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のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~  作者: 咲く桜
第3章 ルイーナ魔術学院編
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ep.60 学院祭①

新年でバタバタしてました。

これからまたゆっくり更新していく予定です。


元宰相が言っていた中で違和感があるのは3番目だ。


寒村出身だと言う元宰相が街を転々として知識をつけたと言っていたが、実際にそんな事は可能なのか?と言う事だ。


5年もあれば出来そうに思えるが、寒村出身の元宰相はお金を殆ど持っていないだろう。


さらに何か下働きしようにも元々は学が無いから、高給な仕事につけるとは考えにくい。


さらには知識をつけたとして、それをどうやってガリウス侯爵家に見初められたのか。正直謎は多いと思う。



ここから考えられるのは1つだ。



「何者かによる援助や手助けがあった、と考えるのが1番しっくり来るの」


「うむ、余もそう思っておった。ただ当時のガリウス侯爵は亡くなっておるし、真相は闇の中か」



おそらく何者かによる介入があったのは間違いない。ただそれが誰なのかわからないのだ。


その何者か、ないしそれの関係者が元宰相を亡き者にした可能性が高い。テンドと名乗ったあいつも一応容疑者の1人だが、勘だけどあいつでは無いと思う。


むしろ、テンドなら何か知っていそうな気もするけど、会おうと思っても会えるものじゃ無い。



「あいわかった。とりあえずアウルのおかげで何を調べればいいかの方針は決まった。今日はこれで帰ってよい。もし他に何か思い出したりしたら、この手形を衛兵に見せれば余に会えるようになっておる。すまないが、もう暫く余に手を貸してくれ」


「畏まりました。色々忙しいですが、出来る限りであればお手伝いさせていただきます」


「うむ、それで良い。これも余への貸し1つという事でよいか?」


なぜかニヤニヤとしているのが気になるが、別段欲しい物も無いしな。


「はい、それでお願いします。それではこれで失礼させて頂きます」




という事で何かあったら手伝うということになってしまった……。まぁ、1度乗りかかった船だし別にそれは良いか。


なんで俺はこんなにも首を突っ込んでるんだろう?…ただの平民だというのに。とにかく、テンドに会うことがあったら今回のことを聞いてみよう。


正直それまで俺にやれることはないしね。






家に帰ると、2人は家にはおらず今日も冒険者業を頑張っているようだ。


冒険者か・・・。



最近はレブラント商会にレシピなどを売ったおかげで、前ほど忙しくはない。その分、学院があるからトントンではあるが。


正直、お菓子作りには少し飽きていた節もある。もともと飽きやすい性格だったが、転生した今でもあまり変わらないみたいだ。・・・前世よりは幾分か飽きるまでは長いみたいだけど。


最近学院に通うようになって、ヨルナードによく模擬戦をさせられている。もはやクラスメイトはレイとマルコ以外は俺から少し距離を置いているようにさえ思う。


もしかしたら化け物に見えているのかもしれないが、そんなこと今はどうでもいい。


要は俺があまり冒険者に魅力を感じなくなってきているということだ。冒険者は自由だというのがみんなの知るところだが、本質はそこまで自由ではないのではないか?ということだ。


とは言ってもまだ焦る必要もないか。


・・・冒険者として成功した今、2人は解放されることを望んでいるだろうか。






「ただいま帰りました!」

「うふふ、ご主人様今帰りました」


「おかえり2人とも。夜ご飯作っておいたから食べよう」


今日はパン、ロールキャベツのトマト煮、春野菜のサラダ、ワイルドクックの炭火焼きだ。


今日のロールキャベツはかなりの自信作である。トマト煮込みかコンソメ風か迷ったが俺は断然トマト煮込み派だ。



「ねぇ2人とも。もし可能なら奴隷から解放されたい?」


「?!なぜそんなことを!私たちはお邪魔ですか・・・?」

「何か私たちに至らないことでもありましたでしょうか?」


俺の言葉に驚いたのか、2人ともかなり動揺している。ルナに至っては半泣き状態だ。


「落ち着いて2人とも。そう言うんじゃないんだ。・・・2人はよくやってくれてるし、助かってるよ。ただ2人は冒険者として成功している。だから、2人が今後どうしたいか聞こうと思ってね。それに、解放したとしてもここにいてもいいしね」




「・・・私は仮に奴隷から解放されてもここにいたいです。私の居場所はここなんです!それに奴隷であればご主人様との繋がりがあるようで嬉しいです」

「私もここにいたいです。私のかつての仲間は死に、今の新しい仲間も得ました。それに、大好きなご主人様も出来ましたしね」


そこまで想ってくれていたというのはかなり嬉しい。というか今すぐ抱きしめたい程だが、ここはグッと我慢だ。


まさか奴隷でいたいなんて言われるとは思わなかったけど、嬉しいと思ってしまったのは内緒だ。


「2人の言い分はわかった。じゃあやっぱりこれからも頼むよ。でも何かあったらいつでも言ってね」


だけど2人には週1回は休暇を与えることにした。今までも休暇はちょこちょこ与えてたけど、絶対に週1で休むように厳命した。


こうでもしなければ2人が延々と冒険者稼業を続けてたし、少しでも自由をあげたいと思ったからだ。2人も休日になるとなにかと忙しそうにしているみたいだし、王都に知り合いができているみたいで良かったと思う。


