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のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~  作者: 咲く桜
第3章 ルイーナ魔術学院編
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ep.74 vs邪神教④

皆様のおかげで【ネット小説大賞】受賞しました。双葉社様にて書籍化させて頂きます。詳しくは活動報告にて随時更新していく予定です。

学園に着くとそこは未だに戦闘が続いていた。邪神教側にも手練れがいるようで、なかなか制圧しきれていない。


それでも徐々に邪神教徒を捕縛していっているようだ。これは偏に学院の生徒の力が大きいと思う。


騎士団が前衛を務めており、学院生徒が後ろからバフや魔法攻撃による援護をするという好循環が生まれている。


逆に邪神教徒は個々はそれなりに強いのかもしれないが、連携が全くできていない。制圧するのも時間の問題かもしれないな。


さて、ルナの魔力は・・・あっちか。


「おかしいな・・・。ヨミとミレイちゃんが連れ戻すって言っていたのに、魔力の気配がない。何かあったのか?」


ひとまずルナの元へと急ぐが、動く気配がない。なぜか1人ぽつんと立ち止まっているように思える。


ルナは学院の中央に立っており、どこか虚空を見ながら停止していた。


明らかに様子がおかしい。周囲をみるとヨミとミレイちゃんが倒れているではないか!


即座に倒れている2人に駆け寄り、パーフェクトヒールを使う。


息を確認するとスゥスゥと寝息が聞こえるので、どうやら気を失っていただけのようだ。


「ごしゅ…じんさ…ま?すみま…せん、止められ…ませんで、した。ルナ…は、おそら…く、呪い、にかかって…います。助けて、あげて、ください…!」


辛うじて意識があったヨミが俺にルナのことを託して気を失ってしまった。


こんなにボロボロになるまで戦うなんて…。でも不思議と死に至るような傷はなかった。


ルナの様子がおかしいのもきっと呪いのせいで、意識が混濁しているのだろう。


どんな呪いにかかっているかは不明だけど、セイクリッドヒールで何とかなるはずだ。


ただ、連戦に次ぐ連戦で俺の魔力がかなり厳しい。


あと2回セイクリッドヒールを使ってしまったら、魔力の回復を待たねば発動できないだろう。


それに対し、ルナは絶好調そうに見える。体からなにか嫌な魔力を感じるのは、もしかしたら邪神の力の一部でも取り込んでいるのかもしれない。


邪神教の奴ら、ルナに色々としてくれたみたいだな・・・。さすがに頭に来たぞ!


「ルナ!聞いてくれ!君の家族は邪神教からすでに救出した!だからもうあんな奴らに従う必要なんてないんだ!」


「・・・・・」


聞こえてないのか?!仕方ない、早々に呪いから解放してやらなきゃ!


「セイクリッドヒール!」


パチン。


乾いた音が響き、ルナの呪いが解けたと思ったら、突如ルナから禍々しい魔力があふれ出してきた。


『ふははははは、礼を言うぞの小僧!我の封印の一部を開放してくれたおかげで、現世へと顕現できた!・・・うむ、この体も人間にしては悪くない』


何が起こっている?!明らかにルナの声じゃない。ルナから聞こえるのは完全に別人の物だ。


「お前は何者だ!ルナを返せ!」


『何者か、だと?我を知らずに顕現させたのか?・・・まぁいい、気分が良いので教えてやる。我はお前らが言う所の邪神という存在だ。この女の体は使い勝手がいい、我が使ってやるから感謝するがいい』


邪神だと?!さっきセイクリッドヒールで呪いは解除したはず…。一体どうなっているんだ?!




SIDE:青龍帝


「ここは・・・?」


どうやら母親の方が目覚めたようですね。


「目覚めたのですね。ここは安全です、ですから安心しなさい」


「安全・・・?あ、私たちの呪いが解けている・・・?ルーナリアは?!ルーナリアは今どこにいますか?!」


ルーナリア?ルナとかいう娘のことか?確かアウルが助けたいと言っていた人間だったはず。


「それならば恐らく学院でしょう。しかし安心しなさい。アウルと言う男の子が助けに行っています。その子は呪いも解くことのできる人間です。もし何かあっても彼は呪いを解くことが出来るので問題ないですよ」


