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11・静寂の中の推理

いつの間にか日曜日orz

遅れてスイマセン、それでは解答編です

 「今から事件の真相を、皆さんに・・・、」

 「ちょっと待てよ、涼!」

 

話し始めようとした涼を、純が遮る。


 「お前な、これは遊びじゃないんだぞ、ゲームでもないんだぞ。なのに推理?ふざけるのもいい加減にしろよ!」

 「そ、そうよ、涼・・・。ここは警察の人にまかせて・・・、」

 栞も、それに便乗する。しかし、涼は二人を手で制して

 「確かに出すぎた真似だとは思うけど・・・、早く事件が解決するなら、それにこしたことはないと思うんだ!」


 その言葉で、純と栞は言葉を失った。助けを求めるように二人は、岡本の顔を見つめる・・・。

 しかし・・・、岡本は


 「面白そうですね・・・。聞かせてもらいましょうか。」


 正直、刑事としてならこれを阻止すべきであるが、岡本は一人の人間として、涼に純粋な興味を寄せていた。

 それに、岡本の頭には既に真相が見えており、例え白川君が間違った推理をしても、大事には至らないだろう・・・。

 岡本のその言葉に、涼は頭を深く下げて礼を示す。純と栞も観念した様子で、椅子に座り直し項垂れた。

 涼は一つ溜息をつくと、ゆっくりと語り始めた。


 「まず、事件を整理します・・・。


 あの日・・・、祭りのあった日・・・、幽霊が出るといわれている、S地区で僕達と鳥辺さんと、エマさんが会いました。

 鳥辺さんは、S地区に行く途中でエマさんと会い、一緒にS地区に。

 この後、ある程度話します。この途中の午後八時に遺体が見つかり、マンションも燃えました。そして、鳥辺さんが友達との約束を思い出してその場を離れ、その一時間ほど後にエマさんもその場を・・・。

 そして午前四時、僕達もS地区を離れて帰る途中、警部さんに会い、エマさんが死んだ事を告げられました。

 そして、ここにきて事情説明の後、エマさんのハンカチが見つかったので僕達は一旦解散。

 しかし、お昼、それを運んでいた駐在さんが襲われハンカチが奪われて、また僕達はここに呼ばれた。しかも、栞の鞄には盗聴器が付けられていた。

 手掛かりが無くなったが、口紅の存在を思い出して、警部さんに渡してそれにてこの日も解散。

 そして、二日後の今日、DNA鑑定もろもろの結果がでて、僕達は、またここに集合した。

 そして、分かった事は、問題の死体は僕達があったエマさんとはDNAも、指紋も一致しないという事実・・・。

 ここまではいいですね?」


 涼は念押しの言葉を言い、皆を見渡す。各々が頷くのを確認すると、涼はゆっくりとテーブルの周りを意味もなく歩き回り始めた。

 この間にも、涼はどうすれば全員に納得できるよう、かつ犯人を追いつめる事が出来る論理を構築していく。

 そして、その一つ一つを紡いでいく。


 「まず、先程も言いましたが、あの死体と僕達があったエマさんは別人です。この事を頭に置いておいてください・・・。

 では、ここで一つの疑問が浮上します。あの死体がエマさんじゃないとすると、エマさんは何処に行

ったのか・・・?」


 静かな部屋に、涼の言葉が鉛のように重々しく響く。


 「さて、ここで考えられるのは二つのパターン・・・。

 一つ目は、エマさんはやはり何処かで殺されている、もしくは拉致されている可能性・・・。

 つまり、エマさんは僕らと別れた後、誰かに拉致された。そして、その人物は何か訳あって他の人物の死体をエマさんに見せかけたという説・・・。

 しかし、これは違います。それは、死体の近くにあったエマさんの保険証、アパートの鍵から推察できます。

 死体が発見されたのは午後八時。しかし、エマさんが、僕らと別れたのは午後十時前後・・・。お分かりですか?

 保険証は家に忍び込むなりなんなりすれば、手に入るかもしれません。しかし、流石にアパートの鍵くらいは持って出かけるでしょう?僕達と別れた直後に、エマさんを拉致してもアパートの鍵を死体のそばに置く事は出来ない筈なんですよ。

 だってそうでしょ?死体は午後八時の時点で発見されているんですから。

 この推論をもっと確実なものにする材料として、石灰を受け取った怪しげな人間の存在があります。

 あの時まで、エマさんは生きていたのだとしたら、そんな人物が家にいる時点でおかしいんですよ。

 よって、この一つ目の仮説は壊れます。」


 全員は、涼の言葉をただただ聞いていた。涼は、少し声のトーンを落として続きを言った・・・。


 「では、もう一つの可能性です・・・。それは・・・、」


 涼はここで息をつき、ゆっくりと言った。


 「エマさんが犯人だった場合です!」


 涼の言葉に、その場にいた人間全員が何らかの反応を見せる。

 純と栞、鳥辺は涼の言葉がよく理解できずに目をぱちくりさせ、岡本はうんうん、と頷いている。

 涼はその反応を見渡して、少し高揚感がわいたが、それに酔うことなく理論を並べる。


 「エマさんは、ある女性・・・、鈴木さんとでも呼びましょうか・・・、を殺したいと思っていた。そこで、その人を殺しても自分が疑われないような計画を考えたのです。つまり・・・、自分が殺されたように見せかける事です。

