10:邂逅、大冒険者 ③
第10章3話目・最終話です。
「すまなかった」
にぎっ…とアルフレッドはギルの柔らかい人形の手を握る。
「誤解してたよ」
アルフレッドは素直に目の前の人形に対して真摯に謝罪する。
素直なところが彼の最大の取り柄だ。
ギルも柔らかい手でアルフレッドの手を握り返す。
確かに…ここにいる皆のわだかまりは溶けた…そんな風に、いきなり芽生えた友情の空気が二つのパーティの間に流れる。
「そーだよ坊や♡ 僕らみたいなプリティパーティが悪役なわけないだろ♡」
…友情が芽生えた様に見えつつも、ギルの言葉は可愛い言い方でもかなり口が悪い。
「おまえみたいなのに坊やあつかいされたくねぇよぉ!!」
「きゃー」
…とアルフレッドとギルがやりあっている姿を、こ…こいつら…×…とラルシオンが脱力しつつ見ている。
ちなみに…
「まぁ全面的に信じられるとも言えないけどね」
と小さい声でつぶやくアリスに、
「ラル姉様のお友達はいい人に決まってるわよ!!!」
と一生懸命訴えているクララも彼等の後ろにいる。
アルフレッド程素直ではないアリスは、未だにラルシオン達に若干の疑いの目を向けている。
さすがにクララのように、完全に信用しているわけではない。
それでも…こんな子供とよくわからない人形を引き連れた頭の悪そうなエルフに、そんな悪巧みが出来るようにも思えないし…と、口には出さないがかなり失礼なことを考えて、一応彼等の言い分に納得はしている。
…さらにちなみに、バトルシーンでは物凄く存在感を放っていたバーバラは、今は空気のようにそこにいるだけである。
物事を考えるターンに入った瞬間、自分の担当では無いとばかりに、スーンと黙り込む彼女は、実際何も考えてはいないから黙って存在感を消すのである。戦闘以外何の役にも立たない…とまで言われてしまう所以である。
…そんな、全員の間に雪解けのような温い空気が流れる中、
「――そうすると…例の鳥笛は、どうするんです?」
…と、今まで黙って流れを見ていたエドマンドがにこやかに問いかける。
「皆さんで仲良く使うとか?」と。
…その瞬間…
そこら辺に流れていた生暖かい「友情」という空気に…
ぴき!
…とヒビが入る。
「ほ…宝石は渡さないわよ!」
アリスがラルシオン達をにらみながら断言する。
「鳥笛はこっちのもんだからね!」
ラルシオンもアリスにそう断言する。
ばしびしばし!…と、二人の間に火花が散るような緊張感漂う空気が流れる。
ヒビを入れる言葉をうっかり発してしまったエドマンドが、
「せ…せっかく仲良しになったっていうのに、どーしたんですぅー?」
となだめようと焦っている。
「あ…あの、やっぱりこーいう場合…」
そんな火花散る二人の間にティムが入ってくる。
そして、
「皆で協力しあって、まず敵をやっつけるべきだと思うんだけど…」
…と、建設的意見を述べる。
「鳥笛のコトはその後ってことで」と。
「そーよねぇ♡ いいこと言うわ、ティムちゃん」
クララがティムの言葉に、ものすごく納得したように同意する。
「さすがラル姉様のお友達♡」
「ええっ!? そーんなぁ♡ クララさんもステキですよぉ。魔法も豪快さんだしぃ♡」
「やだー♡ もぉ、ティムちゃんったら上手なんだからぁー♡」
…とそのまま二人できゃっきゃっうふふと楽しそうに会話を続ける。
そんな風に、空気の悪くなった周囲を落ち着かせ、納得させていい具合の着地点を見出し、あまつさえ相手を気持ち良くさせる会話も出来るティムの姿を見て…
「大人だ…」
…と周囲の大人達が10歳児の大人っぷりに愕然とする。
「クララさんがあんなにすごい魔法使いなんだもん、次期族長っていうラルちゃんならもっとすごいんでしょうね」
「――え?」
そんなにこやかな会話の流れで、ティムがクララに問う。
その問いに、
「ラル姉様って……確か魔法は全然…」
つかえな…
「そっ…そーいえば…ギル!!」
『魔法が使えない』とクララの口から言わせないために、慌てて会話の流れをぶった切るラルシオン。
…身内にさえ魔法が使えない事を知られたくない…そんな無駄な矜持というか羞恥がラルシオンを慌てさせる。
「あんた専業戦士でしょ!? なんで僧侶の魔法使えんのよっ!!」
「ボクは自分からは一度だって『専業戦士』だなんて言ったことないよ」
誤魔化すためのラルシオンのツッコミに、ギルは平然と答える。
「え!? そ…それじゃあ、僧侶戦士?」
「ノンノン♡」
教会に属した戦士なのか?とラルシオンが問うとギルは馬鹿にしたように指を振りながら否定する。…人形の指でそんな事をされると、余計にイラッと神経逆なでされる感じがする。…そのギルの行為に、慌てたため誤魔化すための会話の選択を間違えたかも…と眉を顰めるラルシオン。
「もっと格調高く『十字戦士』って言ってよ♡」
だって実家は教会だもん♡…と言いつつ、その指でちょんとラルシオンの鼻をつつく。