「呪いを解く・・・?まさか・・・!いけません!ルーナリアの呪いを解かせないでください!」


「何を言っているのですか?呪いなんて解いてしまった方がいいでしょう?」


「私たちの呪いが解けてしまった今、ルーナリアが最後の砦なのです!」


「どういうことですか?」


「私たちは邪神の封印をその身に刻んでいる一族なのです。・・・ルーナリアは未だに知りませんが、娘にもその呪いがかかっています!」


「封印の一族だと?」


「私たち一族はその身をもって邪神の力の一端を封印していたのです・・・。この呪いは基本的に解けることが無いのですが、ただ一点。聖属性の最上級解呪魔法でのみ解けるようになっているのです。そして一族全員の呪いが解かれたら・・・邪神の一部が顕現してしまいます・・・!」


「では、あなた達の呪いが解けてしまっている今、その娘の呪いが解かれたら邪神の一部が学院に顕現してしまうという事ですね?!」


「そうです!私たちが封印の一族であるというのはあの子も知っていますが、私達両親だけがその役目を持っていると教えてきました。少しでもあの子と妹に苦労を掛けたくなくて・・・。ごほっごほっ」


「無理をしないで今は休みなさい。龍魔法『水の癒し』」


寝息も立て始めましたし、これでとりあえずは落ち着くでしょう。


しかし拙いことになりましたよアウル・・・。ルーナリアという娘の呪いを解いていないといいのですが・・・。









SIDE:アウル


全く何が起こっているか把握できてないけど、今起こっていることが拙いことだと言うのは理解できた。


グラさん呼ぼうにもそんな余裕ないし、かといって俺の魔力もギリギリだ。


・・・あれ、俺詰んだか?


『我を解放した貴様は生かしておきたいところだが、我も本調子には程遠い。手始めに貴様でこの体の性能を確かめてみるとしよう』


くそっ・・・。見た目は完全にルナなのに、声や仕草が違うからかなんか違和感が凄くて集中できない・・・。


「一ついいか?」


『ふむ、冥土の土産に答えてやろう』


「邪神って、女なのか?」


『・・・なに?』


いや、気になるよね?!だって明らかに仕草と声が大人の女性のそれなんだよ・・・。


なんというかギャップのある色気と言うか、正直不謹慎なのはわかっている。分かっているんだけど・・・あいつは前世の俺の・・・


「もろタイプだ・・・」


やべっ、声に出てしまったか。


『なっ・・・なにを?!』


おっと?急に顔を赤くして慌て始めた?・・・もしかしてこいつ。


「正直、その独特な雰囲気と仕草なんかたまりません」


『わっ、我は邪神だぞ!変なことを言うな!』


確信した。こいつは間違いなくチョロイン枠だ。しかも強気なくせに恋愛ごとには初心なタイプのツンデレとみた。


・・・うん、悪くない。本当はここで壮絶な戦闘を繰り広げて。邪神を打ち倒すのがお約束なんだろうけど、是非仲間にしたい。


ただ、既に俺にはルナとヨミとミレイちゃんがいる。


うーん・・・



天使『駄目だよアウル!そんなに女の子ばっかり増やしたらみんな悲しむよ!』


悪魔『ケケケ、何言ってんだ?今更3人が4人になったところで変わんねぇよ!』


天使『でも!ミレイちゃんにプロポーズしたばっかりなのに!』


悪魔『・・・あいつが仲間になれば、農作業がさらに捗るかもしれないぞ?あいつも腐っても神だ。俺らなんかより知恵も知識もあるかもしれないぜ?』


天使『たっ、確かに・・・!』


悪魔『ケケケケケケ!』



・・・俺の中の天使弱いな?!でも確かに悪魔の言う通りか。


ふふふふ、是非仲間になってもらおう。幸い、まだ邪神が顕現したことをみんなは知らないし。


ここで俺がなんとかしてしまえば完全犯罪じゃないか!でも、なんで俺はこんなにあいつに惹かれるんだろう・・・。前世の俺のタイプとは言え、不思議だ。


「端的に言うと、俺はお前が欲しい!」


『なぁっ…?!』


「嫌、か?」


『・・・わ、我は邪神だぞ。それでもいいのか?』


お、これはとてつもなくいい流れだぞ。仲間も増えて、さらに余計な争いが生まれない。一石二鳥じゃないか!


「俺は一向に構わん!」


『・・・・』


あと一押しだ。


「俺と一緒に来てほしい!」


『我は・・・たぶん貴様のことが嫌いではない。この肉体の主の影響を受けている可能性も否定はできない。しかし、我を邪神と知っても態度を変えない貴様に興味が沸いた。・・・・それに顔も将来カッコよくなりそうだしな』


最後の方が聞こえなかったけど、概ね受け入れられてるのかな?


