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29:side姫香

この話は姫香視点で朱莉への悪口が繰り返されています。イライラしてくる方もいらっしゃるかもしれません。


上記気になる方は回避して下さい。

この話は読み飛ばしていただいても、次回の話にはあまり影響がありません。

「何ですって!?」


同志がもたらした情報に、私は驚愕した。

あの異父姉が(・・・・・・)生徒会執行部のメンバーと昼食を食堂で食べたらしい。


生徒会執行部の皆様方と一緒に御食事したい。というのは私たち皇城溯夜様ファンクラブに入っているものたち、いや全生徒なら誰でも夢に描く事柄だ。

あの異父姉あねはその意味を完全に理解しているのかしら? いや、いつものごとくすぐに忘れるに違いない。


あの異父姉はいつもそうやって大事なことをすぐに忘れる。私達常盤家にとっては汚点でしかない。

とっとと何処かへ消えてしまえばいいのに。


「それで、どんな様子だったの!?」


あの異父姉は食事のマナーさえ出来ていなかったような…異父姉は今まで空気みたいな存在だった。それで良かったものを。

溯夜様の御厚意が無ければ、噂されるようなことも無かったのに…どうしてこうなったのかしら?


「それが…途中で口論になったようで……」


「口論?」


やっぱりか。また異父姉がやらかしたからに決まってる。あれでも一応常盤家の一員なのだ。失態は妹の私にも響くことを、あの異父姉はわかっていないに違いない。だから、あんな無作法な真似が出来るのだ。


「どうせ、異父姉(ねえ)さんがやらかしたに決まっているわ。あの人はどうしようも無い “人間の屑” ですもの」


一応、異父姉ということになっているが、正式的なものなんかじゃない。あちらは私生児だ。

しかも、望まれて産まれてきた子供では、無い。




私が産まれる前にお母様はあの男、志間昇という男に…強姦されたらしい。それによって産まれた子供が、常盤朱莉、つまり私の異父姉にあたる人間だ。


私のお父様、常盤宗治はその強姦魔と親しい間柄だったらしい。だからお父様は酷く傷ついたそうなの。でもお父様はものすごく寛容な御心を持って、その強姦魔を許してあげた。

その償いとして、強姦魔は自分の娘となる異父姉を育てることを決めたらしい。


その後私が産まれて、一応は穏やかな暮らしが戻ってきたの。私は優しいお母様やお父様のことが大好きで、色々と構ってもらおうと必死になっていた。でも、お二人とも忙しいから中々構ってくれない。そんな日々だった。


色々と変わったのは、あの強姦魔が罪を受けて死んだときね。そして、身寄りのなくなった異父姉がこちらにやって来た。

これは結構最近のことなの。異父姉は私の存在を知らなかったようで、すごく驚いてたけど。


最初の方は、私も異父姉と仲良くしようと努力したわ。でも、異父姉は私が話しかけても返事すらしない。更には、私が話しかけたことすら忘れる始末。

何の反応もよこさない異父姉にたいして、段々と鬱憤が溜まっていったわ。


あと異父姉が来てから、お父様が段々と “おかしくなって” いった。そんなことも重なって、私は異父姉のことを邪険に扱うことになった。


もちろん、異父姉がお父様を “おかしくした” なんていう確証なんて、どこにもない。

でも…異父姉がやって来たのとお父様が “おかしくなった” 時期が重なる以上、原因の一つにはなっているはず。

誰からも望まれて産まれた存在じゃないもの。そういう風に人に不幸を撒き散らすような人間なんだわ。


あー、本当なんで異父姉は常盤家にやってきたのかしら。やって来なければ、私達家族は平穏に暮らせていたというのに。




とにかくよ。そんな異父姉でも私と溯夜様を繋ぐ仲介役になってくれているわ。近日、異父姉に会うという建前を持って、皇城家へと御邪魔させて頂こうと思っているの。

今日中に、溯夜様にその許可を頂かないと。お母様も、結構乗り気だったわ。


さすがに溯夜様も断りはしないはず。妹が来るんですもの。断りを入れる方がおかしいわ。


こう考えたら、お母様の言うとおり、異父姉は皇城家に住まわせていたほうが良いのかもしれないわね。家に居たって、邪魔者でしかないもの。それなら、役立つところにいた方が良いに決まっているわ。


万が一にも、私が危惧している恋愛関係になんか、なりっこないわね。

あの愚鈍で何を考えているかわからない、平凡な顔立ちの庶民風情な異父姉に溯夜様は御厚意を抱くことは御有りになっても、御好意を抱くことなんて…有り得ないことだわ。

御厚意を受けて皇城家に住まわせてもらっているだけで、異父姉は全ての幸運を使い果たしたのよ。




同志はすごく不安そうな顔を私に向けている。それを見て私は人を安心させるような笑みを彼女たちに向けた。


「とりあえず、異父姉への怒りを表立った行動にぶつけてはダメよ。また、懲罰が与えられてしまうもの」


「だったら…どうすれば………」


今回の件は、他の皆も異父姉に対して苛立ちを隠せないでいるらしい。

今までもあんまり良い顔をしていなかったけど、今回の件でさらに助長させた形になったわね。

でも、そのことを本人にぶつけると、前回の二の舞になってしまう。自分の中で行き場のない気持ちをどこにぶつければ良いのか。戸惑っているはず。


まあ、皆の崇拝者である生徒会執行部の皆様とおごがましくも御食事などした罰よ。やっぱりあの異父姉は皆を苛立たせることしか出来ないみたいね。

この出来事で、異父姉は全生徒を敵に回したも同然よ。執行部の見えないところで嫌がらせが始まるでしょうね。いい気味だわ。


「大丈夫。私が異父姉ねえさんにきちんと言ってあげるわ。そうしたら、私たちを不安にさせるような行為はしなくなるはずよ」


まあ、そんなことを言っても、聞くかどうかは分からないけれども…言ってみないことには始まらないから。

異父姉のところに行けば、溯夜様と会う可能性もぐんと高まることだし。

溯夜様に用件をお伝えするためにも、今日異父姉に会って注意しておきましょう。






(※補足)

ややこしいですが、過去の話はあくまで “姫香が思っていること” なので、事実とは違うことがあります。

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