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御曹司の興味物(なろうver)  作者: 鶯花
始まりの日
2/32

1

最初だから少し長め。

仮で投稿しています。ちょっと後で編集するかもしれませんが、流れは変わりません。

私立皇城学園高校。そこは御曹司やお嬢様が通うリッチな学校である。

私は図々しくもそこに通う常盤朱莉(ときわあかり)というものです。

どうぞよろしく。






+++






今はお昼。自分お手製の弁当をのんびりと食べようと思っていたのに、彼ら(・・)が通ったことでそれは台無しになった。


「キャーキャー!!」


さっきも言っていたけど、ここはどこぞの御曹司やお嬢様が通う学校。だからどうしてもというか、家柄に準じた階級というのが存在する。


その中でも最上級の階級に属しているのが、生徒会執行部だ。


生徒会役員に入れるだけで、この学校の中でも"エリート"ということが分かるが、生徒会を取り締まっている生徒会執行部はこの学園でもトップクラスのエリート集団だ。

そのトップクラスのエリート集団が私の近くを通っていた。歓声がうるさい。


今現在、生徒会執行部は4人だ。

会長1人に他3人が副会長で会計、書記、庶務を兼務している。ちょっと珍しいかもしれないね。

文句なしの美形に最上級の家柄。モテない訳がない。


彼らは大概一緒に行動しているが、通っているのは会長を除いた3人だけだ。彼らは皆から高嶺の花として尊敬されている。


(いや来たの先月くらい、だったっけか。なぜこのような状況になってるんだろう)


要はカリスマと顔と家柄なんだろう。ハイスペックな人は大変だ、大変。


それに対して私には妹がいるけれども、彼女は皆から愛されている。しかし私は大抵1人。学校では空気のような存在である。

常盤家はそこそこの名家だけれども、父親と母親は妹を溺愛していて、私を空気扱いにしている。そんな私が彼らに近づけるはずも無いのだ。

こんな生活で私は満足している。






+++






皇城学園高校の昼休みは長い。その間に私はやりたいことがあった。


皆が私に対して空気ということは、誰からも興味を持たれていないということ。

それがどれほど嬉しいことか、誰にもわからないだろう。


「誰もいない、誰もいない…」


近くに誰もいないことを確認する。

この学園の一番いいところは面積が広いところだ。私はそう思っている。

そして、手を前に突き出しポーズを取る。



「変、身!!」



今、私が変身ポーズを取ったのは戦隊ものの変身。そう、私はいわゆる特撮オタクなのだ!!


「あ~今日も上手く出来た~!! 最高!!」


私は一日に一回、この変身ポーズを取らないと何かと落ち着かなくなる。このきまった瞬間が特撮オタクとして最高だと思える刻だ。


「本当、何で皆特撮を"子供っぽい"とか言って罵倒するのかな?私には理解出来ないよ!!」


1人興奮して話しかけるのは、木だ。そんな愚痴を話しかける相手もいない、というか馬鹿にされる。

それを十分分かっていたから、私は木に愚痴をこぼすのを日課にしていた。


「昨日の分はね、子供が攫われる話だったんだ」


内容を話す。もちろん木に。返事は来ないけど、話したかった。


「…そしたらね、怪人が襲いかかってきたから、イエローとブルーがね…」


戦闘シーンは実演する。勉強は全然出来ないけど、運動神経だけはいいのだ。

普通、お嬢様はこんなことしないけど、私には関係ないのだ!! 私は空気だし。


「…最後にレッドがね、必殺技を…」


予鈴の鐘が鳴った。


「あー、続きは明日だね。聞いてくれて有り難う」


感謝の意を述べるのはもちろん木に対してだ。


楽しい時間は瞬く間に過ぎていく。他の人から見たら変人と思われる行為でも、私にとっては勉強なんかよりも楽しかった。


「急がないと!!」


教室に戻る。走ることは得意だから、授業が始まる前に辿り着くことが出来るのだ。




ーー木の影に人が隠れていて一部始終を見ていたことを、そのときの私は知らなかった。






+++






特撮オタクの私は授業中でも、特撮のことを考えている。だって勉強なんて、何の得になったことがないんだもの。人生ふわふわとしてた方がきっと楽しい。今は楽しく過ごすことだけを考えている。

そうやってしていると、午後の授業は終わった。


「今週のダンスパーティー、どの御方をパートナーに選びます?」


「どの御方にしようかしら?」


「そういえば皇城様の御相手、まだ決まっていないそうですわよ」


「それは本当ですの?」


教室の女子がそんなことを話しているのを聞き、そういえばそんなことがあったなと思い出す。

この学園は一ヶ月に一回はパーティーがある。その時にはドレスを着て、パートナーを選ばないといけない。えっと一応授業の一環でマナー講座、とかいうやつだったかな。


ちなみに私は持ち前の空気扱いを生かして、いつも欠席している。理由は…踊れないからだ。


実は私は再婚した母親の連れ子なのだ。妹は実際は異父妹。なので、私は庶民派。

本物のドレスなんて着たことがないし(かわいい服なら着たことはあるけど)、ダンスも何一つ分からない。誰も所作なんて教えてくれなかったのだ。


うーん、今週は休みが出来てしまったなー。

おもちゃ売り場をウロウロするか、それとも家で変身ベルトを巻いて変身ポーズを取るか、フィギュアの手入れか。どうしようかな~

そんなことを考えていたら、事件が起こった。




「皇城様よ!!」


女性の歓声が急に凄まじくなった。さすがに珍しい大物がやってきたので、私もチラリとみる。


えっと、皇城溯夜(こうじょうさくや)様というのは、この学園の生徒会長であらせられる方で、学園長の甥にあたる人。頭脳明晰、眉目秀麗、運動神経抜群の超が何個も付くチートキャラクター。

それに家柄は世界でもトップクラスを誇っている、この学園でトップに君臨している御方です。なんかおかしいよね、世の中って。


「朱莉?」


っていうか、実際にそんな人現実世界に存在するんだねーと最初思った。彼は見る人を惹きつける。

そんな怪人いたよなーそういえば…


「あかり?」


あれ?

今度は幻聴かー

耳を聞こえなくする怪人っていたっけ?


「あーかーり?」


おかしい…おかしいぞ。幻聴が三度も聞こえた。この声でさえ、人々を魅了する御方って誰だっけ?




意識を現実に戻してみると、椅子に座っている私に対して、後ろから巻きついている手。

恐る恐る手から腕、肩そして顔を見ると、絶世の美貌の会長がいた。


そこで私の意識はブラックホールへ呑み込まれた。卒倒した。






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