「じゃあ!」


『それでも、我より弱い男に靡く我ではない。我が欲しくば、貴様の力を見せてみろ!』


えぇぇぇ~?結局そうなっちゃうんかい!畜生!


「ふー・・・」


でもここでなんとかしないとルナは帰ってこない。やるしかないか。


「邪神よ、オーネン村のアウルが参る!いざ尋常に勝負!」


『オーネン村…?まさかな。来るがいい!』


セイクリッドヒール一回分を残したとして、使える魔力はほとんどない。


魔法ではなく接近戦で何とかするしかないか!


『ほう、子供の割に速いではないか!これを避けられるか?』


俺の元へと黒い塊が数十個飛んでくるが、完全に見たことのない魔法だ。


邪神ってことを考えると、あいつは闇属性でも使えるってのかよ!さしずめダークバレットってか!?


「ふっ!!」


ダークバレットを避けざまに、回し蹴りを顎目掛けて放つが紙一重で躱されてしまった。


嫌味なことに無駄の全くない、直撃まで1cmくらいのところで躱すから腹が立つ。


『ふむ、子供と思って侮っていたが存外やるようだ。これならどうだ?』


ダークランスとでも言うのか、黒い槍状の魔法が空中に何本も展開されている。いつもなら魔法で応戦するところだが、そんな余裕すら無い。青龍帝に六龍招来なんて使わなきゃ良かった。


ダークバレットとは比にならないほどの速さで飛来するダークランスを、掠りながらも避ける。手加減されてるのか一気に何本も飛んでくることはない。


『うむ、良いぞ!悪くない反応だ。だがまだまだ無駄が多いな』


攻める間も無く攻撃されるせいで、こっちは防戦一方だってのに…。さらにはダメ出しとか心折れるぞ。



邪神が手をかざしたと思ったら、虚空に小さな黒い塊が異常な程出現した。


さっきのダークバレットの軽く3倍はありそうな量が俺の退路を完全に塞いでしまっているのが、一瞬でわかってしまった。


こうなっては仕方ない。魔力は少ないが、そう簡単にやられるわけにはいかないのだ。



《杖術 まもりの型 睡蓮》



睡蓮と言う花は、一日に三回開いて閉じてをする蓮で、睡眠する蓮だから睡蓮と言うそうだ。


この技はその由来をモチーフに俺の師匠が作りだしたオリジナルの技である。


杖を開きで上に叩きつけ、閉じるで下へと打ち下ろす。これほぼ同時にすることで自分の制空圏に攻撃を侵入させないのだ。


【これを以て杖術を鉄壁の護りとする】


師匠にこの技教えてもらったときに言われた言葉だ。


杖に魔力を循環させることで、最小限の力で最大の効果を発揮しているのだ。


「凌ぎきったぞ!」


『まだだ』


声が聞こえたと思ったらすでにそこに姿が無いだと?!なんてスピードだよ!


『終わりだ』


邪神の拳が目の前にある。突然見えたというべきか。とてつもなくスローで時間が流れているように感じる。


これが走馬灯ってやつなのかもしれない。やっぱ青龍帝と喧嘩して、モニカ教授とも喧嘩して、さらには回復魔法連発して、そして邪神との戦闘。


ちょっと頑張り過ぎたかな~。元々俺そんなに頑張り屋じゃないし。


もっとだらだら生きる予定だったのに、どこでこうなったんだろう。


ルナ・・・助けてやれなくてごめんよ。俺がもう少し強かったら良かったのにな。


せめて俺が死ぬ前に回復魔法をかけてやろう。女の子が傷だらけは可哀そうだもんな。


『パーフェクトヒール』


これで魔力はほぼすっからかんだ。来世こそはきっとだらだら過ごしてやる。


ありがとうヨミ、ルナ、ミレイちゃん、母さん、父さん、レブラントさん。


最後に一言、伝えておこう。


「好きだよ、ルナ」


・・・・・・?


眼前に迫っていた筈の右手が、自らの左手によって止められている?


どういうことだ?


