どこにいるの? 名前
どこにいるのかしら。
ちょっと目を離したすきに、すぐにいなくなっちゃうんだから。
まったくわんぱくよね。
うちの子ったら。
あらあらごめんなさいね。
探すのを手伝ってもらっちゃって。
お忙しいでしょうに。
うちも小さな子供がいるから放っておけなかったですって?
まあ、なんて良い人なのでしょう。
見ず知らずの他人のために、手を貸してくださるなんて。
私が困っていても皆知らんぷりで、世の中冷たい人ばかりだなって思っていたところなの。
本当にありがとう。
あら、見つかりましたか?
まあまあ良かった。
だいきくん、だめよ。遠くにいっちゃ。
本当に困ったさんなんだから。
意外に大人しい子ですね、ですって?
おほほ、この子人見知りする子なんです。
でもいつもはわんぱくなんですよ。
では、ありがとうございました。
本当に助かりましたわ。
善意の手伝いをしてくれた女性が離れたのをみて、不安そうにする子供の手を強く握る。
もう逃げ出さないようにしっかりと捕まえておかなけれな。
「駄目よ、だいきくん。もう逃げ出したりしないでね」
子供は不安そうな声で、小さく呟いた。
「ぼく、だいきじゃないよ」