表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おハーブおじさん 栽培チートでおハーブ大好きお嬢様を助けたら、真の仲間と認められました。合法おハーブで彩る異世界村おこし  作者: うえき蜂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/42

ハーブティーブレイクタイム

 休日の昼下がり。

 ハーブショップ開店の準備が着々と進行していた。

 つかの間のハーブティーブレイクタイム。


 本日のメニューは、ローズヒップとレモングラスのブレンド。

 さましたポットに、果汁と氷をたくさん入れて冷たくしました。


「私の負けだな」


 カミツレさんはストローを口から離し、降参した。


「エンドー氏のハーブティー。これは……マズいな」

「うめぇですわ! いくらでもゴクゴクですの! おハーブティーへの誹謗中傷、悔い改めてくださいましっ」


 おハーブギャングが、カミツレさんに噛みついた。


「ローレル、味の感想じゃないぞ。普通に美味い。問題は、性能に関してだ」


 コップを指で弾いた、ポニテ美人。


「大した苦労もせず……この言い方はエンドー氏に失礼か。すまない」

「言いたいことは分かるんで、続けてどうぞ」

「上級ポーションを超えた、言わば特級ポーションの性能。それを再現するのに、あまりにも低コストだろう。出るところに出せば、簡単に大金が手に入る」


 おじさんは、こくりと頷いた。


「ぶっ壊れポーションを、全ての冒険者が買える値段で卸せば大金持ち。もしくは、一部の金持ちに独占させる転売ヤー。確かに、一瞬そのプランは考えた」


 そうあれは、カゾマートのバックヤードで店長と疲弊しきった時……


「金持ちになりたいけど、製造元がおじさんだとバレて、トラブルに巻き込まれるのは嫌なんだ。うだうだ考えてるうちに、おじさんはおハーブ大好きお嬢様に捕まってしまったとさ」

「真の仲間との邂逅――デスティニーでしてよ」


 ローレルさんが両手を組んで、瞳をキラキラさせていた。すこぶる美化されてそう。


「特大のトラブルを招くとは、エンドー氏は間が悪かったようだ」

「まあ、自分を認めてくれた人だから仕方がない」

「ローレルに友人ができて嬉しいよ。私以外、付き合いの長い関係者がいなくてな。ハーブハーブと珍妙な発言ばかりゆえ、学友たちに敬遠されたものだ」


 カミツレさんは、やれやれと肩をすくめる。


「理解者がいるなら、肩の荷が下りたというわけだ」

「いや、理解は全然してないなあ」

「タクミ様っ!?」


 形容しがたい形相を見せた、ローレルさん。


「ハーブショップに並べる商品は、効能を調整するんで大丈夫。めちゃくちゃ薄めます。お得意さんには、真の力を解放予定」

「ほぉ、ある意味商魂たくましい奴だ」

「わたくしは、反対ですわ! おハーブを軽んじられては、末代まで祟りますものっ」


 ローレルさんが激昂したら、ラベンダーのハーブティー。イライラ抑制。


「約束通り、私はお前たちの店を手伝おう。好きに使ってくれ」

「今、何でもするとおっしゃいまして?」

「曲解するな。言っておくが、ローレルの責務が免除されたわけじゃないぞ」

「田舎の活性化は、村長が粉骨砕身を以って成し遂げてくださいまし」


 ローレルさんは、ハーブティーをグビグビ飲むや。


「そうですわ! その手がありましたの!」


 おじさんとカミツレさんは、急に立ち上がったお嬢様を注目する。


「カゾの村に特産はありませんわ。ならば、特産にすればよろしいのではなくて!?」


 嫌な予感しかしない。


「おハーブですわ! カゾの村の特産を、おハーブでしてよ!」

「勝手に生やすな。第一、ハーブは貴重な草なのだろう? エンドー氏が偶然持っていた種を増やすとして、家庭菜園の域を超えているぞ」


 ハーブはあくまで趣味の園芸。

 権力で農村プラントに改造したとして、どれほど効能が出るか分からない。


「趣味と実益を兼ねた万事解決なプランでしたのに……わたくしのマルチタスク」


 珍しくガッカリした様子のローレルさん。9割趣味に傾いてそう。


「特産を全国展開する考えは間違ってないよ。簡単に実現できないだけで」

「うむ、ハーブショップの経営が軌道に乗れば、村と提携するのも悪くないな」


 ふと、昔読んだネット記事を思い出す。


「そういえば、おじさんの故郷の話。どこかの田舎で葉っぱビジネスが大成功。つまもの――彩りを添える付け合わせの葉っぱを、全国の飲食店に販売してすごい儲かったとか」

「それですわ、タクミ様! 光明差しましてよっ。つまり、新しい産業は地方創生、社会福祉、村人の生きがいに繋がるのでしょう」


 劣勢を覆した、ローレルさん。とても賢い。


「おハーブに勝るお葉っぱがありまして? いいえ、ありませんとも!」


 個人の見解です。


「やはり、おハーブ……っ! カゾの村に、おハーブ生やしますわ。今ここに、おハーブ村復興計画を宣言いたしますの!」


 頭おハーブお嬢様、ドヤ顔である。


「まずは実績を積め。お前の計画が誇大妄想と一笑に付せられるか、本当に実現するか。私が見届けよう」

「カミツレさん、他人事のように語りますのね。最も忙しいのはあなたでしてよ?」

「……何、だと?」


 カミツレさんは、目を大きく見開いた。


「わたくしは、経営関連。タクミ様は、おハーブ関連。カミツレさんは、店舗運営全般を担当しますわ」

「私に販売員の経験など皆無だが。フッ、知名度のない新興産業が忙しくなるものか。スタッフが一人でも暇を持て余すさ」


 スタッフが一人、そのフレーズに反応しちゃうおじさん。


「深夜のコンビニ……ワンオペ中、店前でバカップルのケンカ……うっ、頭がッ」


 徐に、蘇る悪夢。


 おじさんが研修期間の頃、人手不足を理由に一人で深夜シフト入らされたなあ。店頭でバカ騒ぎに興じた彼氏彼女が暴力沙汰に発展。コンビニのガラス、破損。近所の住民が親切で通報し、本当に警察が出動。アホと一緒に、おじさんも参考人として連行。遅番、事情聴取、昼番、地獄の3連コンボだドン! 集中力に欠けていると初代店長に嫌味を言われて、もう一度暴力沙汰が発生するところだったね。おじさんの忍耐力を褒めてくれ。


「はあ、はあ……」

「もし、タクミ様? 息を荒げて、いかがなさいまして?」


 ローレルさんに背中をさすられ、呼吸を落ち着かせる。


「ちょっと嫌なコンビニエピソードが脳裏を駆け巡った。もう大丈夫」

「カゾマートですの? 許せませんわ、買収してその看板を下ろしてやりますわ」


 領主の娘、権力振りかざす気満々だった。


「ムサシの国のカゾマートちゃうっ。日本のローソ」


 おじさんはギリ堪える。ン~、頑張った。

 ローレルさんをハーブキャンドルで落ち着かせると、まとめに入ったカミツレさん。


「とにかく、我々が目指す方向性は理解した。一応な。エンドー氏のハーブティーで疲労がすっかり消えたよ。午後も各自、しっかり仕事に励むように。では、解散ッ」


 ハーブティーブレイクタイムを経て、再びそれぞれの持ち場へ戻るのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