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そして、一〇分後。

全ては終わっていた。


「いや~たまげたなぁ~。まさかオウカちゃんが【鬼神】だったなんてさ~」

「私の見立て通りでしたわねぇ」


僕の胸の中、気を失ってグッスリなオウカに、結局下まで降りてきた御津羽が驚きの声を向け、途中から様子を見に来たカアラさんはドヤ顔を向ける。


あれから。

僕とオウカがアイキャンフライしてから今まで、そりゃあ色々あった。


――獄卒長は切り札であろう巨大化を果たし、聳え立つ桃源楼をへし折ろうとする。


そこに駆け付けたのは、客のアテナさんとデイダラボッチさん。

獄卒長の吐く業火の炎をアテナさんはかの有名な【アイギスの盾】で防ぎ、

ならば物理でと楼を掴みかかろうとした所を同じ様に巨大化したデイダラボッチさんが体で止める大活躍。

しかし、腰の悪いらしいデイダラボッチさんは投げ飛ばされ、ガラ空きな楼に獄卒長は拳を叩き込む。

が。

ビクともしない楼。

見れば、殴りつけた楼のその部分には【蜘蛛の糸】がグルグル巻きにされ、衝撃を防いだ様子で。

威圧感を撒き散らしながら場に来たるは桃源楼最強の女将カアラさん。

温厚な彼女も、流石にお怒り。

最早獄卒長に逆転の目は一切無く……今度こそお引き取りを願った僕であったが、それがイケなかった。


『何もかもテメェの所為だ!』と激昂した獄卒長は、八つ当たりで僕を殴り飛ばす。


軽い僕に対して巨大化した拳の威力は凄まじく、僕は桃源楼の石垣を突き破るほどに飛ばされた。


その先の事は、戻って来た時には居た御津羽に聞いたのだが……。


「や~、まさに鬼神の如し。ブチギレたオウカちゃんはバリバリッと白く発光して、更にはニョキニョキっとツノを生やして、雷速が如く速さで獄卒長を蹂躙してさ~。その結果がアレだよ~」


見上げた先には、全身穴だらけとなって虫の息な獄卒長。

流血が見られないのは、傷口ごと雷撃で焦がされたからだろう。

報復に満足したらしいオウカは、そのまま疲れて寝てしまったようだ。

見れば、あった筈の頬の腫れが消えている。

鬼神化は全身の細胞を活性化させ自己治癒能力を高める効果がある。

僕は詳しいんだ。


「オウカちゃん、多分自分の力の事自覚ないよね~?」

「そのようですわねぇ。自覚させコントロール出来るようにしなければ手を焼く事でしょう」

「その辺は今後の課題さ。今日は皆に、こうしてオウカを事を知って欲しかったんだよ」

「や~っぱり、糸奇さんあの時ワザと殴られてオウカちゃん怒らせるよう仕向けたんだね~。ほんと極悪だな~。この世界で一番極悪~」

「鬼神族……あちらではオーガ族と呼ぶんでしたっけ? 再び、この桃源楼で暴れられる日が来ようとは……因果、ですわねぇ」


さてさて。

まぁたオウカが気絶したから、中に運んで布団にでも突っ込んどかねば。

オンブしてっと。


「て、テメェら……待ちやがれ……まだ……終わってねぇぞ……」

「お~? 獄卒長さんまだやるのか~。ガッツだけは本物だね~」

「こ、こんな空いた穴がくらい……すぐに塞げるんだよ、ボケが……」

「お~すごいすご~い塞がってる~。――でも、もう動かない方がいいよ~? 手遅れだけど~」


「あ? 何を言って――――ぉあ? な、何だこの傷は!? か、体が、切り割か……!」


「さ~て、それはいつやられた傷でしょ~か? 三択……ってほど選択肢も無いね~。答えは~、糸奇さんを殴った時にヤられた、でした~」

「こ、こんな傷ぐらい……簡単に塞げ……な、い!? お、おおおお……!!」

「糸奇さんにヤられた傷が『修復』出来るわけないでしょ~? 『ぼくだってヤられた』んだからさ~」


ボタボタボタッッッ!!!


「……うわ~。巨大化したまま身体が縦に真っ二つ……モツが下にボタボタって……足下が三途の川で良かった~掃除しないで済むよ~」


背後が何やら騒がしいな。

寝てる子もいるし夜も近いんだから静かにして欲しい。


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