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御曹司の興味物(なろうver)  作者: 鶯花
閑話Ⅰ:内情と外情
23/32

22:side馨

だいぶ表現削っているか、変えています。

「ああ、今日は楽しかったわ!! そう思わない?馨」


「…そうだね」


朧は寝間着のまま、僕に迫ってくる。婚約者だから出来ることだろう。


今日、朧はここ葛ノ葉家に泊まることになっていた。彼女は瑞貴家と葛ノ葉家を往復しているが、最近はこちらに泊まることの方が増えた。

そのことに関して、両家の両親は咎めはせず、むしろ好意的に二人きりにさせようとする。困ったものだ。


「どうしたのよ? 馨…素っ気無いわね?」


「朧…何だその格好は? 異性に対して見せるものでは無いだろう?」


寝間着…とはいったものの、身体のラインが視認できる下着姿。やめてほしい。


「あら、良いじゃないの? 馨は “婚約者” だもの。近い将来、私の身体を貪ることになる相手にこ~んな姿を見せても何ら問題がないでしょ? 何なら今でも…」


「そんなことするわけがないだろう? 大体、淑女で通っている君がそんな言葉を使うんじゃない」


婚約者とは言っても両家の利益が絡んだ政略結婚だった。小さいころから決められていたせいか、別に抵抗感は無い。

現に朧とは婚約者ということで、溯夜や修斗ほどではないものの、会う機会も多かった。人並みに恋愛感情も持っていると思う。


しかし、このことに関しては致しかねる。けじめを持って結婚後に肉体関係を持つと両家の両親に宣言している手前、彼女に手を出すわけにはいかない。だが、何故かしら、朧は淑女らしからぬ行動を持って誘惑してくるのだ。


大体、婚約者とはいえ、未婚の男のもとに転がり込んでくるのは、いかがなるものだろうか? しかも、それを了承している両家の両親もそうだ。瑞貴家はともかく、うちの両親は “あの” 皇城家に感化されているのではないだろうか? と疑いたくなる。最近のコウジョウは相手を溺愛することで知られているからな。


「え~、良いじゃないの?ちょっとくらい…」


「駄目だ」


「…吝嗇(りんしょく)な人」


朧の文句は聞こえないことにした。


「何やってるのよ?」


「常盤朱莉さんに関して、今分かるだけの情報の整理」


「なるほどね~。葛ノ葉家って大変だわ~。暁家も大変だとは思うけど…」


暁家、葛ノ葉家は古くから皇城家に仕えてきた。

暁家は皇城家の盾つまりボディーガードをして、自らが犠牲になってでも皇城家を護る使命がある。そのため、修斗はあらゆる武道訓練を行っている。溯夜を護るために。

対する僕ら葛ノ葉家は情報収集を行い、危機を未然に回避する使命がある。皇城家に接触する人物に対しては全て情報を網羅し、害意のあるものか判断しなければならない。ここで重要なのは皇城家に近づいてくる人物だけではなく、皇城家が近づく人物も調べないといけないこと。今回のような、常盤朱莉についても例外では無い。素性、遍歴、過去…といった彼女のことを調べて、知る義務が僕にはあるのだ。


「でも、今回に関してはあまり調べなくても良いんじゃないの? だって、あんなに良い子なんですもの。溯夜に危害なんて与える可能性は、万に一つもないわ」


「そうは思うけどね。過去については大体分かっているし…だけど、今日のことで気になる点があってさ」


「ああ、成る程。今日会った、朱莉ちゃんが “第二のお父さん” って言ってた城野護さんのことかしら」


その問いに僕は頷いた。


「いや、僕ですらも冷や汗をかくところだったよ」


「確かに、あの悪意は尋常じゃないわね」


城野護は僕達の話を “熱心に” 聞いていた。だが、彼は好意的な方の熱心ではないのだ。表面上は好意的ではあったものの、時折話しかける言葉や態度において、毒を仕込ませていた。

つまり僕たちの話を “熱心に” 聞いて、言葉や、その態度を持ってして貶していたのだ。


ああいうのはたちが悪く、悪意を尋常なほどに含む場合が多い。ストレートに言ってくる人の方が、悪意は少ないのだ。


「溯夜は黙っていたけど、彼がこういう行為をするって分かっていたんだろうね」


まず、城野護は溯夜とあまり視線を合わそうとしなかった。合わそうとしたのは、常盤さんの幼馴染と会ったときのことを話しているときだけ。

つまり、溯夜の心情を理解した上での嫌がらせの意味合いを込めていた、という可能性がある。


溯夜の心情を理解した上での行動。ということは、城野護はほぼ間違いなく前から溯夜と接触しているということだ。それが、溯夜からなのか、彼からなのかは分からないが…


「というと、彼のことも調べるの?」


「まあ、そうなるね」


溯夜に関わっている以上、調べなければならない。

これが、僕の責務だから。




「ね~ぇ、今の時点で答えの出ない問題は一旦置いといて…キスしてくれない?」


朧が僕に抱きついて来た。


「………わかったよ」


ここまで誘惑しておいて、さすがに引き下がりはしない。

チラチラと表面化しそうな感情を無視して、ひたすらに口づけに没頭する。


「ねぇ、もっと…」


これ以上やると、多分戻れなくなる。それを危惧した僕は、要求と反対の行動を取った。


「これ以上は、ダメだ」


「エー」


「もう寝るよ。朧も部屋に…って」


そういえば外に出れない状態にあったな。でも、待てよ。


「朧…その服装で、どうやって来た」


「普通に」


あー、ダメだ。学園の皆から美の化身とまで言われ、その絶世の美貌を羨まれる淑女、瑞貴朧が呆れる。


「で、でもね」


「ん?」


「こんな姿は誰にも見せてないわ…見せるのは……か、馨だけだもの」


そんな彼女にも、羞恥心があったのか。柘榴ざくろの実のように真っ赤な顔になって。本当に…


「かわいいよ。朧」


「ほ、本当!! う、嬉しいわ!!」


折角僕が抑えているというのに、必死で箍を外そうとする朧。そんなことしていたら、後悔することになるって…分からないみたいだね。

可愛くて、可愛くて…早く喰べたくなるじゃないか? やらないけどさ。


「可愛いかーわいい朧に免じて、もう一回キスしてあげよう」


近い将来結婚したら、今までの可愛らしい行いは何倍にしてお返しさせてもらうよ。

その時が楽しみだな。






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