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心療内科

 翌日、8時に朝起きると、ここ数年無かったくらい爽快な目覚めだ。倦怠感も無い。今日は担当医に症状を訴える日なのに。


 朝食を食べた後にいつも飢えがくるのに、今日は飢餓感を感じない。食欲が落ち着いている。身体も軽いし、気力もみなぎっている。まるで病気が治ったようだ。まさかだけどね。病気との付き合いも長い。


 適当な服に着替えて病院に行く。


 初めは洗濯をしていない服を着るのにも、お風呂に入っていない身体で出かけるのにも抵抗があったが、病気の前では些細な問題にしかならなかった。

 体調のいい時にだけ洗濯する。気力がある時だけシャワーを浴びる。これが病気になって一人暮らしを始めた頃からの習慣。『無理をしない』これが大事。病気と付き合うには何処かで折り合いをつけないといけない。


 寝てばかりだから筋肉が落ちてるけど、今日は外の景色が違って見える。いつもは早く部屋に戻りたくて仕方がないのに、今日は外が、目にうつる景色が輝いて見える。若い自分に戻ったみたいだ。もう26歳なのに。何故か心がウキウキする。


 いつもより軽い気持ちと足取りでバスに乗る。習慣で空いている座席に座るが、いつもみたいなダルさが無い。不思議に思うが、外の景色を楽しむ。こんな日があるなら楽しまなきゃ損だ。


 終点の駅前までバスに乗って、少し歩くと病院が見える。入院病棟が併設されてるから、前まで通ってたメンタルクリニックに転院されたんだよね。もしも何かあったらすぐに入院出来るように。入院はお金がかかるから絶対しないけど。


 病院で受付して待合室で待つ。予約なのにいつも混んでいるのが嫌だ。待ち時間に気分が悪くなったことがあるから苦手意識がある。

 まあ、病気仲間が沢山いて自分1人じゃないってのもある意味で安心はするけど。でもこの病院流行りすぎだと思う。



 1時間程、待ってから呼ばれる。さあ!先生!対決だぜ!


「こんにちは、今月は、いや、一週間前に来られてますね。今日はどうしましたか?」


 昨日の病状を先生に説明する。辛かったんだよ!


「食欲は落ち着いてると。薬を少なくして体調が悪くなったんですね。今日の顔色は良いですが、起きてからの体調はどうですか?」


 今日、起きてからの体調の説明をする。要するに今日は何故か絶好調だぜ!


「ん〜、薬は減らす前に戻しますが、ご自分で飲む量を調整してちょうどいい薬の種類を見極めてもらえますか?何かの薬が副作用で悪さしてるかもしれませんから。それと、調子が悪くなったらすぐに薬を飲んでください」


「分かりました」


「それでは今日はいいですよ。お大事になさってください」


「ありがとうございました」


「お大事にー」


 看護婦さんにお見送りしてもらう。


 自分で薬の調節が出来るなら苦しむのも最小限で済みそうだ。良かった。不安時に飲む薬も出てるし安心だ。


 今日は体調が良いし、食料の買い物して帰ろう。出来る時にやれる事をしないとね。出かけるの嫌だー!って日があるから。


 1週間前に体重計貸してもらったら66kgだったんだよな。自分でも驚いた。身長160cmで太りすぎ。前が49kgだったから看護婦さんに心配された。

 前は痩せすぎ、今は太りすぎ。ちょうどいい体重にならないね。


 病院が終わって薬を貰ったら、スーパーでお買い物。


 なるべく手がかからないのを選ぶ。


 キャベツにりんご、納豆に卵。海苔に野菜ジュースと牛乳とヨーグルト。うどんやそばも買って、なるべく料理しないものを買う。このラインナップでどうやって太ったのか疑問だ。基本、食事は変えない。メニューを探すのも面倒くさいし、1人だし気力もないし、しょうがないよね。


 お会計して部屋まで帰る。意外と荷物が重いんだよね。だからいつも、やる気がどっかにいっちゃう。


 いや、今日は汗かくのも気持ちよく感じる。本当に今日は不思議だ。


 あーあ、でも荷物がなぁ。重い。ラノベやファンタジー小説みたいに時間停止の亜空間収納が使えたらいいのに。


 かーっと身体が熱くなったら、目の前にぽっかりと空間が裂けた。


 空間が、裂けた。


 空間が。


 裂けた。


 …………。


 はあ!!??



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