2
朱莉? →修斗 視点。
一話と同じく文字数、いつもより多め。
んー。フワフワしてるなー。
寝返りを打ってみる。
…あれ?そういえば私、何をしてたっけ?
「あああっーーー!!」
私は奇声を発しながら、飛び起きた。そうすると、ブラックホールへと呑み込まれた原因となった人がそこにいた。
「朱莉、大丈夫か?」
何で私の名前を知っているんですか!? 生徒会長!?
「あのー、ここはどこなんですか?」
なんだここ…汚したらもったいなくなるような光景。えーと普通のホテルより高級でしょ、ここ。物が違うと、そこまで部屋の雰囲気が変わるものなのか?と言いたいくらいに。
私が今いるところはベッド…のようだ。フカフカしてて気持ちいい。
「ここは俺の部屋だ」
今…何と言った、会長の御部屋ぁー!?
ということは、今私の下にあるこのフカフカのベッドは目の前の人の物か。
えっ、ちょっと、頭が痛くなりそうなんですけど、どうすれば!?
「落ち着け」
そんな考えは会長の一言で霧散した。
「立てるか?」
ちょっと待って下さいよ。会長がエスコート!?そんなのあり得ないって!!
「い、いえ、自分で立てますから!!」
ベッドから自分で降りた。下に引かれているカーペットも柔らかかった。このカーペットのフカフカも良いなー。
「来い」
拒否権も与えることなく、皇城様は私と手を繋いできた。
+++
「あー!! 来たか!! 溯夜!!」
廊下を出て少し進んだ先の扉を開く。ん? 客間かな。そこにいらっしゃったのは…生徒会執行部の皆様だった。
「で、君が朱莉ちゃ…って、そんなに睨むなよお 、溯夜!」
「お前に朱莉の名前を呼ばせる権利は無い」
「まぁ、初対面の女の子にいきなりちゃんずけで呼ぶのもなあ…こんにちは、常盤さん。僕たちが誰だか分かるよね」
「も、もちろんです!!」
というか、分からない人はいないだろうというぐらい、彼らは有名人だからだ。
最初に皇城様に話しかけてきた人が暁修斗様。
次に私に話しかけてこられたのが葛ノ葉馨様。
そして上質な椅子にお座りになり、私たちの様子を笑みを浮かべながら観察しているのが瑞貴朧様。
3人とも私にとっては雲の上の人である。
「色々と混乱しているだろうけど、話は座ってからにしよう」
「あ…はい」
葛ノ葉様の話を聞いて、私は椅子に座ろうとしたのだが…
ーーあれ?
何で会長の膝の上に私が座っているの?
しかも何だろうか…後ろから腕が身体に巻きついている。
「えっと…これはどういうことなんですか?」
これというのは今、私が陥っている状況のこと。
「あら?まだ話してなかったの?溯夜。修斗、馨。一度2人っきりにさせてあげましょう?溯夜もそれで良いでしょう?」
「ああ」
いやーーー!! 余計なことを口にするんじゃなかったーーー!!
この状況よりも、会長と2人っきりになる方がもっと嫌だーーー!!
皆様カムバックーーー!!
っていうのを内心で叫びながらも行ってしまう。こんなにも無力だよ私。
…
……
………気分はあれですよ、あれ。
戦隊物でいうならば、ラスボスにボコボコにやられて絶体絶命の状況と酷似していますよ!!
つまり、死亡フラグしか経っていない…
何をやっても死んでしまうような状態ですよぉ!!
何時の間にかクルッと半回転させられて会長の腕の中に私が入っていた。
「朱莉」
「はい…?」
ビビってイントネーションが変になってしまったが、許して頂きたい。
「好きだ」
は?
真正面から何か言われた。
「えっと…どういうことですか?」
会長は考えるような仕草をしたあと(美形は何をやっても様になるよね!)、私に爆弾を投下してきた。
「朱莉は昼休み、誰もいない場所で特撮のポーズを決めるのが好きだよな?」
ぎゃああああぁぁぁぁ!!!!! 私の最大の楽しみがあああああぁぁぁぁぁ!!!!!
「俺はそれをたまたま発見してな。朱莉の生き生きとした表情に一目惚れをした。それからというもの、俺は毎日あそこに来るようになったよ」
ということは…
「私が話していた内容も…」
「ああ、全て覚えているよ」
そんなぁ…人から見たら変だと思われる趣味をバラされて、私の人生終わったも同然じゃないのぉ…
どんどんと叩きたいけど叩くところがない。なんか知らないけどきっちりと溯夜様がガードしていらっしゃるから。ちょっとやめてくださいセクハラじゃないんですか。なんか流れに流されそうになってるけど。えっと、さっき何言われたんだっけ?
そんなことを考えていると、会長が話しかけてきた。
「続き」
「へ?」
「昼休みの続きを聞かせてくれ」
ああ、それなら…まあ、いいでしょう。私の特撮弾丸トークについて来れるというなら。
+++
「遅いな…」
あれから一時間以上は経過した。しかし、扉が開く様子は無い。
「まぁ、気長に待ちましょうよ。溯夜と朱莉ちゃんとの仲が話し合いで深まっているなら、いくらでも待てるわ」
「そうだよな。あの溯夜が一目惚れしたっていうからな。あの時は驚いたよな」
溯夜は根端が見え見えの女性が嫌いだ。とはいっても、周りには女性の群れがいつも出来ていた。
そのことにイライラし始めた溯夜は最近1人になれる場所を探し始めた。そして…彼女と出会った(らしい)。
「にしても、あの独占欲は何だろうね?」
馨が言ってた通りだ。彼女を膝の上に乗せて、しかも俺たちを威嚇してきた。
「ん~、私は逆にそんな状況になっても、大人しくしていた朱莉ちゃんの方が気になるけどなぁ~」
「確かに、そうだな」
そう言われてみればそうだ。異性の膝の上って…彼女はそんなことも考えないのか?
「溯夜は全部押さえているからね。親代わりの許可さえも。今日からここが彼女の家になっていることすらも知らないのだろうな、ちゃんと話し合いができてるといいけど」
馨の言うとおり、溯夜は彼女に一目惚れしてから、彼女のことを調べ尽くした。そして、気づいたときには出られない、完璧な檻をもう作り上げている。
気がついたとき、彼女はどうするか。それが気になるため俺たち3人はここに来ているのである。
ノックの音と扉が開いた。
「済みません。私が…話し過ぎてしまって。あはは」
とりあえず最初の接触はよくいったみたいだな。よかったな、溯夜。これからだぞ。
ちょっとノリがきついですね。朱莉ちゃん、訳ありです。もうちょっとしたら落ち着きます。
改稿していたら文字数多くなって分割することになりました。
続きは近日中にあげます。
4話からは不定期投稿に変わります。