宣言する。

「そーこなくっちゃ♡」

「やったぁ♡」

 アリスとクララが、その言葉にご機嫌に喜ぶ。

「………」

 その様子に、アルフレッドは言葉も出ない。

 こ…こいつら…と心でつぶやくしかできない。


「ぱーっと行ってぱーっと取ってこよぉ! あたし達が本気出しゃすぐよ♡」

 GOGO♡…とやる気あふれる笑顔で今にも店を飛び出しそうなアリス。

「で…でも そう簡単に手に入るかどーか……」

 と、逆に先程までの勢いはどこへやら、アリス達三人娘を落ち着かせようとするアルフレッド。

 …と、そこへ…

「そーだぜ」

 ぬっ…と突然ガラの悪い男達が会話に入ってくる。

「お前らみたいなガキ共に見つけられるかよ」

 男達はベテランの冒険者らしい。先程から繰り広げられていたこのテーブルの会話に耳を傾けていたのだろう。なかなか美味しそうなネタだと判断したのか、いきなり割り込んでくる。

「――何よ」

 その不躾さにアリスは眉をしかめる。…が、男は若い娘だとバカにしているのか、鼻で笑っている。

「その鳥笛って奴ぁ俺達がいただくぜ ガキはすっこんでな」

 あからさまに上から目線の男の物言いに、今度はアリスの方がフッと鼻で笑う。

「――あら、あなた達 ヨソ者ね?」

 にっこり♡…と美少女が笑うと華がほころぶような雰囲気がある。

「あたし達にそんな口きくなんて」

 …が、口から出てくる言葉はかなり辛辣だ。

「なにィ!?」

 アリスの言葉に男達は声を荒げる。

「身の程知らずは 命縮めるわよ♡」

「身の程知らずはどっちだ!! その減らず口きけなくしてやる!」

 ぐいっとアリスの長い髪を男はいきなりつかむ。

「!」

「アリス!!」

 アルフレッドはその不埒な男どもからアリスをかばおうと声を上げる。

 一触即発の状況に周囲もザワザワ…とざわめく。

「――やあねぇ」

 だが…当のアリスは全く意に介さず、相変わらず不遜な態度である。

「汚い手で触らないでよ 髪が傷んだら損害賠償請求するわよ」

 べしっと髪をつかむ男の手を払いのける。

「な…何!?」

 普通、若い娘なら、強面の男に髪をつかまれたら恐怖ですくむだろう。

 だが、目の前の娘は全く態度が変わらない。強がってるわけでもなく、本当に素でその態度なのである。

 その変わらなさすぎる態度に、逆に男の方がどう対応したらいいのか固まっている。

「そーだよぉ おじさんのヒゲモジャ汚いよ」

 …しかも、アリスの後ろからちゃっかりクララが追い打ちをかける。

「なっ…このガキャ~!!」

「やーん 近付かないでよぉ~」

 まだアリスよりクララの方が強気に出られると思ったのか、男が殴ろうと手を上げる。

「あぶない!!」

 アルフレッドの叫びと同時に、タッと人影が動く。

 バシッ!!

 殴ろうと大きく振り回された男の腕が、バーバラの手に止められる。

「バーバラ!!」

 ナーイスよ♡とアリスがにこやかに微笑む。

 確実に彼女が止めると確信している顔である。

「くっ… こ…いつ…」

 男の顔色が変わる。

 バーバラの握る腕からギリッ…と音がするくらい力を籠めるが、びくともしない。

 若い娘ども…と侮っていた男が焦った表情になる。

()って…いいのか?」

 にや…っとバーバラが不敵に笑いながらアリスに問う。

「そーねぇ……」

 アリスも少し考えるふりをして…特に何も考えず、

「殺す程じゃないけど 少々痛い目にあってもらいましょうか♡」

 と、軽く返す。

 にっこりと笑う笑顔に恐ろしい言葉である。

「ふふふふ…」

 アリスの許可を得たバーバラは、不敵な笑みから心からの笑顔になり、やがて

「はははははは!!」

 と高笑いをあげながらつかんだ男を高速で殴り続ける。

 ぼかすかぼかすかぼかすか…という連続する打撃音がいっそすがすがしい。

「いいぞー!やっちゃえー」…と後ろでクララも楽しそうに応援している。

「お…おい、やめろよ!!」…と、アルフレッドがむしろ、気の毒がって止めようとすらしている。


「てめぇら……」

「調子にのりやがって!!」

 一連の流れを呆然と見ていた男の仲間達が、我に返ったのか、一斉にこちらに向かってくる。

「や…やめろ!!」

 アルフレッドは慌てて止めようと彼らの前に躍り出る。

 …が…

「……あんた達って…見かけどおりバカねぇ」

 アリスが心底あきれた声でつぶやくと、目の前のテーブルの端をつかむ…と…


 ひょいっ


 …と、分厚い一枚板のでかいテーブルを、まるで紙切れのように片手で軽々と持ち上げる。

 まさに殴り合いが始まりそうな状況が、ぎょっとした男どもの顔と共に固まる。


「言ったでしょ…身の程知らずは命を縮めるって!!」


 ブン!

