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問1 (9) Marvelous

【解答 問1 (8)】

「Freeze.」という文は、動詞の原形で始まっているので命令文。なので直訳すると「 ①凍れ。 」、つまり「② 動くな。 」という意味で使われる。


*  *  *


(前回までのあらすじ)

<英語が超ニガテな高校生、久留主士郎は、教師への復讐心と美少女ボーカルへの憧れから英語の独学を決意したが、本屋で手にした参考書により蒸気機関と魔法の異世界に飛ばされて、精神年齢の低い精霊グラミと出会い、英語が「魔述」になることを知り、ピンチを初めての魔述で切り抜けたところで、現実世界の美少女ボーカルが野外ライブをやっていたところに出くわしたと思ったら、軍警察に取り囲まれてしまった。>


*  *  *


 会場にいたのは30から40人。全員、軍警察の「魔述」によって捕縛されてしまったようだ。

 それはボーカルの彼女も同様だった。

 しかし、いいことを聞いたな。あの金髪の軍警が言っていた。「不動ルネ」。それがあのボーカルの子の名前だ。僕が異世界に飛ばされる前、学校の練習室でも見たはずの、麗しい少女。


「何すんだよ……! こっちはアンタなんかに用ないんだけど!」


 ……少々、口調がキツい少女だなぁ……。でも大丈夫、問題ない。うん、麗しい。

 周りが皆、両手両足を光文字の鎖で拘束されて恐怖している中、彼女だけは勇ましく抵抗している。


「Hum…。嫌いではないですよ、その強気な性格。まずは自己紹介をさせていただきます。私は関東第三魔述兵団隊長、五井(ごい)凰胤(おういん)……death(デス)!」


 男は、杖を持っている片手を腰に回し、会釈をした。礼儀正しいけど……、さっきから力込めて「です」を言うとき、「す」を舌噛んで「th」で発音してるんだよな……。


「なに、お客さん? あたしの歌を聴きに来てくれた?」

「Haha、面白いですねぇ。生憎(あいにく)、私たちは全員職務中なのでね」

「じゃあ、帰れよ。あたしはライブやってんの」

「これはこれは……滑稽(こっけい)な。そのような児戯(じぎ)(いそ)しんでいては、あなたの『本当の力』を発揮できないじゃあありませんか」



 二人の会話の隙に、僕はグラミに話しかけた。


「おい、何とかしないとやばいよな」

「うん……でも私……もうダメかも……」

「え?! 嘘でしょ。さっき魔力使いすぎたって言ってたやつ?」

「そうなん……だ。この拘束、キツくて。ゴメンね、士郎……もうダメだ」

 グラミの(まぶた)が閉じる。

「グラミーーー!!」


 すぅ、すぅ。


「寝てるーーー!!」


 心配して損した。


「何ですか、あなたは」


 隊長とやらに睨まれる。


「すみません、何でもありません」

「チッ、五月蠅(うるさ)いだけの一般人ですか。それじゃあ、皆さん、取り掛かってください」


 五井がサッと杖を上げて合図する。横にいた兵士が、何やら1枚の紙を取り出し、読み上げる。


「日本帝国、新治安(ちあん)維持法(いじほう)の第2条に基づき、不動ルネは危険思想団体の指導者である疑いがあるため、連行する! また、この場に居合(いあ)わせている者も皆、危険思想団体の構成員の疑いがあるため、連行する!」


 はい? 「『新』治安維持法」……?!

 治安維持法なら聞いたことがある。

 大正時代の末に制定され、人々の言論や思想の自由を奪い、国家に反すると見なされた者や、その疑いをかけられた者を逮捕し、死刑に処することまで可能にした法律……。その改訂版か?

