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それから。


気絶したままの彼女をおぶって、桃源楼の中へ。

最早第二の実家と化したこの旅館をズンズン進んで行って……目的のお風呂場へと到着。(因みにカアラさんは『済んだら部屋に来てね』と場を後にした)

ガララララ、と脱衣所の戸を引く。


「うぃーっす。失礼するよー」

「ん? あっ、糸奇だ!」「マジ!?」「ひさしぶり~」「まーた女の子連れて来てるよ」


数十人は一度に利用出来る広い脱衣所だ。

 加えて、客用でもないのに――壁の装飾や大きな鏡、最新の入浴グッズやスキンケアの数々、ドリンクだったりアイスの種類など――豪華にしっかりとしている。


そして今は丁度、これから働く従業員のお風呂タイムだったらしく、裸色の女の子達が僕をお出迎え。

 大きなおっぱい小さなおっぱい綺麗なおっぱい猫耳エルフ耳けもの尻尾。

 みんな違ってみんな良い。

 桃源の名に恥じぬ光景である。


「よいしょ。下に置いて……さてと」

「んん……んぅ? ッッ!! な、何をするつもりだ!?」

「なにって、全裸にするつもりだったよ?」

「素直か! こ、こら! 何事もなかったように脱がせようとするな!」


手を払いのけられた。変なとこは乙女だなぁ。


「むぅ……ここは一体……いつの間に私は……?」

「もうさっきの忘れたの? カアラさんに襲いかかって見事に返り討ち。気絶してたんだよ、君」

「……思い出した。わ、私は、魔物だなんだのという言葉を聞いて……」

「ま、過ぎた事だし、あの人も気にしてないだろうけど後で謝りなね。それより今はお風呂。自爆して服も顔も泥だらけだし、そんなカッコで彷徨かれても店の評判に関わる。さぁ脱げ」

「そ、それは分かったが……お前の前で……? す、少し抵抗感が」

「めんどクセェやっぱり脱がしてやる!」

「や、やめろー!!」


「見慣れた光景だなぁ」「あいついつも女の服剥いてんな」「三途の川の奪衣婆より手際いいぞ」「私も久しぶりに糸奇っちから洗って貰いたーいっ」


いつぞやとは逆に、今度は僕があれよあれよと女の子の服を脱がし、浴場に放り込む。


「ほら座って背中向けた向けたっ。癒しテクニックってやつを叩き込んでやるから体で覚えろよっ」

「ま、まだ心の準備がっ……そ、それに体の傷を見られるのは……」

「だからもう消したっつーの。綺麗な白い肌……いや、今はピンクかな? てか意外と着痩せタイプだねー」

「あっ……ッ」

「じゃあまずは首回りから。泡立てたアワアワをネットリ塗りたくって――」

「ッッッ~~(ゾクゾク)」


そんな感じに、僕がここで培ったスキルをフル活用してオウカの全身を撫で回したり……

ついでとばかりに他の子達を撫で回したらオウカに侮蔑塗れな素晴らしい視線を頂いたり……

気付いたらみんなで水泳大会なんか始めちゃったりなんだして……



そんな、大騒ぎなお風呂タイムが終わった後、二人で客用の甚平姿に着替え終わり。


「ぅぅ、グスッ」

「いつまで泣いてんだこの野郎」

「あらあら可哀想に、糸奇さんに虐められたんですの?」

「違うよ。お風呂水泳大会でこの子ビリになったから罰ゲームを実行したんだよ」

「あ、あんな、人間の尊厳を踏みにじるような真似……」

「あらあらどんな罰ゲームを受けたのでしょう、お姉さん気になりますわねぇ」


もうだいぶいい歳なカアラさんが何か言ってる。


「けれどもまぁ、全てはウチの子達と早く仲良くなって貰おうと、親睦会の意味合いでそのような催しをしたのでしょう? 糸奇さん」

「え? あ、うん」


「こいつ……絶対に私を辱めるのが目的だったな……」

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