14・語り
鳥辺口調です、この章だけ
「もう、お兄ちゃんったら恥ずかしいじゃない!ただ買い物に出ただけなのに。」
「いやー、でも、本当に心配したんだよ。」
部屋に居なくて、大騒ぎした僕を、妹は膨れっ面で見たよ。
「郵便受けに、新聞たまってなかったでしょ?もう一人で、動けるぐらいには回復してるわよ。」
「えっーと、本当に御免なさい。」
妹は、クスクス笑った。痩せて、少し頬がこけていても、その笑顔はとても可愛らしかった。
「別にいいわよ、もう怒ってないもん。」
「ほっ・・・。」
妹の部屋で、二人で話していた。妹はベッドで上体を起こして、僕は横で介抱していて。とても心地いい空間だったさ。でも、しばらくすると、妹はそのロングヘアーに自分の顔を隠した。
「どうしたんだ?」
僕は何処か具合が悪くなったかと、心配した。でも、妹が言った言葉は予想外の言葉だった。
「エマさん・・・、殺したの・・・、お兄ちゃん、でしょ・・・?」
布団を握りしめ、やっと絞り出した声。僕の胸はズキンと痛んだ。本当の事を言えば、僕と妹は破滅するし、かといって、あの死体はエマさんじゃなくて、別の誰かだとまだ分かってはいない・・・。
僕は、説得力のない反論を続けるしかなかった・・・。
「な、何言ってるんだよ・・・?」
「嘘、つかないでよ・・・。」
「う、嘘なんか・・・!」
「お兄ちゃん、いつもそうだよね・・・。人を助けようといっつも頑張ってるけど、目先の事ばかりで、失敗ばかり・・・。困っている本人の事、全部無視してさ・・・。何で信じてくれなかったの・・・?私が良い写真を撮るって。皆が黙るような、凄い写真を撮るって・・・!」
妹の涙を見たとき、僕は初めて後悔をした。自分のしてしまった事に・・・。
その日はなんとか妹を宥めて、家に帰った・・・。自分の中の罪悪感と闘いながら・・・。
短い