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アワーブライト-HourBright-  作者: うぞぞ
第2部
229/399

229.

「これは……シリンダー?」


アクトがドラゴンヴァレーから渡されたシリンダーを見つめる。

シリンダーには限りなく透明でありながら、光の角度によってはうっすらと水色に見える液体が入っている。


それから眼前に見える黒帝竜を見据える。

コラプサーという脅威が去ったが、白銀のドラゴン(セイファート)であった黒帝竜(黒いドラゴン)が地上に降り立つ。


動向を見守る中、黒帝竜に近い位置にいるミシェとゼノディアの会話が耳に入る。

2人共酷く動揺しているが武器を構え臨戦態勢は崩さない辺り、修羅場をいくつも潜り抜けた強者というところだろうか。


「どうするの、戦うの?」

「馬鹿言うな、あれはセイヴァーだぞ?!」

「そんなの、あたしだって分かってるわよ! でも黒帝竜相手にそんなこと言ってる余裕……」


黒帝竜。

少しでも攻撃を掠ったら致命傷は覚悟しなければいけない、その場のものを破壊し尽くす暴竜。


今までの旅路で、何度も対峙してきたアクトたちはそれを重々承知している。

例え、目の前の黒帝竜が見知ったドラゴン(セイファート)であったとしても、それだけで対応を変えれるほど甘い相手ではない。


『ギャオォオオ!!』


黒帝竜の咆哮が響き渡る。

攻撃を行ってこないのは、セイファートとしての意思があるからなのだろうか。

それとも、単なる黒帝竜の気まぐれなのだろうか。


ミシェたちから黒帝竜を挟んで反対側、こちらも黒帝竜に近い位置にあるエルヴィーラが剣を構え目線を黒帝竜から離さないように、隣にいるエリィに語り掛ける。


「……エリィ、そろそろ撤退の判断しないと最悪全滅しますよ」

「いや、ここはアクトに任せよう」

「アクトさんに?」


エリィはポンとエルヴィーラの肩に手を乗せ、後方をちらりと見る。

時間的な猶予は、さして無い。



「長老サマ、このシリンダーは何なんだ?」


再びシリンダーに目を落としたアクトが尋ねる。


『知らぬ。 儂も最悪の事態になったら使えとしか聞いておらぬ』

「おいおい……」


ドラゴンは人間の制作物に疎いのだろうと半ば呆れつつ、渡されたシリンダーを銃に装填する。


『時計屋。 時間はあまり無いが、そのようなもので何とかなるのか?』

「んー……。 オレが想像している通りの代物だとしても、時間稼ぎだぞ?」

『……今は贅沢は言わん』


ゆっくりと、銃の照準を黒帝竜に合わせる。


「ナナ、何かあったら頼むぞ」

「ななー!」


カチリ、と引き金を引く。


同時に、銃から彗星の如く光の尾を引く弾丸が撃ち出され、弾丸は寸分狂わず黒帝竜へと当たる。


リーン……


一瞬、世界が止まるかのような、感覚。

"それ"は次第に収束していき黒帝竜とその周辺だけを、時間から切り取ったかのように停止させた。

ここまで読んで頂いてありがとうございます!


投稿文字数がとうとう300,000字を超えました。

毎話1,100字越えを目安に執筆していますが、それを考えるとかなりの量になってきましたね。


長期休みの度に書き溜め→休み明けに全て消費されている、を繰り返していますが、

今後ともペースは崩さずに頑張っていきたいのでよろしくお願いします。


さて、此方でお話は一旦一区切りとなります。


次のお話が調整中のため更新を1週間お休みして、

次回の更新は再来週の月曜日の5/20(予定)となります!


次は一体どんなお話が待っているのでしょうか。

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