 と重いテーブルが軽々と投げられ、止めようと前に出ていたアルフレッド共々…


 ドゲン×


 …と、大きな音を立てて、周囲を巻き込みつつぶつけられる。


「げげっ!!」

「うわっ!!」

「ぎゃああ」


 周囲も驚きに声を上げる。

 狙ったのか、こちらに向かってきた男共とアルフレッドだけが綺麗にテーブルに下敷きにされている。

 そのテーブルに…


 ダンッ


 …と、思いっきり片足を載せ、テーブルに力を載せるアリス。

「ぐえっ」と、テーブルの下からつぶれたカエルの様なくぐもった声が聞こえる。

「あんた達みたいなモグリのパーティでも聞いた事あるでしょ」

 ぎゅーむ…とますますテーブルに乗せた足に力を入れつつアリスは続ける。

「亡き英雄アルファ=ベックの一人息子にして王の信任厚き若き勇者アルフレッドの話を!」

 どんどんテーブルに力を加えられて、下からは「お…重い…」と苦しそうなつぶやきが聞こえてはきているのだが、アリスは全く意に介さず、涼し気ににっこりと微笑む。

「あたし達はね…その勇者様の仲間なわけ♡」

「――いっ… じゃ…じゃあ…」

「そーよ!!」

 アリスは、その『勇者様』をテーブルで踏みつぶしながら宣言する。


「『勇者アルフレッドと美しき仲間達』!!…あんた達みたいな脳ミソ足りない奴でも、その話ぐらいは知ってるでしょ!」


 バン!!

 と、大見得を切るアリスの後ろには、先程から「はははははは♡」と笑いが止まらない様子で男をぼかすか殴り続けるバーバラと、その後ろからちゃっかり「そーだぞぉ♡」と合いの手を入れるクララがそろっている。

 …もちろん、『勇者様』御本人はその足元のテーブルの下である。


「く… くそ!!」

 ガタタッ…と下敷きにされた男達が全員でテーブルをどかし、立ち上がる。

「てめぇらみてぇなガキ共があの『勇者アルフレッドと恐怖(・・)の仲間達』だってぇのか!?」

「ちょっと」

 男達の言葉にアリスは顔をしかめ、

「『美しき(・・・)仲間』だってば!!」

 …と訂正する。

「だったらお前らを()ってハクをつけてやる!」

「『恐怖』の伝説もこれまでだ!!」

 …だが、男達はアリスの言葉を完全に無視し、こちらに向かってくる。

「…あのねぇ…『美しい』だって何度言ったらわかるのよ! 本当に脳足りんね、あんた達」

「くっ…このぉ!!」

 アリスの言葉に頭に血が上った男が殴りかかってくる。

「こーなったら」

 …が、その攻撃もまるで気にせず、ひょいっと軽くかわすアリス。

「この精神的苦痛に対する慰謝料も払ってもらうわよ!!」

 …おまけに慰謝料まで要求する余裕さである。

「バーバラ!!」

 アリスは男達の攻撃を軽くよけながら、別の男を殴り続けているバーバラに声をかける。

「こいつらにも軽ぅくおしおきしたげなさい!」

 その言葉にバーバラは殴り続けていた男を手放すと、即座にアリスに攻撃しようとした男達に向かう。

 ダンッ!!…とひっくり返っているテーブルを踏み台にして…。

 ぐえ…と未だにテーブルの下につぶされているアルフレッドの声が聞こえたが…完全に無視である。


 ゲシッ!!

「くく…」

 バキャ!!

「くくくく…」

 ドゴン!!

 …『殺すな』と言われたからか、剣は抜かずに打撃のみだが…複数人のガタイのいい男達をまるで赤子の相手をするかの様に殴り蹴りぶっ飛ばすバーバラの口からは、嬉しそうな笑いがこぼれ始めている。


「…あー始まったわね…」

 アリスが苦笑しながらその様子を眺めている。

「いいぞー!バーバラー♡」

 クララも相変わらず後ろからにこやかに応援している。

「はーっはっはっはー!! いいぞー! 泣け!! わめけぇー!!」

 ゲーラゲラゲラ!!…と、とうとう大笑いを始めながら男共をしばき倒しているバーバラ。

「ひゅーひゅー♡」

「いーぞ!ねーちゃん」

「やれやれ!!」

 店の中はもはや食事どころではない状況だが…そこまで上品ではない店だからか、こんな騒ぎは日常茶飯事なのだろう。

 若い娘に蹂躙され続けている男共という見世物に、やんややんやと周囲もはやし立てている。


「やれやれ…本当にバカな奴らじゃな。相手の実力も知らんと…」

 店の主人がカウンターの奥から見学しながらつぶやく。

 そのつぶやきを、娘と一緒に騒ぎから離れて見ていたエドマンドがひろう。

「そ…そんなに有名なんですか? 彼ら」

「あんたそーいやヨソ者じゃったな」

 自身のつぶやきを拾ったエドマンドの問いに、店の主人は応える。

「彼らはこの城下町ではかなり知られた冒険者じゃ」

 そう言うと、暴れている彼らの方に目を向ける。


「金のためなら人殺しもいとわん 僧侶アリス」

挿絵(By みてみん)