…ただでさえイラついていたラルシオンをさらにイラつかせるその行動。
「まぁ…ボク本当は坊主嫌いだから、魔法はあんまり使いたくないんだけどね」
フッ…とカッコつけながら、ギルが言葉を続ける。…いくら格好つけても人形である限り、決してカッコよくは見えないのだが。
「このおバカぁ―ッ!!! あんたが魔法使ってたら、もっと楽に冒険できたのにッ!!!」
イラつきが頂点に達したラルシオンは、ぼかすかぽかすかと柔らかい人形の顔をめいっぱい殴りまくる。
「あっあっあっ× いたい× 痛いよラルちゃん!」
と器用に涙を流すギル。
…人形に痛点があるのかどうかは、はなはだ疑問ではあるのだが。
「ところで…さっきの続きは?」
ぽかすかやり合っている…いや、やり合うというよりは一方的なラルシオンの攻撃とそれを受け続けてるギルの姿を見ていたティムが、さっきの会話を思い出し、ラルちゃんの魔法がどーとか…?と再びクララに問いかける。
…会話の流れがまた元に戻った感に、ぎくっ!とギルを殴る手が止まるラルシオン。
「あ、あれね。ラル姉様は魔法が…」
「とっ…とにかく!!」
すかさずクララの言葉にかぶせるように大声を上げるラルシオン。
「そーと決まれば長居は無用よ!」
…とにかく、誤魔化すのに相当必死なラルシオンである。
「奴らがまたいつ来るかもしれないし…」
「奴らって…デラデューンか?」
ラルシオンの言葉にアルフレッドは慌てる。
「そーよ! さっきもすぐ近くでやっつけてきたところだもん!」
「え!? じゃあさっきの地響きがそうか!?」
どーりでうるさいと思ったら…と先程の話で盛り上がる。
…と…
その後ろで…
ゴゴゴゴ
…と、何故かまた遠くで地響きが始まる。
「それじゃすぐ逃げなきゃ!!」
…と、アルフレッドも慌てる。
…が…
ゴゴゴゴゴ…
…という遠かった地響きは、徐々に大きくなってくる。
「――ねぇ、どーでもいいけど、この地鳴り、何?」
…と、さすがに徐々に大きくなる音と振動を無視出来ず、アリスが顔をしかめつつ問う。
ゴゴゴゴゴゴ…
さすがにこれだけ会話を邪魔する程大きくなってきた地響きに、
「こ…これ…もしかしたら…」
…と、ラルシオンも顔を青ざめる。
ゴゴゴゴゴゴゴ…
「ま…まさか…」
…と、ティムも五月蝿い地響きの中、小さく呟く。
もっとも、これだけ五月蝿いとティムが何て呟いたのか、隣にいても聞こえないレベルである。
…奇しくもラルシオンの矜持はこの騒ぎに守られたと言っても過言ではなかろうか。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
とうとう、会話が成り立たない程の五月蝿過ぎる音がさらにどんどん大きくなってきて、激しい振動も足元を揺らして、ついに…
『うーっしっしっしっしっ♡』
あの、汚らしいジジィの嗤い声が、その五月蝿い地響きよりも大きく高らかに響く。
その声にラルシオンとティムは思わず目が点になる。
その大きな声と共に地響きが…
ドオオ!!!
…と、爆発するように目の前で大きな音を立てる。
その巨大な音を立てたモノの正体は…
目の前にはラルシオンが遠くに蹴り飛ばしたあの『魔神壱號』に似た…だが、微妙に仕様が違う巨大な古代鉄甲文明の人型戦闘兵器が…!!
『さあっ!! リターンマッチぢゃあ!!!』
その巨大な鉄の塊からジジィの大声が響く。
「いいっ!!?」
「なっ…何だありゃーッ!?」
アルフレッド達が初めて見る巨大な鉄の塊を目の前にして、驚きに目を見張る。
一方、ラルシオン達は
「やっぱり……」
「またぁ…」
…と、脱力気味に呟く。
…そんな目の前の人間達の様子など全く意に介さず、その鉄の塊からデラデューンが高らかに宣言する。
『この…魔神弐號でな!!!』
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よかったらぜひ、のぞいてみてくださいませm(_ _)m
第10章3話目に更新しました。
最後にとんでもないモノが…!?てな感じの話でしたw
次回は第11章1話目になります。よろしくお願いしますm(_ _)m
前回も書きましたが、後半部分が結構半端に長くなってしまい2回に分けるコトにしたため、ちょっと短めになってしまいましたorz
…体調を崩して、1週間寝たり起きたりだったため、内容精査もあまりできませんでしたorz
ミスとかあったら申し訳ありませんですm(_ _)m
来週更新予定ですが…体調が戻らなかったらヤバいかもですorz その時はご容赦くださいませm(_ _)m
……できれば一気に毎日更新とかできるようになるといいなぁ…と夢想しているのですが、なかなか…orz
ではでは。
次回も無事更新できましたらまたお会いしましょう。
よろしくお願いしますm(_ _)m
あと…最後にお願いがw
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