結局は話して良かったと思うけど、その時その時で考えていることと当初の俺の考えがずれているような違和感がある。


もともとそこまで考える性格ではないかもしれないけど、なんだか自分が自分で無いような感覚。


10歳というのは、俺が思っているよりも情緒不安定なのかもしれないな・・・。







国王との対談後、特にテンドが現れることも無かったため、平和な日常を過ごしている。



時が経つのは早いもので、俺が学院に入学してはや3ヶ月が経過した。


学院にも慣れたしクラスメイトともちょっとずつではあるが話せるようになってきた。…なぜか腫れ物に触るような扱いを受けている気もするが、確実にヨルナードのせいだと思う。


とはいえそれ以外に今のところ目立った問題は無く、至って順調な学院生活を送っている。


貴族の子息たちに絡まれたりというのを想像していたのだが、ほぼそれがない。


理由としては時たま王女やアリスが話しかけてくるからだと考えている。


もしかしたら入試の時の試験結果を知っている奴らが何か吹聴している可能性も考えられるが・・・。


噂話程度はよく耳にする。「平民のくせに王女や公女と仲良くしやがって」や「平民が調子に乗りやがって」などの嫉妬の混じった噂だ。


まだ噂程度だが、今後どうなるかは気にかけておいた方がいいかもしれない。





教室でいろんなことを考えていると、いつも通りモニカ教授が教室へと入ってくる。


「よーし揃ってるな〜?今日はお前らに伝えることがあるから聞き逃すなよ〜」



モニカ教授にしてはいつになく真面目な顔つきだ。何かあったのだろうか?


「えー、伝えるのが遅くなったが1ヶ月後に学院祭が開催される。その時にクラス単位で何か出し物をしないといけないのだが、それをみんなで考えて欲しい。ちなみに他のクラスは上級生含めてすでにやることが決まっているので被らないようにしてくれ〜」



本当に今更じゃないか・・!!1ヶ月後というのは時間があるように見えて、実はあまり時間がないぞ!?


「ここに他のクラスの出し物が書かれているから確認してくれ〜。ちなみに学院祭は3日間開催されるからな~」



教授が出したものをクラスメイトの女の子が黒板にどんどん書き出してくれている。黒板に書かれていく内容はなんだかかなり異様なものが多く、前世で経験した文化祭とはまた全然違う物ばかりだった。