『驚いた…。我に体を乗っ取られながらも、この小僧への攻撃は止めたか。奴隷契約のようなものが為されていたのは先ほど解除したというのに。恐ろしいまでの精神力だ』


確かに。奴隷契約で主に危害云々の話があったか。でもこいつはそれを解除したと言った。


『ふむ、何度殴ろうとしても勝手に体が止めてしまう。・・・これでは勝てぬではないか』


「ルナが止めてくれたのか・・・?」


『そのようだな。・・・全く、人というのはこれだから面白い』


「ていっ!」


邪神めがけてチョップしたが、避けられることなくヒットした。


「俺の勝ちで、いや。俺らの勝ちでいいか?」


『・・・ふははは!参った!今回は貴様に勝ちを譲ろう。改めて貴様の名を聞かせてもらおう』


「アウルだ。よろしくな邪神」


『我の名前は・・・いや、アウルがつけてくれ』


「俺が?いいのか?」


『うむ、とびっきり可愛いのを頼むぞ?』


飛びっきり可愛いのか・・・。これはまた無茶な問題を。


うーん・・・。


「その前に確認だけど、邪神はルナの体が無いと存在できないのか?」


『む、そうだな。邪神と言っても我はその一部だ。もっと邪神の欠片を集めればこの女の体が無くても顕現できるだろう』


なるほど・・・。


「君の名前を決めたよ。君の名前は『イナギ』だ」


『イナギ・・・。悪くは無いが、どんな意味なのだ?』


それは・・・。


「今はまだ内緒」


『む!なんだそれは、いつか教えてもらうぞ!』


ルナは月から連想した名前だ。そして月の神と言えば月読ツクヨミが有名だ。


その月読を生み出したのが伊邪那岐イザナギと言われている。


そこから発想を得たと言っても分からないよね。


「まぁまぁ、悪い意味じゃないから」


『むむ、ならいいのだが。・・・まぁ、いい。久しぶりの現世で疲れてしまった。ひとまずこの体を元の主に返すとしよう』


ルナの体が光ったと思うと、糸が切れたように地面へと倒れこみそうになったので、なんとか体を滑り込ませて受け止めることができた。


スゥスゥスゥ


「寝てるか・・・。ふぅー、とりあえずは、一件落着かな?」


なんにせよ、一応ルナは取り返せだそ。きっと今頃はグラさんのおかげで邪神教も殆ど捕まえられただろ。


「お、噂をすれば」


「様子を見る限りだと、無事に仲間を助け出せたようだな」


グラさんも無事そうで何よりだ。



「ボロボロだけどね。何とかなったよ」


「うむ、我も邪神教とやらを殲滅してやったわ。これで恨みは果たした。…それでアウル、レティアと途中どこかへ消えたみたいだが、ど、どこに行っていたのだ?!」


ははーん?なるほど、俺が青龍帝といなくなったもんだから何か疑ってんだな?これはこれは。


「今頃俺の家のベッドで休んでるんじゃないかな?ほんと大変だったよ。初めてだったからさ」


「な、なにー?!?レティアに何をしたのだ!!ことと次第によってはアウルでも許さんぞ!」


「なにって、青龍帝の娘が人質にとられてたからそれを助けただけだよ?今頃は娘と家で休んでるんじゃないかな?」


俺の言葉を聞いて固まってしまったが、グラさんにはいい薬だろう。「む、むすめ?むすめってなんだっけ?」ってつぶやいているけど無視だ。


さて、これからどうするか考えないと。


…悪さをしていたのは邪神教であって、邪神ではない。よな?


ルナの体に宿っているんだとして、それを滅するにはルナを殺さなければならない。なんてなったら一番厄介だ。


となれば、ルナの体に顕現した邪神のことは黙っておくのが一番いい気がする。…国王くらいには報告した方がいいかな?


いや、本見つけただけで死刑とか言うんだ。本人が出てきちゃったらなお酷い結果が待っている可能性もあるか。


・・・・。


よし、俺はなにも見てないぞ!ルナと初めて喧嘩したんだ俺は。それで無事に仲直りできて、めでたしめでたし!


