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いのちの詩(仮題)

散文:静寂《せいじゃく》の歌

作者: 浮き雲

典型的な心象詩です。

私自身が、そうなのですが、わりと規則正しく生きていると、遭遇する様々なものは見慣れたものになり、「世界は、こういうものだ」と思ってしまいます。そういった「心の定型化」を防ぐためには、旅をするのも良いでしょうし、普段、活動しない時間に動いてみるというのもお手軽で有効な手段かと思います。

午前三時。星座の配列は全く違っていて、都会は別でしょうが、ここらの街は寝静まり、いのちの営みは、世界の付属品なのだと思えました。



消えてしまった街の明かり


輝きを増していく星々


午前三時の世界


飽くことのないいのちの営みがゼロに近づく


そのひと時が訪れる




電車と遮断機(しゃだんき)の音


単車の排気音、パトカーのサイレン


拡声器の声も犬たちの遠吠えも


別の世界に流れ去るように


すべてが、夜空に消えてしまった




このひと時は伝える


いのちの喧噪(けんそう)永遠(えいえん)ではなく


静寂(せいじゃく)こそが、世界の本質だと教えている


暗い大地に立ち、空を見上げる


いま、月は海を上り、天空へと向かう




星は瞬きの中に、聴こえないリズムを刻む


沈黙する空間にエナジーが(あふ)れ、その気が天上に渦を巻く


目に見えない力は上昇し、また、下降する


そのすべてが一瞬のうちに、穏やかに僕を貫き


聴こえないリズムが、こころを刻みはじめる




いのちの営みのない静けさを思う


同時に、いのちの醜さと美しさを想う


メトロノームのように揺れ動くこころを、微かな風が吹き抜ける


その一瞬、耳鳴りの中に


星の光が、(かす)かに揺らめく音が聴こえた


・・・気がした




静寂が溢れだす


星の間を流れ、割れては出逢い、また別れ


絡み合うように、ひとつのリズムを生みだす


様々な感情が、無音のリズムに調(しらべ)(まと)わせる


静寂の歌は、僕のこころを乗せて、天空へと向かう


一瞬、星に同化して、僕が消える




静寂は、いま、僕になる





残念ながら、リアルタイムでは一度も見たことがないのですが、サイモン&ガーファンクルというアメリカ人のフォークロック・デュオがいらっしゃいまして、その代表曲の一つに「The sound of silence サウンドオブサイレンス」があります。

昔の映画「卒業」を見て以来好きで、よく聴いていましたので、インスパイアされているかもしれません。

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