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この話、視点がコロコロ変わります。

修斗 → もやっとあかりん →修斗 です。

放課後。


「修斗、朱莉ちゃんを迎えに行って来て」


「分かった」


常盤ちゃんを迎えに行かせることによって、朧は俺に謝らせる機会を与えてくれたのだ。朧には感謝してもしきれない。




以前、常盤ちゃんがいじめられた事件を受けて、なるべく俺たちが側にいてあげようと心がけている。

そうでなくても溯夜が常盤ちゃんの側に居たがるから、当然ながら俺たちも側にいることになる場合が多くなるけど。

溯夜がいない場合は…俺か馨か朧がついてやってる。そうしないとあの娘、結構フラフラしてることが多いからな。

何考えているのか…本当に分からないぜ。




今回は俺が朱莉ちゃんのところに行って、食堂の件を謝らないといけない。あとは、ホールでのダンスの練習か。


そういえば溯夜、朱莉ちゃんとダンス踊るの楽しみにしてたんだよな。最近、終始御機嫌で、俺に突然無茶ぶりを言い出したり、こき使われることも減った。

そんなこと滅多にないから、溯夜の前で何を言っても許されるような気がしたのか? 俺は。


考えてる暇なんて、無かった。クヨクヨと引きずるなら、後で天使の真矢に相談でもすればいいことだし。

とにかく今は、常盤ちゃんに会うのが先だな。






+++






「えっ? あ、あぁ、そうなの?………って、えええええっ!!!」


姫香ちゃんの反応は見ていて素晴らしかった。


「何でそうなったわけよ!! 教えなさい!!!」


姫香ちゃんは突然目の前にやってきて、胸ぐらを掴んだ。


「ぐふっ……姫香ちゃん、そんな風にしてたら、話せないよ~」


胸が若干苦しくなったけど、私の言葉で離してくれた。


妹は優しい娘なんだよ。でも、私とは馬が合わないだけ。その認識は “もう一人の私” だって、持っている…はず。うーむ。何とも言えん。


「えーっとねぇ、溯夜さんに厚意を返そうかなぁ…って」


「つまり…溯夜様への恩返しってこと?」


「そう。住まわせてもらっている御礼に」


と言ったら、姫香ちゃんが自分の世界に入って一人で考え出した。

一人で考えるのって、楽しいよねぇ~私の場合だと、特撮のあんなことやこんなことを…


「異父姉さん」


「なあに?」


「ダンスの件、私に代わって下さらないかしら? だって、溯夜様に恩返しをするなら私にも出来るでしょう?」




ーーつまり、姫香ちゃんが皇城家に私を住まわせてくれている御礼を、代わりにしてくれるってことだよね…?




うーん………そう考えてみたら…その通りだね。何かそっちの方がいいような気がしてきた。


だって、こんなに一生懸命頑張ったって、所詮付け焼刃。場を踏んでいる回数が多くて、慣れている姫香ちゃんに任せたほうがいいかもしれない。私の場合、溯夜さんの脚を踏んでしまう可能性があるし…そうなったら、さすがにヤバいことくらい…分かる。


なーんかやる気が出てたんだけど…こう考えると急速にやる気を無くしてくる。こーんなことやっている暇があるなら、特撮のDVDを見ているほうが楽しいや。

お姫様願望はないわけじゃあないけど…それよりも私にとっては特撮のほうが大事だし。


何でやる気が出てたんだっけ? もしかして… “もう一人の私” が関わっているのかしら?

でも、 “私” じゃあそんなこと分からないし、もうどうでもいいや。姫香ちゃんに全部任せちゃおう。




「姫香ちゃん、私の代わりに溯夜さんとダンス踊ってイイよ」


「異父姉さんにしては賢明な判断だわぁ!!」


明らかに喜びを隠せないような表情をする姫香ちゃん。

飛び上がるほどに喜んでいる。


「でも、溯夜さんに許可取ってねぇ~。んじゃ、私用がなくなったから…帰るわ」


そういえば、今日バイトの日だったっけ? 護に伝えようと思ってたこと、もう無くなってしまったな。姫香ちゃんに代わってもらったし。

溯夜さんだって、容姿も可愛くてプリティーな姫香ちゃんと踊るほうがイイに決まってるはず。


「異父姉さん。ありがとう!! 大好きよ!!」


こんなに感謝されるのも…私のおぼろげな記憶の中では始めてだな。

妹が満面の笑みを浮かべて、こんな言葉を言ったのだから、この判断は正しかったんだ。

そう…思いたい。




正直なところ、後ろ髪を引かれる気持ちが…ほんの少しは残っている。

でも、もう…どうでもいいや。考えるのも全て億劫になってくる。

楽しいことを考えているほうが、人生は楽しいはずだ。






+++






「どこだ?」


おかしい。普通に考えたら、ここら辺で合流するはずだ。常盤ちゃんが向かっていさえすれば。

まさか…約束を忘れたってことはないよな?


そう思いながら歩いていたら、見慣れた顔が見えてきた。常盤姫香だ。相当浮ついている。


「常盤さん」


「あっ、暁様! こんにちは!!」


イントネーションからしても、相当浮ついていることが分かる。なーんか嫌な予感がするんだが…気のせいか? 気のせいであって欲しい。


「君のお姉さんはどこにいるか分かる?」


「先ほど別れましたけど、今頃帰宅の途についているはずです」


彼女は嫌な顔一切せずに答えてくれた。おかしいな。彼女、姉のことが嫌いじゃなかったっけ?

そんなことよりも、常盤ちゃんを捕まえるほうが先か。


「ありがとう。教えてくれて」


何で帰宅の途についてるんだよあの娘は! 溯夜が来るっていうのに…

例え行きたくないとか言ったとしても、力ずくでホールまで連れて行くぞ!


俺は常盤ちゃんを探すために、常盤姫香に礼を言って駆け出した。




常盤姫香が先ほど別れたって言ってたな。

先ほどっていうことなら、校内にいる時に捕まえられるかもしれない。急がないと、外に出てしまう。

そんなことになったって、皇城家のボディーガードがついて行くと思うが…そうなった場合、連れ戻すのに時間がかかってしまう。




溯夜があんなに貴重な時間を割いてまで来てくれるっていうのに…あの娘は何を考えてやがる!!






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