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小話 ▼ 五年前 ▲
気付けば、花火は終わっていた。
あれだけいい匂いにしていた場所が、一転、錆臭い空気を漂わせている。
「……わたくしも、耄碌したようです。まさか……五色の者に気付かず、手を出してしまうなんて……」
「あ、まだ息あったんだ、凄いね。てかウチの事知ってるんだ」
「……これから、どうするつもりですの……? ここに、貴方の興味を惹くお宝など無いと思いますが……」
「いや、流石に皆『元に戻す』よ。先に手を出されたとは言っても、やり過ぎたし。僕自身、まだ力を制御出来てないんだ」
「それは……本当に有り難い、判断です……」
そんなわけで。
みんな元通りにした後。
「ふぅ、助かりましたわ。ヤられた相手に言う台詞としては滑稽ですけど」
「ついでだし、色々話聞かせてくれない? 僕の知らない『ウチの事』とか知ってそうだし。今はどんな情報でも欲しいんだよ」
「ふむ……ならばここ、桃源楼で働いてみるのは如何でしょう。情報を求めるならば、ここはどの世界よりも正確で過多ですわ」
「それは構わないけど……他の従業員の子達にいぢめられないかな? ほら、アレだけヤリまくっちゃったし」
「心配には及びません。ここの子達は皆、強い者が好きなので。それに、これも『因果』」
よくわからなかったが。
そんなわけで。働く事になった。




