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NOと突きつけることだ!

若い頃は時が経つのが早いと言う通り気がついたら撮影の前日になっていた。気分は断頭台にあがる囚人の気持ちだ。


「それで明日ボクはどうすればいいの?」

「家でゆっくりしてくれてればいいよ。あ、終わったらカレンくるから。」

「りょーかい。あ、ボクの部屋は映さないでね?映したら本当に愛香姉のとこか拓馬の所に住み込みするから。」

「分かってるって。プロデューサーに伝えとくね。」


そう言って卯月は先に部屋に戻っていった。ボクといえば母を待っているのだがすでに21時を回っているのだが帰ってきていなかった。いつもなら19時には帰ってきたし遅くなる時も連絡はあったので珍しい。


暇なので角煮と煮込み大根を作り始めるとチャイムがなった。


「すいませーん。」

「はーい。今行きますね。」


ぽすぽすとスリッパを鳴らし玄関に向かうと肩に寄りかかった母と紗夜さんがいた。


「紗夜さん、お疲れ様です。もしかして飲みにでも言ってました?」


この前の卒業祝いから紗夜さんと呼ぶように言われたので名前呼びしているが慣れない。


「部下に誘われて行ったのはいいんだけど飲みすぎちゃってね。」

「珍しいですね。母がこんなになるなんて。」

「ほら売上伸びて嬉しくてみんなで盛り上がっちゃってね。」

「あぁ・・・」


ボクの広まった恥か。まぁ酔うほど嬉しかったのなら撮ってよかったとは思うけど、家族以外に迷惑をかけないでほしい。

とりあえず母をソファに寝かせて紗夜さんにこの前作った大根の浅漬けと甘めの卵焼きをだす。


「あら、小腹が空いていたのよ。ありがとうね。」

「いえいえ母を送ってもらいましたしそれであんまり食べてないと思ったので。」


実際送ってくれたのだからそれなりにお腹は空いているだろう。


「いつも思うけど那月くんは料理上手よね。」

「まぁ卯月も母も忙しいですし。」

「2人とも仕事がねぇ。」

「それに料理するの好きですからね。」


そう言って笑うと紗夜さんは何故かそっぽを向いたのだがどうしたのか。

そのまま紗夜さんはそっぽを向いたままパクパクと摘んでいき「ごちそうさま」とそのまま帰っていってしまった。

よく見るとすでに23時を過ぎており遅くなると千夏が心配するからは帰ったのだろう。


その後朝ごはんの準備をして母を寝室まで運びお風呂に入って寝たのは1時を過ぎていた。

この時アラームを付けないで寝てしまった為に朝後悔することになるとはボクは思いもしなかった。




ガヤガヤガヤガヤ


部屋の外がうるさくて起きた。撮影をすると言ってもこんな朝早くだっただろうか?

そう思いつつドアを開くと卯月と金髪の女の子、カメラマンたちと目が合った。


「おはよう!」

「おはよう・・・撮影の人達ってこんな朝早くきたの?」

「えっ、もう11時だよ?」

「えっ?」


そう言われたので部屋の時計を見ると確かに11時だった。まさかアラームを付けて寝なかったからそのまま寝過ごしたみたいだ。


「ごめん、今からお昼の準備するね。」


そうして寝間着を着替えて部屋を出ると何故かまだみんなして動いていなかったのだがどうしたのだろう?


「みんなしてどうしたんですか?撮影って昼からだよね?」

「もう撮ってるよ。」

「またまたぁ〜。」


チラッとカメラマンの方を見るとコクリと頷く。


「もしかしてさっきも撮ってた?」

「うん。珍しく寝ぼけてるなーって。もしかして夜遅かった?」

「1時くらいに寝たからね・・・ってそうじゃなくてボクの寝間着姿撮られちゃった!?」

「ばっちりね。これで視聴率はばっちりだよ!」


親指を立てる卯月にニッコリしている周り。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」


バンっと扉を勢いよく閉めて布団に潜り込む。


(恥ずかしいとこみられたぁぁぁぁ。もうお嫁に行けないよぉ・・・)


*那月は男です。


枕に顔を埋めて悶絶しているが時が戻る訳では無いので徐々に諦めがついてきた。

少ししてから落ち着いたので部屋を出るとみんなは卯月の部屋にいた。

ボクはいつも通りでいいとの事なのでそのまま台所に向かい、昨日仕込んでいた豚の角煮と大根の煮付けを煮込み始めた。


「ツキナちゃーん今日のお昼なにー?」


そうして煮込んでいると卯月の部屋の撮影が終わったのかみんながやってきた。那月と呼ばないのはボクがツキナとして出ているからだ。


「豚の角煮と大根の煮付け、味染みてるよ。」

「カメラマンさん、もう撮影終わりなんだよね?」

「そうだけど食事も撮れたら嬉しなぁって・・・」


そう言ってボクを見るがさすがに食事をしている所を不特定多数に見られるのは好きじゃないので首を振る。


「そこをなんとか。」

「でしたらボクの寝間着姿のところカットしてもらっていいですか?」

「それはちょっと・・・」

「なら撮らないでくださいね。というか撮影終わったのなら早く出て行ってもらってもいいですか?勝手に人の許可なく恥ずかしい所を撮影して使う人達に関わりたくないので。」


言い方はキツイだろうがこれ以上恥ずかしい所を撮られたくは無いし、本当なら寝間着姿も消してもらいたい所を消さなくてもいいと言ってるのだからそのまま帰ってもらいたい。


「そうですか。卯月ちゃんにカレンちゃん、それとツキナさん今日はお疲れ様でした。」


そう言って頭を下げてカメラマン達は帰っていったがもしかしたら撮影にまた来るかもなとうんざりしてしまった。

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