03:死の迷宮(ダンジョン)!! 大冒険ピラミッド ③
3章・最終話です。
ラルシオンパーティVerです。
…今回も、タイトルにはルビが付けられないので…
正確には…
03:死の迷宮!! 大冒険ピラミッド
…と読んでくださいませm(_ _)m
…一方…
「む…むう…」
深い森の中…少しだけ開けた場所に、鎧姿の若い男と黒いローブの老人が、絡み合った状態で転がっている。
「よもや…テレポートゲートに押し込むとは…」
ローブのジジイはのそのそと身体を起こすと…
「うおおお!許さんッ!!! 今度こそ絶対に許さんぞおおおお!!!」
…と、発狂レベルの切れっぷりで叫ぶ。
「このデラデューン様を出し抜きよって!! あの小娘共~ッ!!!」
怒りが治まらないデラデューンは、自分の足元にまだ転がっているイブナートをぐぅりぐりぐりっ…と力いっぱい踏みつけながら叫び続けている。
〈鳥笛の奪取に失敗したようですね…〉
「!!!」
突然…魔力を通したかのような微かな男の声が耳元に響き、デラデューンの足が止まる。
「サ…召喚師か…」
慎重に周囲を見渡すと、怪しげな蝶がデラデューンの頭の上をふよふよと飛んでいる。
「《調査蝶》か…。盗み見とはいい趣味じゃな…」
苦々しく顔をゆがめ、文句をたれるデラデューン。
〈どうも…〉
だが、蝶から聞こえてくる声は、申し訳なさなど全く感じられない。
「フン!待っておれ!! 今すぐ鳥笛を取り返してくれる!!!」
どすどすどす…とわざとらしく大袈裟に音を立て、その場から少し離れた場所で、もう一度ゲートを広げようと動いたデラデューンに、
〈いえ、しばらくその必要はないでしょう…〉
…と、蝶は囁く。
「なに!?」
〈フフフ…。ゲームですよ…。面白いゲームを思いついたんです…〉
「フン!」
楽し気な蝶の言葉に、不満気に鼻を鳴らすデラデューン。
一応スポンサーである相手の言う事くらいは聞く気はあるが、デラデューンからしたら面白くない展開である。
〈そうそう…。そちらも御二人ではさびしいでしょう? よろしければ私が召喚した兵をお貸ししますよ〉
「いらん! 貴様の手なぞ借りん!!」
蝶からの提案に、デラデューンは不愉快も露わな表情で、にべもなく断る。
とにかくこの不愉快な蝶から離れたくて、まだ身体を起こせないでいるイブナートの首を縄でつなぐとずりずりと引きずりながら、デラデューンは目的もなくずんずん先に進む。…イブナートが起きれないのは、先程自身が行っためいっぱいの全力踏みつけのせいなのであるが…その点は全く気にも留めていないデラデューンである。
〈今ならおまけの玩具もついてきますよ♡〉
「玩具?」
…だが、『玩具』という蝶の言葉にデラデューンの足が止まる。
召喚師はデラデューンからしたら何を考えて考えているのかわからないスポンサーではあるが、その職業柄か面白いモノもかなり提供してくれてはいる。
その召喚師が言う『玩具』…その言葉はデラデューンの興味を引いた。
〈フフ…共にがんばりましょう〉
蝶は不規則にふわふわと動きながら、デラデューンの周囲を飛ぶ。
〈我が主デスフォート様のために……〉
「ギルー」
ピラミッドから離れた森沿いの川に、ラルシオンの呼び声が響く。
「ちゃあんと洗ったぁ?」
しかめっ面で声をかけるラルシオンと、困ったように目を伏せるティム。
そこに…
「ひどいや ラルちゃん!!!」
「きゃあ!!!」
どどーん!!!…と、真っ裸びしょ濡れのギルが目の前で仁王立ちしている。
「ぼくのせいじゃないのにぃ! あんなクソ溜りの中探させて!!!」
…そう…
いい音をたてて汲み取り式便所にぽっとんした伝説の鳥笛を、そこから救出したのはこのギルである。
狭いそのトイレには、標語の様に『トイレはきれいに♡』と古代文字で書かれた古いタペストリーが壁に貼られていた。
…が、いくらきれいに使用していたしても、古代文字を使っていた頃からのトイレである。どれだけの排泄物が溜められていたことか…。
ましてや『汲み取り式』とは言っているが、誰がそんなピラミッドの奥深くまで汲み取りに来てくれると言うのか。
…つまり…千年前に建造されてからただの一度も汲み取られていないトイレに、あの神々しい鳥笛は落下したのである。
意思すら待たないハズの鳥笛も、思わず涙を流しているかのような表情に見えても不思議ではない。
……そこに、ミッションインポッシブルの如く、ロープでくくられたギルが下ろされ、排泄物の中をあさり、何とか鳥笛を救い出したのである。…まさにミッションインポッシブル、である。
もちろん…その代償は痛々しい程で……
「おかげでクソまみ…」
「服を着ろッ!!!」
どっか!