 銀髪に赤い瞳の少女を見てそう言う。

 おまけにかなりの怪力じゃしな…と言葉を追加する。


「美人じゃが 二重人格でサディストな女戦士バーバラ」

挿絵(By みてみん)

 赤い髪に紫の瞳の、男共を一人で蹂躙している少女を見ながらつぶやく。


「美女のためなら街一つぶっつぶす レズの魔法使いクララ」

挿絵(By みてみん)

 若草色の髪に青い瞳の少女の方を見ながら言う。


「――そして」

 主人の目線がひっくり返った大きなテーブルの下に向く。


「あのテーブルの下にいるのが、彼女達の一応(・・)リーダー勇者アルフレッド」


 黒い髪に黒い瞳の少年を見る。相変わらず机に押さえこまれている。


「お兄ちゃん大丈夫なの?」ドロシーが心配そうに覗き込んでいる。

「だ…大丈夫だよ」辛そうだが…幼いドロシーに心配かけまいと、無理矢理笑顔を作り、応えるアルフレッド。


「まあ…リーダーったって彼女達の尻拭いをさせられとるだけじゃがな」

 カラカラと店主は笑う。

「そ…そりゃかわいそーに」

「だからこそ、その『幸せの青い鳥笛』ってのが欲しいんじゃろおて」

 そんな風に、店の大騒ぎをのんきに見学しながら店主とエドマンドの会話が続いている間…


 ガタガタッ…と、重いテーブルの下からやっとの思いで這い出てきたアルフレッドは

「バーバラ!」

 …と、大立ち回りを演じているバーバラの名を呼ぶ。


 ……が……


「どーした!! かかってこーい♡」


 ゲーラゲラゲラ!!…と高笑いと共に攻撃の手を緩めないバーバラには、アルフレッドの声が全く聞こえていない。


「いーかげんにしろ!!」

 アルフレッドは、激しく動くバーバラの肩を、ガシッ!とつかむ。

「これ以上やったら店に…」

 止めようと続けた言葉と同時に、ブオッ…と身体が宙にうく。

「迷惑が…」

 …そのまま言葉は最後まで発することは出来なかった…。


 ドバキャ☆


 …という激しい破壊音と共に、攻撃を受けていた男達集団のど真ん中にアルフレッドは身体ごとふっ飛ばされていた。


「――あ」

 反射的に肩にあった手をつかみ、思いっきり背負い投げをしたバーバラは、どっかに行ってた意識というか理性がやっと戻ってきたようだった。

「なんだ アルフだったのか――」

 気付かんかったぞ…と、やっと冷静になったバーバラ。

「やったぁ♡ストラーイク♡」…と、楽しそうにはしゃいでいるクララ。

 そして…

「ばっかねぇ…バーバラの後ろに立つなんて……」…と、あきれた顔ですっ飛んでったアルフレッドを見ているアリス。

 名高い勇者様であるはずの仲間を思いっきり攻撃材料として使ってけろっとしてる三人娘達を見て、湧き上がってた周囲も、し~ん…と無音になる。


 …何はともあれ、勇者様の身体を張った活躍(?)のおかげで店内の騒ぎは収まったワケで…

挿絵(By みてみん)


2章・第2話の更新です。

今回本文に初めて絵を入れて見ましたが…いかがでしょうか?

イメージイラストですが…キャラクターがわかりやすくなればいいんですが。


…で、肝心の本文の方ですが…2回に分けると後半が長くなり過ぎたので、結局3回に分けることになってしまいましたorz

しかも今回は他よりちょっと長めという…×イラストも入っちゃったから余計長く感じるという…orz

…バランスよく分けるって…難しいです。

よろしければ次回もぜひご覧くださいm(_ _)m


前回も書きましたが、8月には夏コミに参加することになっております。

漫画の方の原稿作業にも入ってますので、〆切前とかとかぶったりしたら、途中で更新止まっちゃったりすることもあると思います。その時はどうかご容赦くださいませm(_ _)m


夏コミでは、ウマ娘ジャンルで参加してますが、大冒険の同人誌も持参してます!

もしかしたら新刊も出せるかもw

…なので、参加される方いらっしゃいましたらぜひ見に来てやってくださいませ♪


夏コミ106

8/16(土・1日目)「茶々組」「初心の会」西2ホール・き16ab

8/17(日・2日目)「DAMe project」東7ホール・L32a


…で参加します。こちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

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原作マンガ、電子等で読めますw
「熱血!大冒険大陸」
DMM版kindle版、他、お好きなプラットホームでぜひ♪
とりあえず、どんなのか見るだけでも…という方は、 帰ってきたマンガ図書館Zで見れますw
あと、続編的なというかスピンオフ的なというかそんな同人誌も出してます。
同人イベントか、電子で良かったら見てやってくださいませm(_ _)m
…詳細情報はHPよりもTwitter(X)の方が早いのでw、ぜひそちらものぞきに来てくださいませ♪
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