・即席貴族体験

・美味な料理を食べる会

・軍馬試乗体験

・魔法実演見学会

・演劇「勇者と魔王~最後の戦い~」

・貴族交流会

・社交ダンス体験


などなど・・・


一応、平民もターゲットにしてはいるようだが、本当にこれに参加する平民がいるのだろうか?疑問は残るが、敢えて言うまい。


それにしても、演劇はちょっと見てみたい気もするな。・・・あ、最上級生がやるのか。なおのこと見てみたい。



「言い忘れてたが、出し物では客から金を貰うことになっている。そして収益が一番大きかった組には、学院長から豪華賞品が用意されるから気張っていけよ~!」



この規模の学院の豪華商品と言うと、少し期待してしまうな。


これは学院を楽しむためにも少しやる気を出してみるのもいいだろう。


どうせだから思いっきり学生を楽しみたい。もちろんある程度の自重は必要かもしれないが。


面倒ごとは嫌だが、俺も年相応に遊びたいし友達と青春したいんだろうな。


前世の記憶があるとはいえこの世界では10歳だし、精神はもうアウルそのものだ。


さて、学院祭ではなにをやろうかな。





クラスの内訳的には殆どが平民か商人の子供。あとは貴族の子息息女が少人数いる。


平民と言っても各地方の貴族に認められた子供たちばかりで、おそらくはメイドの子供や貴族に縁のある平民の子供だろう。


なのである程度の知識と教養はあるのだろう。


このクラスで幸いなのは、威張り散らしている貴族の子供がいないことだろう。


レイもマルコも平民に優しいし、他の貴族の子供も平民への理解があるから、クラスには恵まれた。


黒板にいろいろ書いてくれていた商人の子供の女の子が仕切ってくれているが、あまりいい案は出ていないみたいだ。


そりゃ急になにか案を出せと言われても平民にはピンとこないのも頷ける。


学院祭では平民、商人、貴族など誰でも参加できる決まりになっているため、収益1位を目指すなら幅広い客層を掴む必要があるだろう。


そうなるとやれることは自ずと決まってくる。


「ねぇ~、アウルはなにかいい案ないの~?」

「うむ、それは俺も思っていた。アウルならば妙案を考えていそうな気がする」


マルコとレイの期待が凄いが、これはどうかな?というのは考えている。


「他のクラスや上級生とも被らないようにしつつ、収益を上げやすいものてなると、やっぱり食べ物系だろうな」


「それは私も考えたけど~、他のクラスも料理を出す店はあるよ~?」


マルコの言い分も最もだ。確かに料理を出す店は多くあるかもしれない。だが、そのどれもが店内で食べる物ばかりだ。


他のクラスは貴族のみで構成されており、気づかないのかもしれない。


「いや、俺だったら屋台形式で料理を売るな。そうすれば食べ歩きもできるし、なにより食べ歩いてくれればそれが良い宣伝になる」


これだけ広大な学院ともなると、宣伝を上手くやらなければ客の確保は難しいだろう。


貴族だったら何かしらの伝手で宣伝するだろうが、俺たちにその必要は無いだろう。


「うむ、それは考えつかなかった。ただ、貴族となると食べ歩きを嫌う者も多くいると思うがそこはどうする?」


「それももちろん考えてある。食べ歩きを嫌う人には、食べるための場所を確保するんだ。それもグレードをいくつか用意してね」


考えついたのは3段階の飲食スペースだ。もちろん回転率を上げるために、時間制限は設けさせてもらうつもりだ。


平民は食べ歩きに不満は無いだろうし、貴族で更に特別な思いをしたい人や見栄を張りたい人の虚栄心をくすぐるいい案だと思う。


屋台で売る物についてもグレードをつけるつもりだ。


平民や商人相手には銅貨や銀貨で買えるくらいの価格帯を。貴族の方には金貨で買えるものを用意しておけば、さらに良しだと思う。



という話をしたら、満場一致で10組の出し物は屋台で決定した。


教授も何故かノリノリで、場所の確保は任せろと出て行ってしまった。どうやら、場所決めの会議は今日だったようだ。


・・・こんな大事なことを忘れているとかあの人は大丈夫だろうか?



「屋台をやるのは賛成だけど~、何を売るか決めないとねぇ~」


「うむ・・・、食べ歩きしやすい物で収益を上げやすい物となると、なかなか難しいな」


「材料は自分たちで揃えることになるのかな?」


その質問は黒板女子から返ってきた。さっき教授がその子に説明していたようだ。



話によると、材料の仕入れに決まったルールは無いらしく、例年通りだと貴族たちが家の力で全て用意しているらしい。


なので平民が集まる10組は毎年最下位になるという。


一応、学院から支度金としていくらかお金が出るらしいが、支度金以上のことをやりたい場合は、各自で出すのが通例なんだとか。


裏を返せば、自分で用意できるものならなんでも使えるということだ。



「ということは、実質なんでもありということじゃないか」


「そうなるねぇ~」


「うむ、何でもありの戦いになるというわけか。望むところだ!」



万人受けする食べ物で且つ調理が簡単、さらにはグレードが調整しやすい食べ物と言えばなんだろう。もっと言うと食材の確保が簡単であればなお良しだ。



・・・思いつくものと言えば、やっぱりから揚げかな?


油はそこそこ安いし、肉はルナとヨミにお願いすれば問題ないだろう。


あとはどうやって食べ歩きにするかだけど・・・。安定にピタパンかな?王都だとレブラントさんのお陰でかなり流通しているみたいだし。


あとはソースとタレか。ヤンニョムチキン風にしたら葉野菜やピタパンとも相性良いかもしれない。


あとは塩から揚げとレモンや、マヨネーズとから揚げでもいいだろう。


これくらいならお手軽だし、調理も簡単だ。それに仮に広まったとしても問題ないだろう。


タレは俺の方で用意すればいいだろうし、完全には真似できないはずだ。


屋台の案として肉串なども候補に挙がったが、俺の案を言ったら今回は肉串はやらないことになった。



必要な機材はレブラントさんに頼めば用意してくれるだろうし、肉も今日帰ったら2人に頼んでおこう。


1ヶ月もあれば相当量が確保できるはずだ。


目指すは収益1位!10組の下克上をしてみようかね!



細々と更新します。

評価・ブクマしてもらえたら嬉しいです。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かにヤンニョムチキン風の唐揚げにピタパンは美味そうだけどもw 王侯貴族はお皿に載せてナイフとフォークで食べることになるんですかね…? 異世界に日本独自の学園祭がある時点で野暮なツッコミか…
[気になる点] ピタパンのレシピ流出してしまうのでは? とか 製作者バレして騒ぎになるのか? と 気になり次の話に早速行かなくては(*^▽^*)
[一言] 大切なものが多くてお人好しな主人公に自由は無理だと思うわ なんやかんや絆されて貴族にもなりそう
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