…ギルの言葉は最後まで発することは出来なかった。
ラルシオンの力のこもった廻し蹴りで…
ぽっちゃーん
…と、川に逆戻りしたからである。
「もぉ…」
飛んで行ったギルを眺めていたラルシオンは、今度はティムの方を向くと
「行くよ! ティム!!」
と元気に声をかける。
「え?…行くって…心臓宝石どこにあんのかわかんないのよ?」
「うーふーふーふ♡」
ティムの問いに、含み笑いのラルシオンが手に持っている板の様な物を、正面にかざす。
「これなーんだ♡」
「?」
ティムに向けられた板の様な物は…古い崩れそうな石板であった。
端もかけ、ヒビも入っている。表面に削るように描かれている絵も、かなり薄くわかりにくい状態になっている。
「何? これ」
ラルシオンから石板を手渡されたティムは、壊さないようにそーっと持つと、そこに描かれた絵を見つめる。
「ほら!鳥笛置いてた台座についてた石板よ!」
ラルシオンが弾んだ声で解説する。
「でね…これが鳥笛だとしたら…」
薄く描かれた絵は、よく見ると大冒険大陸の地図の様に見えなくもない。
その地図上には記号の様に△のマークが刻まれている。ピラミッドを表示しているのだろうか。そのマークを指す様に鳥の絵も描かれている。
「これ…心臓宝石に見えない?」
そのピラミッドの様なマークの斜め下あたりに、簡易な建物の様なマークがある。そちらには、丸い太陽な様な形の絵が描かれたものが建物のマークを指す様に表示されている。
「じゃあコレ…心臓宝石への地図!!?」
「ぴーんぽーん♡」
驚き、声を上げるティムに、ご機嫌にハイテンションで応えるラルシオン。
確かに…怪しくはあるが、それなりに根拠のありそうな話に、否が応でも二人は盛り上がる。
「これで決まりね!…幸せに向かってGO!!!よ♡」
ラルシオンの上がりまくったテンションに、ちょっと引き気味ではあるが、うなづくティム。その後ろには、やっとの思いで川から這い上がって来たびしょ濡れのギルもいる。
三人は、だんだんと沈んでいく太陽に向かい、元気にテンション高く砂漠を進んでいく。
目指すは、鳥笛を完璧なモノにする、『心臓宝石』!!
彼らの幸せは、目の前である!!…多分。
「ラルちゃん。鳥笛持つ?」
一応…綺麗に水洗いされた伝説の鳥笛は、見た感じ汚れは見えないが…
「けっこうよ!!!」
ギルの言葉に間髪入れずに拒否るラルシオン。
…いくら幸せへの道しるべになるとはいえ…さすがに自分では持ちたくはない、女子達であった…
3章最終話、更新です。
最終話、やや短めになってしまいましたorz
てか、2話目が長かったんですが(^_^;) …今度こそ…次からはうまくまとまるよう、頑張ります。
次回・4章に入ります。そちらもぜひご覧くださいm(_ _)m
来週、いよいよ夏コミですね!!
せっかくなので、大冒険大陸のコピー本とかも作りたいなんて考えてたら、漫画原稿作業、〆切かなりヤバい状態ですorz
…来週は夏コミ当日になるので、更新はお休みさせていただくと思います。スミマセンm(_ _;)m
再来週には更新を!…出来たらいいなぁと思ってますw
…冬コミの申込〆切もあるから、確実に出来ます!!と言えないところが何とも…orz
そんな情けない状況ですが…次章からもよろしくお願いいたしますm(_ _)m
夏コミでは、ウマ娘ジャンルで参加してますが、大冒険の同人誌も持参してます!
もしかしたら新刊も…間に合えば出せるかもw
…なので、参加される方いらっしゃいましたらぜひ見に来てやってくださいませ♪
夏コミ106
8/16(土・1日目)「茶々組」「初心の会」西2ホール・き16ab
8/17(日・2日目)「DAMe project」東7ホール・L32a
…で参加します。こちらもよろしくお願いしますm(_ _)m