 まず、エマさんは時限発火装置の為の石灰を注文しました。そして、事件の日の前日に彼女は鈴木さんを呼び、隙を見て刺殺。彼女の死体を深夜に、恐らくは大きなトランクを使って、公園に運び、死体に火を点けた。そして、自分の私物を死体の周りにおいて、その死体が自分の物だと思いこませるような細工を施した・・・。

 あの日、そしてあの祭りの会場を選んだのは、話題性を呼ぶため。マスコミを通じて、自分が死んだと世間に思い込ませるために、あそこ以上に適した場所はありません。

 その後は、石灰が来るのをひたすら家で待った。石灰が届いた後、時限発火装置を施し、  

た。何故か?これは自分の髪の毛などのDNAが解る物の抹消の為・・・。

さて、エマさんは空港に向かいます。海外に逃げる為に・・・。そう、このトリックは自分が生きている事が判ると困るもの。絶対に見つかる訳にはいかなかった。

 しかし、この途中鳥辺さんと会ってしまい、あまつさえ幽霊が出るというスポットに連れて行かれた。

 彼女は考えた。無理に断る事もできるが、もしかしたら疑いをかけられるかもしれない・・・。そもそも、自分が生きているところを他の人間に見られてしまった・・・。

 恐らく彼女はこの時、鳥辺さんを殺そうと思ったのかもしれません。それで鳥辺さんについていき、

隙あらば・・・。」


 涼は自分の手を、何かを握っているような形にし、それを担ぐような形にして振りおろした。


 「あ・・、あぁあ・・・。」


 その瞬間、鳥辺は妙な奇声を出した。無理もない。もしかしたら、殺されていたかもしれないのだ。


 「しかし、隙が無かったのか、それとも、躊躇いが出たのか・・・。結局は殺される前にS地区につき、彼女にとっては更に運の悪い事に僕達に会ってしまった。しかも、僕達は外国人の彼女に興味を示して、なかなか放さない。ああ、彼女はなんと不幸なのでしょう。

 しかし、そんなマッチ売りの少女にも救いが来ます。それが、十時頃に彼女にかかってきた電話です。彼女はこれを口実に僕らのもとを離れました。飛行機はもう飛び立っているだろうが、それでもできるだけ遠くに行く必要がある。さて、ここで彼女は盗聴器を栞のポーチにくっつけます。これは、警察の動向を窺うためです。しかし、彼女は愚かにも、口紅をその場に落としてしまったのです。

 そして、彼女を襲うもう一つの悲劇。それが、例のハンカチ。もし、このハンカチが調べられ指紋を照合されれば、自分の人生は終わる。彼女は、盗聴器をかいして聞いたこの事で決断しました。暗い夜道で、不意打ちならば彼女とて人を襲う事は容易でしょう。

 ハンカチを奪い去った彼女ですが、なんとも愚かな事に、他の物に目もくれず一目散にその場を離れたのです。そのせいで、単なる物取りの線が無くなり、我々の注意はハンカチに絞られました。しかも、彼女の落とした口紅によって、結局あの死体は僕達の会ったエマさんではない事が分かってしまいました。」


 涼は、まるで何処ぞの語りの人の様に、身振りをつけて話していた。最後のポーズは両手を広げ、天を見上げている。

 純と栞、鳥辺は唖然としていたが、得心ずいたように頷いた。そして思ったのだ。


 (この事件は、これで終わりだ。)


 パチパチパチ

 涼が語り終えると、岡本は笑顔で涼の推理に拍手を送る。涼は、ポーズを解除に普通の立ち姿勢をとる。


 「素晴らしい推理だよ、白川君。」


 そう言って、子供のように微笑む。涼は、憮然とした態度で何も言わなかった。

 岡本は立ち上がって、皆に笑顔を送る。


 「皆さん、そう言う訳ですから、エマさんの似顔絵を描くのを手伝ってください・・・。それを全国、いや、彼女の故郷のアメリカにも張り出そうと思います。彼女の写真はありませんしね。」


 岡本の言葉の意味するところは、鈍い栞でもすぐに気付いた。

 実は、岡本は涼の推理と同じ推理をしていた。やはり彼には見込みがあるな、と岡本は思った。

 岡本が、ドアを開き、皆を手招きする。純と栞、そして鳥辺がそれに従い、次々と席をたっていく。しかし、それを遮る声がある人物から放たれた。


 「すみませんが、それには協力しかねます。」


 涼の言葉に、全員の視線が集まる。純と栞は、少し焦りながら涼に話しかける。


 「おいおい、面倒くさがるなよ。」

 「そうよ。第一、あなたが推理した事でしょう。」


 涼は軽く手を振り、二人の言葉にあっさりと返した。


 「僕はこの推理が当たっているなんて、一言も言ってないよ。」

最近忙しくて・・・

一週間も休んで授業についていけないわ、新しいCD届いてそれを何度も聞いてたわ(これは自分の都合だなw)

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