「我ながら完璧だな」


「アウルよ!早く家へと帰るぞ!早くするのだ!」


何を焦ってやがるんだこの駄龍。まだ騎士団と話したり国王に報告に行かないと行けないかもしれないのに。


「まぁ待ってよ。終わったにしろ後始末があるからすぐには無理だよ。でも、ルナとミレイちゃん、ヨミは家に連れて帰りたいからグラさん連れてってよ」


「うむ!任されよう!アウルの頼みだからな!ワハハハハー!!」


3人を抱えたグラさんは物凄いスピードで、且つ繊細な動きで帰っていった。


ふぅー。



「そろそろ出て来たらどうです?」


「なんだよ、気づいてやがったのか?」


「なんというか、半分は勘みたいなもんですかね?」


「かー!直感ってやつか?それで、俺がここにいることについては何も聞かないのか?」


「えぇ、なんとなく理由は分かってますから」


違和感を覚えたのは国王に遊撃を頼まれた時だ。俺の実力を認めてくれているのは分かるが、俺は国王の前でちゃんとは戦ったことが無い。


それなのに俺の実力を把握しているような作戦の組み立て方をしていた。


ということは、誰かが俺の実力について国王にリークしている人がいると考えるのが普通だろう。


「ほう、じゃあ俺が今のことを報告するとは思わないのか?」


「ヨルナードさんならそんなことしないって分かってますよ」


「・・・なぜだ?」


ヨルナードは単純に強い奴と戦うのが好きなタイプの人種だ。所謂バトルジャンキーみたいなところがある。


それで、目の前には欠片とは言え危険のない邪神がいるのだ。そんな奴と戦いたいと考えるのは何となく想像できる。


「この騒動が収まって、みんなの傷が癒えたらイナギに頼んであげますよ?戦いたいんでしょう?」


「ワハハハハハ、本当に分かってるじゃねぇか!その通りだ!しかもそいつが言うにはまだ邪神の一部ってのがこの世界のどこかにあるんだろ?そいつを吸収すればさらに強くなるんだったら、なお面白いじゃねぇか!」


うわ、そこまで聞かれてたのかよ。微かに誰かの気配はするなと思ってたけど、もしかしたら殆ど見てたんじゃないか?


「まぁ、そういうことです。なのでこのことは国王には秘密ですよ?」


「任せておけ。俺もただ雇われただけだからな。貰った報酬分の仕事はするが、釣り合わないんだったらその限りじゃない」


「ありがとうヨルナード」


「いいってことよ。半分は俺のためだからな。あと、騎士団の方にも俺から報告しておくから今日は帰っていいぞ~」


そう言い残すと、国王に報告があるのかヨルナードは行ってしまった。


まだ、元宰相を殺した犯人は分かってないけど、邪神教の力を削ぐ事はできただろう。


これで当分は大人しくしてくれるといいんだけど。詳しいことはモニカ教授が教えてくれるかもしれないし。


あれ、そういやモニカ教授はまだあの砦にいるのか?


「青龍帝に頼んで砦に行くか・・・。金品の回収や資料の収集もしなきゃか」



疲れた体に鞭を打ち、急いで家へと戻るとボコボコに打ちのめされているグラさんが玄関で寝ていた。


つんつんしてみたけど返事がない。どうやらただの屍のようだ。


「ただいま~、青龍帝いる?」


「おかえりなさい。色々あったそうですが、なんとかしたみたいで安心しました」


砦に戻りたい旨を伝えると快く引き受けてくれた。怪我人やルナの家族も今は既に落ち着いているらしい。


「出てきてディン」


『お久しぶりですマスター』


「すぐ戻るけどみんなのこと頼む。そこに転がってるやつはあれでも仲間だから。けど放って置いていいよ」


『畏まりましたマスター』


さて、さっさと砦にいる邪神教も国王に渡してしまおう。資料とかも渡せば喜ぶだろうしな。


青龍帝の魔法で砦に行くと、すでに邪神教たちが纏められていた。資料なんかも全部一箇所に集められていた。


「遅かったわね。砦内の重要そうな資料とかは集めておいたわ。ついでにこいつらもね」


ちょっとモニカ教授を見直してしまった。疲れてたから面倒な手間が無くなって助かった。


事前に空間把握で調べておいた場所から金品を押収し、青龍帝の助けを借りて国王の元に資料や邪神教徒を突き出し、俺の長い一日はやっと終わりを迎えた。




細々と更新します。

評価・ブクマしてもらえたら嬉しいです。


【外伝】も更新しました!

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― 新着の感想 ―
[一言] まさか邪神が女で口説いてしまうとは(*≧∀≦*) 予想外で面白いです(*^▽^*)
[良い点] 邪神とか出てきてから読むのやめようかと思ったら普通に話のできる神で好印象 なろう小説はすぐ邪神をラスボスにしてシリアスなバトル物にしちゃうから辟易してたんですよね 平和にのんびりと無双が安…
[気になる点] イザナギって男性神だよね。 三貴神産んだ御柱とはいえ、女神に付けていい名前なんかな。
感想一覧
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