 そんなバカな話があるか。この現代に、人権を蹂躙(じゅうりん)するようなそんな法律があっていい訳がない。しかし、ここは異世界だ。ありえるのかもしれない。いやな映像が頭をよぎる。連行、取り調べ、尋問、拷問(ごうもん)……。


 何人かが、恐怖から呻きのような声を上げた。

 その中の一人、うずくまっていた男が、やや上体を起こすと、彼の下から走り出す小さな人影があった。

 女の子だ! 身体を盾に術式から子どもを守ったらしい。


「おいッ! 捕らえろッ」


 兵士の一人が怒鳴り、少女は10mかそこら走りかけただけで、あっけなく捕まった。父親の方は、数人の兵士から警棒で何発も殴打(おうだ)を受けた。


「お父さん!」


 子どもが泣き、悲鳴を上げる。全身が冷たくなるのを感じた。恐怖。あまりにも非日常。こんなの、法治国家で許されるわけがない。

 金髪の隊長は、まるで無関心な様子で、靴についた砂埃(すなぼこり)をハンカチで拭いている。


「や め ろ !!」


 ステージ側から怒声(どせい)が響いた。

 不動ルネ!

 周りの空間がびりびりと振動する。父親を殴打していた兵士たちの動きが一瞬止まった。

「なん……だ? 身体が……痺れ…る?」


 隊長は、と見ると、身体がこわばって少しぎこちなくなったものの、すぐに手足のコントロールを取り戻したようだ。彼の顔から満面の笑みがこぼれた。


Marvelous(マーヴラス)! 詠唱も魔述具もなしに、これほどとは!」

「ふざけないでよね……承知しないから……」


 彼女は不思議な力を持っているのか……。しかし、表情に余裕は見られない。肩で息をしているみたいだ。拘束具がきつく締まり、バランスを崩して倒れる。


「すごい力です。そして……ひどく危険deathね。心が痛みますが、少し大人しくしてもらいます」

五井が、杖を振って片手のひらをぱしぱしと叩きながら、流音先輩の方に歩き出す。

 まずい。止めないと。しかし、僕も依然身動きが取れない。

 それなら……さっきの「魔述」は使えるか? 英語を唱えれば、魔法のような効果を発揮するはずだ。

 でも、頭が回らない。英語が出てこない。

 英語を話すなんて、やっぱり……無理だ。

 五井はつかつかと歩み寄る。

 何とかしなければ……。動かせるのはせいぜい口くらいだ。さっき彼女がしたように、「言葉」で何とかするんだ。魔法が使える異世界なんだから!

 言葉の力を信じろ!


 「あっ!! ウ〇コ踏んでる~!!」

 五井はピタッと歩みを止め、片足を上げたまま芝生をきょろきょろと見回す。

 おお。止められた。

 五井は念入りに靴をチェックする。そして彼はくるりと僕に向きを変えて、微笑みながらこちらへ向かってきた。

 世界が回った。視界が、チカチカした。

 芝生に膝をつく。

 殴られた。杖で。

 そして、もう一発。今度は腹に、蹴りをもらった。

 息ができない。

「不潔な言葉ですねぇ。そして、非常に不快……death!」


 不動ルネが、ショックを受けた顔でこちらを見ているのが視界に入る。

 ふふふ、やったぞ。身を挺して美少女を守った僕。しかし、もう万策尽きた。いや、「万」もくそもないけど。

 終わったか……。異世界で生きるの、思ってたより難しいな……。


 その時、広い広場の反対側に、煙を立てる何かが小さく見えた。

 蒸気を吹き出しながら、それは勢いよくこちらに接近しているようだ。


「広場西側! レジスタンスです!」

 兵士が叫んだ。

 レジスタンス?

 英単語「resistance」の意味は「抵抗、反抗」。

 もしくは……「抵抗組織」。



問1 (9) 「Marvelous(マーヴラス)」は「素晴らしい、驚くべき~」という、ものの様子を表す形容詞(単語の種類(品詞))。では、次の単語の読み方・意味・品詞は?


①famous

②dangerous

③nervous

④delicious

(答えは次回)

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