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御曹司の興味物(なろうver)  作者: 鶯花
始まりの日
9/32

8: (※注意!!)

注意:最初のほうにヒロインの無理矢理な表現(ヒーロー以外で)があります。不快に思われる方は冒頭部分を華麗にスルーしてください。

何だろう…何かわからないけど…気持ち悪い。

抵抗しても、首だけしか動かない。


“目の前の男”、義父(・・)によって、身動きは制限されていた。


ねっとりと絡み付く視線。


怖い怖い怖い怖い怖いコワイコワイコワイコワイコワイ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ。






+++






「いやあああああぁぁぁぁ!!!!!」


ベットから起きあがる。全身には汗がびっしょりとかいていた。


「はぁっ…はぁっ………夢か…」


悪夢、夢だと分かり、ホッとした。本当に、まだ(・・)あったとしたら、ゾッとする。


「ここは…」


そこは見覚えのない景色(・・・・・・・・・)だった。随分広い。


いつもならこの時間、私が最も嫌なことをされる時間なんだけど…


「ここは新しい朱莉の部屋だ」


「!!!」


そこにいたのは義父(・・)


「来ないで!…近づかないで!!」


そこにあった枕を投げて、逃げようとする。動悸が酷くて目眩がする。完全にパニック状態だった。


「いやあああああ!」


「落ち着け、朱莉! 俺は常盤宗治(・・・・)じゃない!!」


「えっ…」


恐る恐るゆっくりと彼を見る。すると、彼は義父では無かった。

私が怖いと(・・・・・)思っている(・・・・・)美形(・・)で義父ほどではないにしろ、怖かった。


「貴方…誰?」


「ようやく“俺” を見たか…ベットから降りて来い。全て説明する」


彼は真剣な表情で私を見てきた。

その整った顔が母親(・・)を彷彿とさせて…怖くなった。




「つまり…私は貴方たちに保護されたんですね…」


「そういうことだ」


目の前の彼、つまり皇城溯夜様から話を聞きました。

私に嫌なことを繰り返す義父から彼は私を守ってくれたらしい。助かったことに、安堵した。


「えっと…まずは御礼を。助けて頂いてありがとうございます」


「ああ、それなら気にすることは無い。学園長の叔父さんも了承の上だしな」


「そうですか…」


一刻、無言の間が続いた。

その間に私は出された緑茶を飲み終えてしまった。


「おかわりはいるか?」


「はい。お願いします」


彼は優雅な姿で茶を注がれました。


目の前にいる御方は何かオーラ、覇気というもの(?)が違うと思う。

人を無理矢理にでも従わせられるような感じ…かな? 庶民派の私にとって、そんな雲の上に存在するような人と2人っきりというのは…緊張して、ガチガチになってしまう。


出された緑茶を受け取って、それを飲む。正直言って…緊張と恐怖で味なんかわからない。ただ飲むだけ。


「朱莉」


「はい…」


「俺が怖くないのか?」


それは、私のことを全て知っているゆえの問い。

母親のせいで私はお金持ちも、美形も怖くなってしまった。怖くっていうか苦手になったというべきかな。


「皇城様は私を陥れるつもりでこんなことをしたのではないでしょう?」


それは、断言出来る。こんな厄介者な私を招き入れるなんて…深い温情が無い限り無理だと思うから。


彼は…私の父方のお祖父ちゃん、お祖母ちゃんに真相を聞いたと仰った。

お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが信頼して良い人物なら、私も信頼して良いだろう。例えそれが私が恐怖心を抱く人種であっても。


「ああ、もちろんだ」


「本当はまだ怖いんですけど…厚情・・に溢れた人は好きですから」


とは言っても、緊張に震えるのはどうしようも無いと思う。未だに足がガタガタ震えているもの。


「フッ。それは…告白だと捉えても良いのか?」


彼は皮肉目いた笑みをしていらっしゃった。


「まだ初めて会って一日しか経っていないのに…それは無いですよ」


「あるかもしれないぞ。俺は朱莉に一目惚れをしたんだからな」


それは無い…断じてない!! 私はそう言い張ることが出来る。


何でかというと…うーん…こんな畏れ多い人が…というものもあるし…私自身、自分のことは全く魅力がないと思うから。


姫香と私とは月とスッポンくらい可愛らしさが違うと思う。


「とにかく、ここにいる限り皇城家が全力で朱莉を守ってあげられるから…ここから出るな。良いか?」


「わかりました」


私は皇城様の言葉に頷いた。今のところ、それしか方法がないよね。




「あと…」


皇城様が詰め寄って来られた。全身が震えてしまう。そのことに彼は気づいていないだろう…多分。


「ここには叔父がいるからな。ダブるから俺のことは名前で呼べ」


なんて強引だろう。名前を呼ばれることなんて皇城様ならたくさんありそうなはずなのに…


「…溯夜様で良いですか?」


呼び捨てで呼ぶのも躊躇われたから、私は彼のことをそう呼ぶことにした。


「ああ。それで良い」


その後、私たちは話をたくさんした。


「学園に近づいてきたら…怖くなってきて…自分の中に閉じこもるかもしれません…」


学園の中は、お金持ちの御曹司やお嬢様がいっぱいいるから…恐怖を感じてしまって、もう一人の私に全て任せて閉じこもってしまうだろう。


「そうか…行かなくても良いんだぞ?」


「いいえ、行きます」


話を聞く限り、溯夜様に詰め寄ることが多いという異父妹いもうとを始め、たくさんの人々が私に詰め寄って尋問するかもしれない。

でも、瑞貴様とダンスの練習を約束したのであらば…行かないといけないだろう。気が重い。


「そうか…」


朝日が昇っている。もう朝だ。随分と話し込んでいたんだなーと思ったりする。

そのおかげでもう一人の私が普段学園でどうしているのか知ることが出来た。


「溯夜様」


「何だ?」


「あまり寝ていないのでは?」


「俺は授業を受けるために通っているわけではないからな」


「じゃあ…何で…」




「学園に通っていたのは…お前に出逢うためだった」




彼は嘘偽りの宿さない瞳で見つめて来られた。その迫力に、呑まれてしまう。


「約束しろ。家に帰ったときは、こちら側に戻ってくると。いつまでも過去に縋り付いていたら、進めないぞ…朱莉の父親もそれは望んでいないはずだ」


「出来る限りは…頑張ります」


すぐに戻ってこれるわけではない。ただ、私が望んだらそれは可能なのかもしれない。


ただ…自分の中に閉じこもるときはわかる。怖くなって…極限状況になった後、母親の幻聴が聞こえるのだ。





皆を虜にする美貌。そして美しい…母親の声が。

これでもだいぶ表現削りましたが、ダメな人はダメですよね。ごめんなさい。




もやっとあかりん(仮称)

本来の人格であるスッキリあかりんの心を守るために出来た人格。

現実逃避をしながら毎日を過ごしている。特撮好き。自己中心的。


スッキリあかりん(仮称)

こちらが本来の人格。

対人恐怖症。特に美形とお金持ちが怖い。何事も自分のせいだと思いやすく、他人の意見を優先する傾向がある。

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